<ナチスは選挙で選ばれた>

pressココロ上




このコラムを書き始めようとする、ちょっと前に衝撃的なニュースが流れてきました。女優の竹内結子さんの死亡です。まだ速報の段階ですので詳細はわかりませんが、自殺の可能性が高いようです。おそらく今週のバラエティー番組は竹内さんのニュースで埋め尽くされるでしょうが、シングルマザーとしてしっかりと生きているように思っていましたし、昨年年下の男性と再婚もしていましたので驚くばかります。

ここ最近は芸能人の自殺が続いていますが、あまりに続いてしまいますと、段々と慣れてきてしまい、少しずつ「命の重さ」に鈍感になりそうで不安です。人間の感性は時間の経過とともに鈍化する傾向がありますので、注意が必要です。

米国で黒人男性が警察官により死亡させられた事件をきっかけに、「BLM運動」が盛り上がっています。しかし、それ以降も黒人差別により亡くなる事件が続いていますが、おそらく日本で暮らす人からしますと、僕も含めてですが、「ああ、またか」と感じてしまう程度の受け止め方になっています。

このようにして少しずつ衝撃度も薄れてしまうのですが、そうした感性は次第にその出来事に対して関心を失わせることになります。弱者救済に生涯をささげたマザー・テレサ氏は「愛の反対は無関心である」と話しています。世の中を平等で公平で、だれもが普通に暮らせる社会にするには世の中のいろいろなことに関心を持ち続けることの重要性を教えています。

ここ数日、ニュース関連でよく耳にするのが米国の最高裁判事の人事についてです。先週、米国のルース・ベイダー・ギンズバーグ最高裁判事という方が亡くなりました。この方は女性なのですが、この方の死が大統領選の結果に影響する、といろいろなメディアが伝えています。

僕は最初はあまり関心を持たなかったのですが、あまりにいろいろなメディアで報じていましたので興味を持つようになりました。簡単に説明しますと、今回の大統領選は郵便投票を利用する人が増えるそうですが、その郵便投票ではトランプ氏はかなり不利になるそうです。

つまり、トランプ氏は郵便投票では負けるということなのですが、その結果に対してトランプ氏は「郵便投票の不正による無効」を訴えるそうです。その際に審理をするのは最高裁ですが、その判事は9人いるそうで、この9人の構成が重要になっています。

トランプ氏に同調する人を保守派、反対する人をリベラル派としますと、ギンズバーグ最高裁判事が亡くなる前の段階で、リベラル派が4人保守派が5人の構成でした。法律上、最高裁判判事を指名するのは大統領なのですが、トランプ大統領は当然自分を支持する保守派を指名します。

そうしますと最高裁判事の構成は保守派が6人、リベラル派が3人となります。つまり、トランプ大統領が「郵便投票の不正」を訴えた場合、仮に大統領選に負けたしてもその選挙結果が認められない可能性が出てくるのです。その場合、大混乱になるのは間違いありません。

すでにトランプ大統領は選挙結果に対して訴える可能性を示唆していますので、実際に負けた場合、米国がどうなってしまうのか心配です。こうした状況が予想されますので、今回の最高裁判事の指名は大きな問題なのです。

先ほど確認しましたところ、トランプ大統領は保守派のエイミー・バレット氏を指名したそうです。あとは議会の承認を受けるのですが、上院もトランプ氏を支持する共和党が多数を占めていますのでおそらく承認されるしょう。

最高裁判事の構成は大統領選挙以外に生活全般に対して大きな影響があります。保守派が多い場合は保守派の目指す社会になりますし、リベラル派が多い場合はリベラル派が目指す社会になります。例えば、保守派が目指す社会は「妊娠中絶禁止」や「移民受け入れ反対」などです。

さらに問題を大きくしているのは、最高裁判事は定年がないことです。つまり、一度指名されると死ぬまで最高裁判事を務めることになりますので、最高裁判事の構成員の割合が変わらないことになります。これは司法の独立を担保させるための規定ですが、場合によっては問題点になることも示しています。

民主主義は選挙というシステムで治世者を決めますが、選挙で投票するのは一般に暮らす国民のひとりひとりです。そして、そのひとりひとりは自分を幸せにしてくれそうな治世者を選びます。そのときに起きる問題は、それぞれの人が常に正しい判断をするとは限らないことです。

ナチスはヒットラーという独裁者によって残虐な人種差別を行いましたが、そのナチスはきちんとした選挙によって選ばれています。独裁者という言葉から、一般の国民は無理やりヒットラーを誕生させてように思いますが、決してそうではありません。繰り返しますが、ナチスは選挙によって選ばれていることを押さえておく必要があります。

ヒットラーは当時の国民の不満を上手に利用して、権力のトップに上り詰めました。独裁者になったのは権力を掌握してからです。歴史に「もし」や「たら」は意味がありませんが、もしドイツの人たちがヒットラーの策略を見抜いていたならユダヤ人虐殺など起きなかったかもしれません。

独裁者は「大衆の不満という感情を上手に刺激して、うまく煽り、燃え盛らせることに長けている人」です。自分の生活が困窮しているときに、助けてくれる政治家を支持したくなるのは当然です。ですが、その政治家がほんの一握りの国民であろうとも、誰かの自由を制限したり、傷つけたりする施策をする人であるなら、選んではいけません。

正義は、だれにとっても正義でなければいけません。だれかが傷つく正義は偽物の正義です。米国の方々は、そのことを肝に銘じて選挙に臨んでほしいと思っています。「行き過ぎたファースト主義」は正義にはなり得ません。

…部外者より。

じゃ、また。







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする