衆議院選挙はまだ公示もされていませんが、あと2週間しかありません。僕がコラムで取り上げることができるのも来週までの1回ですので、選挙についていろいろと書いていきたいと思います。
僕が選挙があるたびに落胆するのは投票率の低さです。社会に対する自分たちの思いを示すことができる数少ない機会なのですから是非投票してください。一票を投じるのは未来の人たちに対する大人の責任です。今は期日前投票もやりやすくなっていますので気軽に投票することができます。僕も以前一度利用したことがありますが、本当に簡単に投票することができました。
さて、昨日晩御飯を食べたあとにネットを見ていましたら、午後7時30分から「生放送のネット番組で党首討論が行われる」という告知を目にしました。早速、サイトに飛びますとすでに討論は始まっていたのですが、とても面白かったです。討論内容も興味深かったのですが、番組の進行形式にも好感しました。
これから投票日に向けていろいろな番組で党首討論が行われると思いますが、これまでの討論番組を見ていて残念なところは各党首の話の持ち時間に不公平感を感じることです。政党の大小に関わらず主張する時間は公平であるのが理想の形です。しかし、ときに司会者が話を遮るタイミングを逸したために長々と話し続ける人もいます。僕は討論番組を見るたびにこうした不公平をなくす工夫をしてほしいと思っていました。
今回のネット討論は、この僕の思いをかなえてくれる番組作りになっていました。その工夫とは制限時間になりますと会場全体に音がなり、会場の雰囲気が意見を言えない感じになることです。おそらく各党首のうしろが電光掲示板になっていたことも影響していたと思いますが、制限時間を守るという雰囲気になっていたのはともて好感でした。僕は、声が大きい人や自分の意見を長々と訴えようとする人を好きになれませんので安心して見ることができました。
討論の内容について少し触れますと、「あの番組内だけに限って」という注釈はつけますが、共産党だけに批判が集中していた感があります。僕が見ていた感じでは小池さんは
自らの「希望の党」が掲げた公約に対するつっこみをかわすために意図的に共産党に集中砲火を浴びせていたように感じました。
現在の政党で安保関連と改憲に正面から反対を示しているのは共産党だけですから攻めやすかったのかもしれません。僕が少し驚いたのは立憲民主党の枝野さんが面と向かって共産党の安保や改憲の主張を突き放す発言をしていたことです。立憲民主党が設立されたとき、共産党は歓迎するコメントを出していましたし、選挙協力も視野に入れているような発言をしていましたので少々驚きました。
今週のコラムは政治の細かい話から入ってしまいましたので若い読者の皆さんはつまらなく感じたかもしれません。そこで政治とは離れたちょっと変わったお話をしたいと思います。
ネット党首討論を見ていましたら司会者の顔に見覚えがありました。なんと夏野剛さんが行っているではありませんか。夏野さんがドワンゴの役人に就任したのは以前なにかで読んで知っていましたが、司会までやっているのは驚きでした。番組を見ていたところ、実際の番組進行は隣に並んでいた馬場典子アナウンサーが仕切っていましたので〇〇という役割だったのかもしれません。
夏野さんは今ではIT業界の重鎮の立場ですが、僕が初めて夏野さんを知ったのは「社長失格」という本を読んだときです。この本は僕がちょうどサイトを立ち上げた時期で「起業」というものについて知識を持ち始めた頃です。「社長失格」の著者は板倉雄一郎氏さんというIT起業家の成功と挫折の軌跡を書いた本ですが、その中で副社長という立場で登場します。
ビジネス界に詳しい人は「夏野 剛」さんと聞いて「iモード」を思い浮かべるかもしれません。夏野さんは「iモード」が成功したお話にも登場します。今の若い人には「iモード」を知らない人がいるかもしれませんが、スマホが登場するまで使われていた通信機器です。
「iモード」の成功で最も有名になったのは「松永真理」さんですが、松永さんは元リクルートの社員で雑誌「とらばーゆ」の編集長を務めていた方です。
その松永さんをスカウトしたのがNTTドコモの「榎 啓一」さんという方で、松永さんがリクルート時代に知り合っていた夏野さんをスカウトしたわけです。松永さんの著書「iモード事件」にはそうした話が出てくるのですが、この本で興味深いのは大企業における物事の決定の仕方やコンサルタント業という業種の役割および弊害です。また松永さんは独身女性の生き方の一つのモデルとしても多くの女性の参考になるように思います。
あと一つこの本で興味深く感じたのは松永さんをスカウトした榎さんという方がほとんどマスコミ出てこないことです。ここから先は僕の想像ですが、榎さんという方はいい意味で上昇志向が高くない人ではないかと思いました。つまり、僕からすると「いい人」ということになりますが、経歴を見ますと最後はNTTの関連会社の社長で終えていますが、早稲田の大学院を卒業して、また民営化されていない日本電信電話公社に入社しています。
この時代に早稲田を卒業して通称「電電公社」に入るのはエリートです。ですが、入社してからの足跡をたどりますと、NTTの子会社へ移籍しているのをみますといわゆる左遷というと大げさですが、エリートコースから傍流へ行かされた感じがします。しかし、そこで大成功をしたわけですが、大成功をしてそれが役職に反映しないというのが大企業の悲しさです。
僕は大企業どころか普通の企業にさえ3年間しか勤めたことがありませんのでサラリーマンの社内における人間関係や出世競争を体験したことはありません。ですので、すべて僕の想像でしかないのですが、榎さんはiモードで成功しながら本流に戻ることがなかったのはご自身の人生観が影響しているように思います。
企業で、特に大企業では社長にまで上りつめるまでには嫉妬や反目や派閥力学などいろいろな障害をはねのけることが必要です。その際には結果的にほかの人を追い落としたり傷つけたりすることになります。そうしたことを乗り越えた人だけがトップになれるのです。
例えば野球でしたら打率とか防御率などといった数字が出ますので評価がをしやすいですが、ビジネスの世界は単純ではありません。そこに本当の評価以外のものが入り込む隙ができます。そこを嫉妬心や出世欲を持った人が利用することになります。
ですが、経営というのは実態を表面化する力がありますので嫉妬心や出世欲といったネガティブなものをエネルギーとして上りつめた人がトップに就任した企業は必ず業績が悪化しますし、最悪の場合は倒産の憂き目に遭います。ですから、そこで修正が図られることができます。
ですが、政治の世界はトップに問題があってもそれが表に出にくい構造になっています。つまり、いくらでも言葉で誤魔化すことができるのが政治です。ですから、僕たちは「政治家が発する言葉をしっかりと分析して本当の姿」を見極めることが必要です。
じゃ、また。