<苦労人にわかる苦労人>

pressココロ上




僕は芸人の博多華丸大吉さんが大好きです。理由は単純なことですが「前へ前へ」と出ないにもかかわらず面白いボケやツッコミをするからです。実は、今回華丸大吉さんについて書くにあたり過去のコラムをチェックしましたところ2019年4月に一度書いていました。そのとき取り上げた理由は、例の「芝生デート報道」があったからです。

憶えている方も多いでしょうが、ラジオで共演している博多大吉さんと赤江珠緒さんが「真昼間の公園で芝生の上でデートをしている」と写真週刊誌が報じました。W不倫ということでマスコミが一斉に盛り上がったのですが、のちに誤解は解け、結局デートではなく単なる仕事の打合せであることで落ち着きました。その騒動についてコラムで書いていました。

話は逸れますが、このとき芝生デートを報じたのは「フライデー」という写真週刊誌です。やはりここ最近でスクープを連発するのは週刊文春ですが、かつては写真週刊誌のほうが世の中を席捲していました。なにしろ「FOCUS」「FRIDAY」「FLASH」など写真週刊誌だけで数社がひしめき合っていたのですから、時代の移り変わりを感じずにはいられません。

それはともかく、僕は博多華丸大吉のお二人を大好きなのですが、その理由は長い芸歴を持ちながらも驕ることもなく、二人の関係がすれ違うこともなく、地道に芸人を続けているからです。おそらくそうした姿勢がNHK「あさイチ」のプロデューサーの目に好感したのでしょうが、爆発的人気がなくとも地道に活動することの大切さを教えてくれる華大さんです。

繰り返しになりますが、僕が華大さんを好きなのは、特に大吉さんを好きなのは「でしゃばらずに」的を射たツッコミをするからです。ですが、東京に出てくるきっかけを作ったのは華丸さんが一人で演じるコンテスト番組『R-1ぐらんぷり』で優勝したことでした。なぜか僕はそのときに優勝トロフィーを持っている華丸さんのうしろで大吉さんが笑顔で映っている写真が脳裏に刻まれています。

そのときの大吉さんの包み込むような笑顔がとても印象的だったのですが、僕が初めて華大さんを知ったときかもしれません。どんな芸人さんでもブレイクするには、きっかけが必要です。僕は華大さんのきっかけはその『R-1』だとずっと思っていました。しかし、よくよく考えてみますと『R-1』は漫才ではなくピンのコンテストです。そこで優勝したのですから、考えようによっては「華丸さんだけ」が注目され、仕事も華丸さんだけに舞い込んでもおかしくないはずです。

ですが、『R-1』をきっかけにして博多華丸大吉という二人でブレイクしています。その後のお二人の関係を見ていますと、大吉さんが仕切り役になり、華丸さんは補助的な立ち位置にいます。NHKの「あさイチ」でも番組を進行する役を担っているのは大吉さんですし、実際、漫才のネタを考えるのも大吉さんだそうです。

このような現在のお二人の関係、立ち位置を見ていますと大吉さんのほうが上で華丸さんが下のような関係を想像してしまいます。邪な連想をしますと、大吉さんが華丸さんを従えている雰囲気をみることもできます。

ですが、先日のたまむすびで大吉さんは正反対のことを話していました。その日のテーマは「転機」だったのですが、それに関連して大吉さんは博多華丸大吉がブレイクした転機は「華丸さんが『R-1』で優勝したこと」と明確に話していました。僕はますます大吉さんを好きになってしまいました。大吉さんはあのときの華丸さんに対する感謝の気持ちをひと時も忘れていなかったのです。

「あのとき華丸さんが優勝してくれていなかったら、今、僕はこの席にも座っていない」とまで話していました。「驕る者久しからず」ということわざがありますが、華大さんが落ちぶれることはこれからもずっとないでしょう。

二人の関係が良好でいられるのは片方だけの人徳ではありません。相手の人も人徳があるからこそ成り立つ関係です。華丸さんを偉いと思うのは、自分が優勝したことがブレイクのきっかけだったにもかかわらず「恩に着せる」とか「鼻にかける」素振りを全く見せなかったことです。少しでもそのような雰囲気を出していたなら二人のバランスは崩れていたはずです。

「芝生デート」事件が報じられたとき、世間はいっせいに「不倫」を想像しました。まるで不倫が事実であるかのように報じられたのですが、そのときに華丸さんが大吉さんに電話で連絡をしてきたときの内容が「なにしてもいいから、サングラスだけはするな!」というものだったそうです。

大吉さんは写真週刊誌で報じられたことで、いろいろな雑誌から狙われるようになり、一度だけ「サングラス」をかけたことがあるそうです。そのときの写真がまた週刊誌に報じられたのですが、その週刊誌を見ての華丸さんのアドバイスでした。大吉さんは“たまむすび”で「自分はこれまでサングラスをしたことが一度もなかったけど、あまりに週刊誌の追っかけがしつこいので人生で初めてサングラスをかけた」と話していました。世間を騒がせる騒動の中でも、そのようなアドバイスをする二人の関係のよさを想像させるエピソードでした。

今、マスコミから最も嫌われている芸人さんは元雨上がり決死隊の宮迫博之さんかもしれません。闇営業を端に発したいろいろな騒動で所属事務所を敵に回し、周りの人からも嫌われるようになっているように見えます。その宮迫さんについて大吉さんが1~2週間前の番組で話していました。

華丸さんが『R-1』で優勝したとき、その大会で司会を務めていたのは雨上がり決死隊だったそうです。通常、優勝をしますと、そのあと記者会見などが行われその後に写真撮影があります。その際に宮迫さんがわざわざ大吉さんを前に呼び出し一緒に写真撮影をするように仕向けたそうです。

本来ですと『R-1』はピン芸人の大会ですので、華丸さんは漫才師としてではなくピン芸人として参加し優勝しました。ですので、ある意味大吉さんは無関係の人です。大吉さんにしても、そうした事情をわきまえていましたのでうしろに控えていたそうです。そうした中で宮迫さんが写真撮影のときにわざわざ前に呼び出してくれたのでした。そのときのラジオ番組で大吉さんは宮迫さんへの感謝を話していました。

朝のバラエティー番組は視聴率競争が激しいですが、そうした中TBSは3月より「ラヴィット!」という新しい番組をはじめました。その新しいMCは川島 明さんという吉本興業所属の麒麟というお笑いコンビのボケを担当している方です。

麒麟というお笑いコンビにご記憶のある方もいると思います。麒麟は川島明さんと田村裕さんのコンビですが、田村さんは2007年に「ホームレス中学生」という本を出版し一気にブレイクした人です。なにしろ200万部の売上げがあったそうですから、お金と名誉を一瞬にして手に入れたことになります。

普通、コンビのうちの一人が売れますと、残りの片方はへこんだり拗ねたりするものです。しかし、相方がブレイクしている間も川島さんは腐ることなく活動をしていたようです。そうした積み重ねが今の川島さんの活躍になっていることは間違いありません。

しかし、新しいバラエティー番組「ラヴィット!」がはじまった当初、視聴率が悪く川島さんにも悪い意味で注目が集まっていました。そうしたときに大吉さんは、しきりに川島さんのお笑い芸人としての素晴らしさ、才能の高さをラジオで話していました。本来ですと、大吉さんの朝の番組と時間的にかぶりますので敵に塩を送ることになります。それでも敢えて川島さんを応援している大吉さんにさらに好感した僕です。

じゃ、また。




シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする