<テレビ情報>

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シンガーソングライターの谷村新司さんがお亡くなりになりました。僕は特段に強い思い入れがあるアーティストではないのですが、なぜか、これまでに報じられてきた著名人の逝去報道の中で最も気分が落ち込んだ気がします。腸炎と報じられていますが、療養中だったことを知りませんでした。

落ち込んだ理由を自分なりに考えてみたところ、74歳という高齢ではありますが、人生を終えるには早すぎる年齢だったことが関係しているかもしれません。この年代で活躍しているアーティストの方々は、ちょうど僕が青春時代を過ごしていたときに音楽界を席巻していた方々です。若い頃のような活動はできないにしても、年齢に合わせた活動はできるように思っていただけに残念でなりません。

僕が好きだったジャーナリストに筑紫哲也さんという方がいるのですが、この方も確か同年齢でお亡くなりになったと記憶しています。筑紫さんもご病気が原因だったのですが、高齢になりますと、寿命年齢のほかに病気という災難が人生に立ちふさがってくることを実感させられました。

実は、僕がこれまでで一番ショックを受けた逝去報道は女優の岡江久美子さんです。まだ63歳という若さだったのですが、コロナが原因でした。コロナが広がりはじめた、本当に初期だったのですが、まだ治療法が完全に確立されていなかったことが要因だったように思っています。同じ時期にコメディアンの志村けんさんも同じような状況でお亡くなりになっています。誰しもいつかは人生を終えますが、好きな方々の訃報を見聞きしますと、やはり悲しい気持ちになります。

最近はスーパーやショッピングモールなど人が集まる場所でもマスクをしない人が多くなっています。受け入れる側にしてもお客との境界を仕切るアクリル板とかビニールも取り払われています。コロナのピークが過ぎたことを実感しますが、ワクチンなど対処法が確立していることが大きな要因です。もし、コロナが広がる初めの頃から対処法が確立されていたなら岡江さんも志村さんも、まだ元気な姿で活躍していたであろうと思うと本当に残念です。

そんな悲しい気持ちをひとまず置いておくとして、最近、自営業の僕からしますと気になる報道が幾つかありました。まずは今月から始まったインボイス制度です。ニュースなどではインボイス制度が始まる9月末まで幾度も「反対の声を上げているフリーランス・自営業者」を報道していましたが、結局は中止になることもなく始まっています。

僕も自営業者ですので全く無関係ということもないのですが、対策はなにもしませんでした。理由は、「なにもしなくていい」と考えていたからですが、僕の発注元は零細企業でしたのでインボイスが始まっても「影響がないはず」と勝手に推測していました。テレビなどではしきりに不安を煽る広告が流れていましたが、個人事業主や小規模の会社ではあまり関係ないはずです。

freeというクラウド会計ソフトがあるのですが、そのサイトに書かれている記事を引用します
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消費税の納税方法は、本則課税と簡易課税の2つに分けられますが、インボイス制度の導入で納税方法などに大きく影響するのは本則課税です。簡易課税制度を選択している事業者はその納税方法に大きな変更はありません
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「関係ない」と思った理由は、僕の発注元が簡易課税制度を選択していると思うからです。簡易課税制度を簡単に説明しますと、「売上げに対して消費税を計算する方式ですので、取引先から適格証明書を受け取る必要がない」制度です。実際、発注元からはなにも通知はなく、これまでどおりの取引方法で問題は起きていません。

僕の推測では、広告で喧伝されているほど個人事業主や零細企業は「インボイス制度」を不安に思う必要はないはずです。先ほど説明しましたように、ほとんどの零細規模の事業者が簡易課税制度を選択しているはずだからです。それにもかかわらずあたかも大変であるかのように広告が打たれているのは、広告主がこの機会を活かして売上げを上げようと画策しているからです。言うまでもなく広告主とは会計ソフト関連の企業です。

このような広告を見ていますと、今から20年ほど前の「ISOバブル」を思い出します。「ISO」とは国際標準化機構というのですが、僕なりに簡単に説明しますと「きちんとした状態で企業活動をしていますよ」というお墨付きを与える機構です。詳細につきましては、「https://shuden.co.jp/reports/iso9001-2015_2021/2/」を参照していただくとして、僕の感覚では、結局は認証を与える業界が潤っただけのように思います。今回のインボイス制度でも同じ臭いを感じているのですが、不安を煽るような情報に振り回されないことが大切です。

次に気になったことは「おにぎり屋さん」です。僕は晩御飯のときにNHKの「クローズアップ現代」という番組を見ているのですが、先日その番組で「おにぎり屋さんが増えている」と報じていました。お店がかなり増えているらしいのですが、僕からしますと「罪づくり」です。

ちょっと前ですと、「から揚げ」が同じようにブームになり雨後の筍のようにお店が開店していました。僕の目には「から揚げ」の次に「おにぎり」がきたようにしか映りません。実はこうした状況は今に始まったことではなく、僕がラーメン店を開業した30年以上前から起きていました。なにを隠そう僕自身がラーメン店を始めたのもその状況に「乗った」というか「流された」からです。もちろん当時はそんなこととは「露とも知らず」でしたが、「経験しないとわからないのも事実」と今では思っています。

僕はラーメン店の数年後に「コロッケ店」も営みましたが、飲食業界のブームはいろいろな業種で起きています。「タイ焼き」もありましたし「食パン」もありましたし、「カレーライス」もありました。これらのブームはいつもマスコミで報じられるのですが、共通点は「マスコミで報じられるときは、すでにピークを過ぎている」ということです。僕が「クローズアップ現代」を「罪づくり」と評したのは「今ごろ報じて」と思うからです。

仮に、その番組を見て興味を持ち、業者に連絡をするとしたなら、もちろん業者は喜んで対応してくれるでしょう。業者からしますと連絡をしてくる人は、莫大なお金を運んでくれる顧客です。ブームになる業種はほぼすべてが「フランチャイズシステム(以下FC)」ですが、基本的に「FC」は本部が儲かるようなシステムになっています。僕自身が経験者ですので「脱サラ考察」内で警告を発していますが、世の中に広がることはありません。

外食産業に限らず、様々な業種で新しい「FC」本部が立ち上がっているのですが、その理由は自らが「身体を動かして作業をする」よりも加盟店からロイヤリティを徴収するほうが楽に儲かるからです。もしかしたなら良心的な本部もあるかもしれませんが、そうした本部は稀有です。実際、現在でもいろいろな裁判が争われています。

今年の3月には、高級食パンをウリにしたFCが加盟店から訴えられました。文春オンラインの報道では「すべての加盟店が赤字」と報じられています。「から揚げ」同様、同じようなお店がどんどん増えるのですから赤字になるのも当然のように思います。

このように外食産業では黒字を維持するのは本当に大変です。そうした実態がある中で、「クローズアップ現代」が「おにぎり屋さん」をいかにも好評を博し儲かっているかのように報じていたのが気になって仕方ありませんでした。

新しくお店を開業するときに「小資金」を魅力にしている場合がありますが、そのメリットは「はじめやすい」ことです。しかし、よく考えてください。「はじめやすい」ということは、それだけ参入する人が多いことで、それはすなわち「競争相手が多いこと」になります。そうした深いところも伝えなければ考え違いをする視聴者がいそうで心配になりました。

テレビで番組を製作している人は、取材対象については素人だ! という結論で今週は終わりにしたいと思います。

じゃ、また。




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