<キョウ育>

pressココロ上




 自宅には電話セールスがかかってくることがありますが、そのときの私の基本姿勢は「無碍に断らない」です。やはり営業を仕事としています自分としては応援したい気持ちもあるからです。先日は英会話学校の電話でした。
「ハジメマシテ ワタシハ インターナショナル○○のメアリー(仮名)トモウシマス」から始まった私との会話は20分ほど続きました。夜、仕事から帰宅した娘に「今日の出来事」を話すと「お父さんってそういうの好きよねぇ」と感嘆していました。
 私は単にセールスの相手をするだけでなく相手に気も使っています。最後は断るつもりですので相手の時間を無駄にするのも申し訳なく、必ず最初に「断る」ことを告げます。それでも話を続けたい人にだけつき合う、といった感じです。
 メアリーはあの手この手で私を説明会に誘いました。メアリーは私の心をなんとか揺さぶろうと仕掛けてきました。人の心を変えるのは並大抵のことではありません。
 今、国会では教育基本法について話し合われていますが、その中で特に愛国心について議論が活発になっているようです。国民に愛国心を持たせるには子供のときから教育することが一番よい方法だと考えているからでしょう。確かにひねくれたオジサンの心より純粋な子供のほうが簡単に受け入れるはずです。
 今、世界中では30万~50万人の子供たちが兵士として戦争に参加させられています。これらの子供たちは大人からの教育で「武器を持って殺し合いをすることが当然」と考える心になってしまっています。心について語るとき教育を避けて通ることはできません。
 今週紹介しています「キング牧師とマルコムX」からも、子供時代に受ける教育がその子の心を形作ることに影響を与えていることがわかります。「黒人の地位向上」という同じ目標を目指しながらも正反対の行動をとった理由の根源は教育にあるようでした。
 先日、バラエティ番組である芸人さんが「教師は教えることのみに集中すべきであり、人生観を押しつけるのは誤りである」と主張していました。私も同感です。
 私は小学校時代に栗原君という悲しい思い出があります。栗原君は担任の先生に一年間無視をされていました。担任の先生はモノゴトをテキパキと処理し快活な子供を好んでいたようでした。反対に栗原君はオットリとしたノンビリな性格でした。どちらもお互いを受け入れず溝が深まった結果でした。今、思い返してみても担任の先生は教育者として失格です。自分の考えや人生観に合わない生徒を排他したからです。
 もし教育者が自分の考えや人生観を押しつけるならそれを受け入れられない子供を低く評価することになってしまいます。では教育者は勉強を教えること以外は指導してはいけないのでしょうか。そうではありません。教育者は自分の考えや人生観を紹介するのです。そして世の中にはほかにも様々な考えや人生観があることを付け加えることを忘れてはいけません。「教育」を「共育」と書いている識者がいましたが、「共育」であるからこそ自分の持っている考えや人生観を伝える際にはその姿勢に謙虚さが必要です。
 メアリーとは20分も話していたわけですが、そうしますとどうしても親近感が湧いてきます。それに若い外国の女性と話す機会などそうあるものではありませんからそれなりに楽しくもありました。その僕の気持ちを見透かしたかのようにメアリーは僕を説明会に誘います。
「イッポヲ フミダスコトガ タイセツデスヨ」
「ええ、そうは思うんですけど…」
「ムリニサソッタリシナイノデ アンシンシテ キテクダサイ」
「そうですねぇ…」
「ワタシニ アイニキマセンカ?」
 男心をくすぐる言葉です。身長168cm、上から87、59、88cm。シャラポワに似ているに違いないメアリー。ああ…。
 そのとき妻の顔が頭に浮かび声が聞こえました。「ふざけんなよぉ!」
 教育は大切です。
 じゃ、また。




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