<秋の気配>

pressココロ上




 ♪あれ~がー あーなたのー 好きーな場所ー…♪(オフコース)
 In 東京、先週あたりから日が暮れるのが早くなりました。午後六時を過ぎると「暗くなったなぁ」と感じる今日この頃です。
 我が家には駐車場スペースがありませんので家から五分くらいのところに駐車場を借りています。先日、駐車場から家に歩いていますと反対方向から二十三、四才くらいの女性が歩いてきました。歩く早さは私と同じくらいで「ゆっくり」といった感じです。その女性を特に注意して見ていたわけではありませんでしたが、唇が動いているのがわかりました。その動き方から歌を口ずさんでいるようでした。私と女性の距離は次第に近づき、そしてすれ違いました。すれ違いに要した時間は一秒くらいでしょうか。そのわずかな時間で女性が歌っていた曲名が私はわかったのです。こんな私はスゴイ!
 ZARD 「揺れる想い」
 ある日、午後三時ごろに出先に妻から私の携帯に電話がかかってきました。駐車場で私の隣に停めている車の所有者から連絡があった、という内容です。
 私の駐車場所は駐車場全体で見ますと中ほどですので右、左とも他の車が停まっています。左隣の車所有者は顔馴染みですので気心も知れています。しかし右隣は最近入れ替わったばかりですのでどういう方かはわかっていませんでした。連絡は右隣の方からでした。
 新しく入った右隣の車は1.5tのトラックでしたので正直な私の気持ちとしてはうれしくはありませんでした。それまで駐車していた車は小型車でしたので私が駐車スペースに入れるときそれほど神経を使わなくともよかったのですが、大きなトラックが隣に停まっていますと慎重にならざるを得ません。またトラックの前面が前に出っ張っていますので必ず一度は切り返しをする必要がありました。毎回のことですと結構面倒なのです。タイヤも減りますし…。
 家に戻り妻から詳しい話を聞きますと、「トラックのドアで私の車の側面に傷をつけた」ということでした。
 私は着替えをすますと妻と駐車場に向かいました。
 妻からの話では「それほど大きな傷ではない」ということでしたので、相手の方に修理などを請求するつもりなどはありませんでした。元々、私は「車は動けばいい」と思っているタイプですので多少の傷は気にもなりません。
 駐車場の入り口から車のほうをみますと私の右隣のトラックに人影が見えました。私と妻は顔を見合わせました。妻がトラックの所有者から連絡を受けたのが午後三時、私が家に戻ったのが午後五時です。その人は二時間以上ずっと待っていたことになります。
 トラックに乗っている方は私たちに気がつくと車から降りてきました。三十才前後のトラックの所有者にふさわしいニッカポッカを穿いたガテン系の人でした。その方は自己紹介のあと謝罪をし、車を傷つけた箇所を示しながら経緯を話しました。その方のお子さんが車を降りるときにぶつけた、とのことでした。傷はやはり大したものではなく、私的にはなんの問題もない程度です。それよりも私が感動したのは「黙っていれば犯人が誰だかわからない」のに連絡をくれたことでした。しかもその方は謝罪のために菓子折りまで用意していました。私は思わずその方の手を両手で握り締め言ったのです。
「責任逃ればかりを考えている人が多い今の世の中で正直に言ってくださいまして本当にありがとうございます」
 でもたぶん、この方も私に連絡するまでは「揺れ動く思い」だったんじゃないかな…。どうしようかなぁって…。
 一つだけ不満を言わせていただくなら、いただいたお菓子が私の好きなものではなかったのが残念です。
 やはり駐車場から家に向かって歩いているときのことです。反対側から歩いてくる男性がいました。三十代半ば、Jパンにシャツ、ウォーキングシューズの出で立ちです。シャツのJパンへの入れ方から想像しますと流行に敏感な人ではなさそうでした。歩き方はサッサッといった感じで私よりちょっと早めの速さでした。
 男性は真正面を向き歩いていたのですが、私の手前二メートルあたりにくると両足を揃えピタッと止まりました。
「ん? なにをするんだろ…」
 私がそう思っていると、男性は足元のほうを見ながら右手、左手それぞれの親指と人差し指でJパンの太もも前面を少しだけつまみ上げなにかを確認するとまた歩き出し行ってしまいました。その間約三秒…。
 私は男性とすれ違ったあと考えました。あの男性はなにをしたのだろう…。
 歩きながらしばらく考えていて私は「ああ…、なるほど」と理由がわかりました。スニーカーやウォーキングシューズには靴紐の下に甲を守るため?の当て布がありますが、その布と足首の間にJパンの裾が入り込んでいたのを直したのでした。私も経験がありますが、あれは気になります。それにしても見知らぬ人が自分の前で突然立ち止まり、なにかの動作をすると本当に驚きます。あのときの私は「揺らされた思い」でした。
 ♪こ~んなー こーとはー いーまーまーでな~かった
 男性がー 僕かーら 離れてーいーくー…♪
 じゃ、また。

紙.gifジャーック!




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