<新しい人たち>

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スポーツ大好きオジサンの僕としては今週もWBC(ワールドベースクラシック)について書きたいと思います。先々週も書いていますのでアレですが、これだけ感動的な場面を連続して見てしまいますとやはり書かずにはいられません。

先々週も書きましたが、これまでにない視聴率の高さは本当に驚きです。近年では「野球よりもサッカーのほうが人気が高い」と思っていましたので本当に予想外の出来事でした。昔に比べますとこれだけ多種多様なスポーツが広まっている中で視聴率が40%を超えたのは驚異的で、まだまだ「野球も捨てたものではない」ことを実感しました。

いつ頃まででしょう。あまり覚えていませんが、僕が子どもの頃はテレビのゴールデンタイムは野球中継が常識というか一般的でした。当時は巨人の人気が圧倒的でしたので、テレビ局は巨人戦の争奪に血眼になっていました。一般の人の娯楽として、野球が社会に浸透していたことが一番の理由だからですが、それを証明するかのように放映時間が延長することも度々ありました。ときに、ちょうどいい場面で放送時間が終わろうものなら、視聴者からクレームの電話が殺到していたくらいです。それくらい野球はテレビ・メディアの目玉番組でした。

それがいつしか視聴率がとれなくなり、野球中継が消えていきました。そうした時代の流れを見ていただけに、今回のWBCの視聴率40%には驚くばかりです。先ほど「巨人戦の争奪」と書きましたが、当時は巨人戦以外はほとんど放映されていなかったのですが、裏を返すなら野球に人気があったというよりは「巨人に人気があった」というほうが正しいかもしれません。

僕が子どもの頃は「巨人 大鵬 たまご焼き」というキャッチフレーズがあったのですが、それほど巨人の人気がダントツでした。ちょうど長嶋茂雄選手や王貞治選手が絶頂期の頃です。この状況を視点を変えて見ますと巨人戦以外は人気がなかったことになります。今の時代は球団が集客に工夫をした努力の結果として、どこの球場もお客さんが入っています。ですが、当時は巨人戦以外はどこの球場も、特にパ・リーグは閑古鳥が泣いているのが普通でした。

「人気のセ・リーグ 実力のパ・リーグ」という言葉があったのですが、巨人以外でもセ・リーグの球団はまだお客さんが入っていましたが、パ・リーグは本当にお客さんがいないのが当たり前の光景でした。そうした状況をからかうかのように、バラエティ番組などでは、パ・リーグの試合中にガラガラの外野席の端のほうで「イチャついているアベック」を映して笑いを誘ったりしていました。

「アベック」と書きながら、今の人には通じない可能性がありますので説明しますと、今でいうなら「カップル」のことです。「カップル」も古いのかしら…(笑)。ええい、「恋人同士」でどうだ!

球場にお客さんが来ないということは、球団だけで考えますと赤字ということになります。それにもかかわらず親会社が球団を持っていたのは「広告」の意味があったからです。つまり球団運営を宣伝費ととらえていたので、野球で利益を上げようなどとは微塵も考えていませんでした。だからこその「閑古鳥の球場」です。

しかし、時代の移り変わりで野球界も変わっていきました。僕の記憶では最初に球団改革を行ったのは「西武」です。野球でも利益を上げることを目指すようになりました。その成功例がほかの球団にも行きわたり現在の野球界につながっています。いろいろな工夫をしてお客さんが球場に行きたくなるような環境を作るようになっていきました。僕の記憶というか想像では、Jリーグがはじまったのも関係しているのかもしれません。

話が大分逸れましたのでWBCに戻します。日本での試合の人気を保ったまま米国に移動してのトーナメント戦・メキシコ戦だったのですが、これがまた激戦の中での劇的勝利でした。この試合はWBC大会の「ベスト試合」に選ばれたそうですが、それだけの価値がある試合内容でした。実は、僕は当日は仕事がありましたのでリアルでは観ていないのですが、お昼ご飯を食べたときにスマホのニュースでサヨナラ勝利を知り感激しました。

そのときの感動がありましたので夜の再放送を見たのですが、その時間にテレビで野球を見たのは本当に久しぶりで、いったい何年ぶりだったのでしょう。覚えていないくらい前ですので、もしかすると10年以上ぶり、いやそれ以上かもしれません。そもそも僕はゴールデンタイムはご飯を食べながら見る番組以外はテレビを見ません。年をとったおじさんによくあるパターンですが、NHKのニュースと鶴米さんとタモリさんの番組を除いてはほとんどテレビを見ないのです。

我が家のテレビの主導権は妻が握っているのですが、僕からしますと妻が好むバラエティ番組がつまらないのです。それを見るよりは自室にこもってパソコンでいろいろな記事やYouTubeを見ている方が充実した時間を過ごした気分になります。

普段見ているニュースや読んでいる記事は時間の関係でどうしても浅くしか伝えることができません。ですので、もう少し深堀をした記事とか普段のニュースではあまり取り上げない経済とか国際的な記事、または少しばかり視点を変えて伝えている記事などを読んでいます。僕的にはそのほうが充実した夜の時間を過ごせます。逆に言いますと、こうした時間の過ごし方をしないほうが落ち着かない気分になってしまいます。

そんな夜の時間の過ごし方をしている僕が、今回のWBC大会では試合をすべて見ていました。サッカーの試合は時間が決まっている競技ですが、野球は時間が決まっていません。ですので、均衡した試合ではサッカーの倍以上時間がかかることもありますが、今回はまさにそうした試合展開でした。それでも僕は開始から最後まで見ていました。

普段ですと、ニュースのスポーツコーナーで済ませるのですが、今回は最初から最後まで試合をすべて見ました。これは僕にしては実に画期的なことで、そうした行動を僕にとらせたダルビッシュ投手や大谷選手はには尊敬の念しかありません。

ダルビッシュ投手の後輩選手たちのへの気遣いはとても気持ちのよいものでしたし、大谷選手の勝利に対する強い気持ちはスポーツの魅力を感じさせるものでした。かつて「2位じゃ、だめなんですか!」とコンピューターの性能に関して科学者を問い詰めた国会議員がいましたが、どんなことでも頂点を目指すことに意味があり、頂点を目指さない姿勢に成長・進歩はありません。

大谷選手はまさにその成長・進歩を求めている野球選手です。これまでいったい誰が「二刀流」を実践しようとしたでしょう。名選手であり名監督でもあった野村克也氏でさえ、「プロを舐めている」と二刀流に批判的でした。誰もが否定的どころか考えることさえしていなかった「二刀流」を実践しているのですから成長・進歩以外のなにものでもありません。

ダルビッシュ投手がメジャーに行って最も変わったのは練習方法のようです。日本にいた当時のコーチとの対談でそうした練習方法の違いを話していました。日本で行われている練習方法の「間違いを」と言っては言い過ぎですが、問題点を理論的にきちんと指摘していました。新しいことに挑戦する、試みるのはいつも若い人たちです。

最初に芋を洗って食べたのは若い猿でした。拓郎さんは「古い船を動かせるのは古い水夫ではなく新しい水夫」と歌っています。いったいどこの誰が「泥がついたストーパー」を想像したでしょう。

古い人たちは若い人たちの行く先を邪魔してはいけません。

と古い人が書いています。

じゃ、また。




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