<被コントロール>

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 実はずっと黙ってましたけど、10月に入ってから禁煙をしています。そうです。値上げが実施されてから禁煙をしています。僕のコラム常連の方はご存知でしょうが、僕は8月にも禁煙に兆戦しました。そのときは、1週間で挫折していますが、今回は既に2週間を越えています。これは、僕の人生において新記録です。今までの最高禁煙期間は1週間でした。この1週間という期間は、僕の無意識の意識の中で、「自分の限界」と決めつけていた節があります。その証拠に兆戦するたびに、いつも1週間で終わりを告げていました。頭のどこかに「1週間」という数字が強く刻み込まれていたようです。
 しかし、今回はその壁を突き破っています。破りつづけています。これは本当に驚くべきことで自分でも不思議でなりません。やはり、「大幅な」値上げが大きな要因でしょうか。これまでを思い返してみますと、禁煙に兆戦したきっかけには幾つかの出来事がありますが、一番多いきっかけは「値上げ」でした。ですが、毎回挫折していましたので、単に「値上げ」だけでは禁煙を成功させるきっかけとしては弱かったようです。今回、禁煙が続いているのは、なんと言っても値上げ幅が「大きかった」ことが大きいように思います。
 先日の新聞に禁煙補助剤の製造が間に合わず、「一時販売を中止する」という記事がありました。以前読んだ新聞には、値上げをきっかけにして禁煙を考えている人が喫煙者の約6割とう数字が紹介されていました。そうした情報があったにも拘わらず、製造が追いつかない状況になったということは、実際に禁煙に兆戦している人はもっと多いのかもしれません。ネット情報では、病院で禁煙の治療を考えている人もかなりの人がいるそうですから、今回の大幅な値上げは、巷で言われているよりももっと多くの人に禁煙を兆戦させているように思えます。
 ところが…。
 僕は毎日店内から外の通りを歩く人たちを眺めていますが、その中にはタバコを吸いながら歩いている人もいます。「歩きタバコ」は他人、特に小さなお子さんに危険ですのでやってはいけない行為ですが、僕の店の前の通りは人通りが少ないですので、その問題は脇に置いておきます。
 僕が見る限り、それまで「歩きタバコ」をしていた人たちの中で、10月1日以降にタバコを止めた人は誰もいません。それだけではありません。僕の知り合いの中でも、喫煙者は誰一人としてタバコを止めていないのが実態です。僕の周りでは禁煙に「兆戦している」のは僕だけなのです。
 どうも、マスコミが報じる情報と僕の周りの実態にはかなりの乖離があるように感じています。一体、本当の実態はどちらなのでしょう。
 冒頭で、僕が禁煙を考えるときのきっかけは「値上げ」と書きましたが、ほかにもあります。それは「健康のため」です。先週も書きましたように、「有害説」を100%信じているわけではない僕ですが、箱にあれだけ大きく「健康を損なう」という文字が書いてありますと、やはり、気にはなります。
 健康と関係があるかもしれませんが、タバコを止めると「ごはんをおいしく感じる」という意見があります。以前、テレビ番組で島田伸助さんも言っていました。その番組を見るまで僕は知らなかったのですが、伸助さんはいつのまにか禁煙をしていました。僕的には、芸人さんが「健康のために禁煙する」という発想は、芸人さんに似つかわしくないように思いますが、とにかく「禁煙してからごはんがおいしい」と話していました。
 しかし、禁煙を始めて2週間が過ぎた僕の感想を言いますと、「別に変わらない」です。2週間ではまだ禁煙の効果が表れていないのかもしれませんが、今の時点では喫煙時代と「ごはんの味」も、さらには味覚全体についても全く変わっていません。
 それはさておき、実は、最近数年間に限るなら、僕が禁煙に失敗している原因には伸助さんが関係しています。少しややこしいですが、まぁ聞いてください。
 先ほど書きましたように、僕はテレビ番組で伸助さんが禁煙をしているのを知り、そして「ごはんがおいしくなる」という意見も伸助さんの口から聞きました。つまり、伸助さんが「どれほど禁煙に価値を見出しているか」を知ったことになります。
