<急ハンドル>

pressココロ上




 私の趣味は自転車修理です。我が家は駅から離れていますので自転車は生活必需品です。家族全員と予備を合わせて5台ありますので必然的にパンクなど故障を修理をする機会が多くなってしまいます。パンクのたびに修理に出していては出費が嵩みますので自分で修理するようになり自然と自転車修理が趣味となってしまったわけです。
 GW中も調子の悪い自転車のメンテナンスを行いました。最初は一日で終えるつもりでしたが、車輪の全取っ替えをしたところ今ひとつ満足できず翌日もメンテナンスをやることになってしまいました。同じインチの自転車でもメーカーごとにチェーンと車輪歯車のサイズに微妙な違いがあるようでうまくいきませんでした。カタカタという音がするのです。夫婦同様に車体と車輪にも相性があるようです。
 先日、自転車に乗っていますと歩道との段差を乗り越えた瞬間になにかが落ちたような音がしました。自転車を停め振り返りますと<なにか>が落ちているのが見えました。自転車をUターンさせ乗ったままの状態で<なにか>を見ますとただのゴミでした。私の勘違いでしたのでそのまま元の進行方向に戻ろうとハンドルを切ったところバランスを失い身体ごと真横に倒れてしまいました。それも勢いよく…。普通ですと片足をつくなどして倒れるはずもないのですがそのときはなぜか身体ごと倒れてしまったのです。反対側の歩道を歩いている中年女性の視線が気になり急いで起き上がり自転車を立て直し一目散に走り去りました。あ~、恥ずかしい…。
 転倒した理由は単純です。ハンドルを急に切りすぎたのです。普通はハンドルを切る際はバランスを崩さないように加減をするものです。しかしそのときは歩道の幅が狭くできるだけ小回りをしようと思いました。小回りをする意識が強すぎてハンドルを切りすぎてしまったのでした。それにしてもまさか真横にガッターンと倒れるとは自分でも驚きでした。年をとり運動神経が鈍くなっているのかもしれません。悲しい…。
 自転車で転倒したのは久しぶりです。数年前、家の前で倒れて以来です。そのときも通りすがりの人に見られ恥ずかしい思いをしました。
 そのときは家にあと20メートルほどで着くというあたりで60才くらいの男性を追い抜きました。男性はウォーキングをしているような格好で歩いていました。男性を追い抜き家の前にきたところで5センチほどの段差を越えられず転倒してしまったのです。いつも越えている段差ですから段差に対するタイヤの角度はわかっています。ところがそのときに限って角度が浅かったようです。前輪が滑りズッデーンと真横にブザマな倒れ方でした。
 私は倒れたまま顔を上げ先ほど追い抜いた男性を見ました。男性は私に対して悪いと思ったのか「見なかったふう」を装いました。しかし私が倒れる一部始終を見ていたはずです。私は笑顔で声をかけました。
「ころんじゃった」
 私の照れ隠しです。私に話しかけられた男性もどう反応してよいかわからなかったのでしょう。返事をするわけでもなく「えっ、あっ、うっ」といった表情で行ってしまいました。私の「照れ隠し勝ち」です
 今から十数年前、経済誌でオリックスの特集を組んでいました。現在は政府の審議会会長などを務めている宮内義彦氏が社長になったころです。当時も事業の多角化が話題になっており多角化について宮内氏は方針を述べていました。
「もし多角化をするなら本業の隣の業種以外は考えていない」
 昔から多角化を行った企業はたくさんあります。ダボハゼ経営やペンタゴン経営などは有名です。しかしそれらの企業は現在みな苦境を強いられています。歴史を見る限り経営のハンドルも急に切っては転倒するしかないようです。ライブドアもその一例と言えるかもしれません。ハンドルはゆっくりと少しずつ切りましょう。
 家に戻り転倒したときに打ちつけた腕や足を見ますと皮が擦りむけ血が出ていました。倒れたときは恥ずかしさのため感じていなかったのですが痛みも出てきました。いつもは恐い妻が優しく手当をしてくれました。そしてオロナインを塗りながら言いました。
「今日のめざましテレビでしし座は最下位だったよ」
 占いは当たります。
 じゃ、また。




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