<noteのゴールドラッシュ理論>

pressココロ上




僕はヤフーのニューストピックス、いわゆる「ヤフトピ」を毎日チェックしているのですが、先日その「ヤフトピ」に「Sportsnavi」というサイトの記事が紹介されていました。内容は男子バレーボールの柳田将洋選手についての思いを綴ったものですが、バレーボールには関心がありましたので記事のサイトを訪問しました。すると、驚いたことに「noteから転載した記事」と注意書きがありました。

この記事の大元が「note」だったことになりますが、つまりは「note」から「Sportsnavi」へ、そして「ヤフトピ」へと階段をかけ上がっていったことになります。これって、結構「すごい」ことなのではないでしょうか。「note」に投稿している方々は、自らの文章を世の中に認めてもらうことを目標として記事を投稿している人が多いはずですが、その理想の形です。

「ヤフトピ」はポータルサイトですので、世の中に出回っている途方もない量の記事の中から選別するという作業を行っています。言うまでもありませんが、紹介に値する価値ある記事を選んでいるはずですので、そこに選ばれることは社会的に評価されたことにもなります。おそらく「note」に投稿しただけでは「ヤフトピ」に選んでもらうことはなかったはずで、その前段階として「Sportsnavi」に選んでもらったことが大きな要因です。なんか、トーナメント戦を勝ち進んでいるのに似ています。

男子バレーボールについては、僕も簡単にではありますが、7月に書いていました。僕は柳田選手ではなく石川祐希選手についてですが、Mami.y*さんほどの強い思い入れはありませんでした。ただ、これまでの日本人選手が腰掛の気分でイタリアに行っていたのに対して、石川選手は本気で乗り込み、そしてキャプテンまで務めていることに感激したことを書きました。

それはともかく、僕はMami.y*さんの記事が「Sportsnavi」さんに選ばれた経緯について興味を持ちました。可能性を探りますと、普通に考えられるのは「Sportsnavi」さんの記者もしくは編集者が定期的に「note」をチェックしている、ことです。よく「出版界では才能のあるライターを探している」などと聞くことがありますが、その一環としての行動です。

それにしても「note」を見ていますとつくづく思いますが、世の中には才能があると思しきライターさんがたくさんいることに驚かされます。単にきっかけがないだけで、なにかしらのタイミングさえ合えば「開花しそうなライターさんが埋もれている」と感じているのは僕だけではないでしょう。

ですので、「ライターを探す目的」で「note」を細かくチェックしているとは、考えづらいものがあります。矛盾しているような書き方ですが、それなりの人数がいるのですから、わざわざ「note」で探すまでもない、という意味です。なにかの記事で読みましたが、編集者という職業はとても忙しくサイトを「チェックする」時間などないそうですから、やはり「探していた」はないように思います。そこで、考えられるのは「経験者」です。

一応投稿者は「Mami.y*さん」となっていますが、実は実績のある「書き手」が匿名で投稿している可能性があります。プロフィールを見ますと、投稿の実績もこの記事以外はありませんので、どのような方なのか詳細はわかりません。そこで、疑い深い僕が俄然思ったのは、「note」に投稿することを「Sportsnavi」さんに事前に知らせることができる経歴の持ち主という推測です。

つまりは、素人ではなく「プロ」もしくは「セミプロ」という可能性ですが、これは無きにしも非ずです。なにしろ素人にしては文章がうますぎます。投稿実績がゼロの人が書ける文章ではありません。それなりに熟練した「書き手」の印象を受けましたので、疑うわけです。真相はどうなのでしょう。

先日、久しぶりの島田彩さんの投稿を拝読しましたが、やはりプロの方は違います。前々から思っていましたが、読んでいて感動する文章をなんの苦も無く書いているように感じます。島田さんのほかにも魅力的な文章を書く人はいますが、日本人であるなら誰でも文章を書くことはできますが、魅力的な文章となりますと限られてきます

先日将棋で八冠を達成した藤井壮太さんとか、メジャーでホームラン王を獲得した大谷選手といったそれぞれの分野で頂点を極める人たちは、もちろん努力もしているでしょうが、才能が占める割合も大きいはずです。文章についても同じはずです。日本人であるなら誰でもが書ける文章ですが、魅力的な文章は誰でもが書けるわけではありません。

僕のサイトは「脱サラ」を考えている人に、情報に踊らされることなく冷静に判断することを呼び掛けていますが、その核心は「ゴールドラッシュ理論」にあります。サイトでも書いていますが、「ゴールドラッシュ理論」を利用して不埒な利益を得ようとする人には注意をする必要があります。

1848年にアメリカで起こったゴールドラッシュのとき、多くの人が金を求めてカリフォルニアにやってきました。ですが、実際に儲けることができたのは金の採掘に来た人ではなく、その人たちを相手に商売をした人たちだった、という事例を「ゴールドラッシュ理論」と言います。Jパンのリーバイスの起業もこのときが発端だったことは有名です。ちなみに、この事例は経済学者の野口悠紀雄氏の記事で読んだもので、僕が勝手に命名した理論です。

「note」を見ていてときどき気になることがあります。それは「ゴールドラッシュ理論」を思い浮かべる記事を目にすることが多いことです。「note」にやってくる人たちはもの書きで成功を夢見ている人たちです。そうした人たちを「商売の相手に」と考える人たちが集まってくるのも自然の流れです。

「文章の書き方」から「仕事発注者の探し方」まで、素人の心をくすぐるような文言を目にします。まさに「ゴールドラッシュ理論」を活用しているように見えます。最初に「あれ?」と思ったきっかけは、あるイラストレーター・童話作家さんの投稿でした。その方の投稿は長い間見ているのですが、いつまで経っても「スキ」が増えないのです。たまに多いときで「10」を超えるくらいで、普段は一桁の真ん中あたりを行ったり来たりする「スキ」の数でした。

これほど業界経験も長く、ファンも多そうな方でも「スキ」が少ないことが僕は不思議でした。そうした状況の中、先日、出版した絵本が重刷を重ね「10刷りになりました!」という喜びの報告がありました。このことはつまり、「note」には訪れていないたくさんのファンがいることを示しています。

そこで思ったわけです。「note」って「読みたい・見たい」という「受け手」の人たちが訪れている場所ではなく、「書きたい・描きたい」という「送り手」の人たちが集う場所なんだ、って。そう思ったときに、「ゴールドラッシュ理論」が頭をよぎり、そうなりますと、余計に「集まる人を相手に商売する人」が目につくようになりました。

「note」を訪れている皆さん、素人を相手に良からぬことを考えている商売人には注意をしましょう。

じゃ、また。




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