 フジテレビでは毎年夏休みに「24時間テレビ」を放映していますが、昨年の放映時にたまたま見たときに、画面にはさんまさんと中居さんと伸助さんが3人でトークをしている模様が映っていました。トークの間、さんまさんと中居さんはタバコを吸っていましたが、伸助さんはタバコを吸っていませんでした。伸助さんはさんまさんに、禁煙していることを茶化されてはいましたが、それでもタバコを吸うことはありませんでした。
 さて、今年も同じ番組をたまたま見たときに、またしても画面でさんまさんと中居さんと伸助さんが3人揃ってトークをしている模様が映し出されていました。昨年と全く同じ状況で3人が話していたのですが、ただ1つ違うことがありました。それは、伸助さんがタバコを吸っていたのです。伸助さんがタバコを口に持っていき吸いこんだあと息を吐き、そしてタバコの火のついた先端をしきりに灰皿に小刻みに擦り当てていました。タバコを吸う人がよくやる行為です。
 僕は、その場面を見て思ったのです。
「そうか、伸助さんでさえ禁煙は続かないんだ」
 あれほど、「ごはんがおいしくなる」と語り、禁煙の効用を語っていた伸助さんが喫煙者に戻っていたのです。僕が自分自身について「禁煙に成功するはずがない」と悟ったのも無理なからぬところでしょう。
 禁煙を指南する本を幾つか読んだことがあります。また、禁煙に成功している人の話も聞いたことがあります。それらを見聞きした感想としては、「禁煙の辛さ」は人により違うようです。ある人は「3日目が一番苦しい」と言いますし、またある人は「1週間我慢すればそれほど大したことでもない」と話していました。僕に関して言いますと、まだ2週間ですが、「いつが辛い」というより「ずっと辛い」といった感じでしょうか。「辛い」とう表現も僕の感じている気持ちとは今一つ違うような気がします。ただ言えることは「吸いたくなる」気持ちがなくなることはないことです。この「吸いたい」という気持ちさえなくなったなら、もっと簡単に禁煙に成功すると思うんですけどねぇ…。
 禁煙に成功した人たちは「吸いたい」という気持ちがなくなっているのでしょうか。それが知りたい今日この頃です。
 ところで…。
 僕は今までにいろいろな禁煙方法を試しています。例えばパイポ。タバコの代わりに吸う器具ですが、これはタバコの代わりにはなることはなく、禁煙には全く役立ちませんでした。そのほかには、「タバコが嫌いになる飴」というものを試したことがあります。たまたま薬局で見つけたのですが、この飴を舐めたあとにタバコを吸うとまずく感じてタバコを吸わなくなる、と謳っていた飴でした。これは最初のうちこそ「効果があった」のですが、次第に慣れてしまい、謳っている効用とは反対に、飴を舐めたあとのタバコがおいしく感じるようになってしまいました。つまり、「タバコが嫌いになる」どころか飴とタバコがセットになってしまったのでした。これではなんの意味もありません。
 今回の禁煙方法は単純でして、「ただ我慢する」だけです。
 本文でも書きましたように、僕が禁煙を考える動機は経済的な面と同じくらいに健康の面もあります。ですが、実はそれら以外にもあと1つ大きな動機があります。それは精神的な面です。
 具体的に言いますと、タバコに「縛られる」ことに対する反発です。タバコを吸いたくなる気持ちは決して自分の気持ちから起こっているわけではありません。タバコに含まれるニコチンが足りなくなってきたときに、ニコチンが脳に「体内に採りいれるよう」に働きかけているからです。つまり、タバコに自分の意識がコントロールされていることになります。これほど悔しいことはありません。とても不愉快です。
 僕は自分のことは自分で決めたいのです。ニコチンなどの命令に指図などされたくありません。僕はニコチンから自由になりたい! そのための禁煙です。
 そんなことを考えていましたら、民主党の小沢氏が行政訴訟を起こしたという記事に接しました。ご存知の通り、小沢氏は検察審査会により強制起訴されることが決まりましたが、その議決そのものを裁判で問おうとする行動です。小沢さんは、自らが国民にコントロールされるのがとても不愉快なのでしょう。
 じゃ、また。




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