<消費者>

pressココロ上




 私がよく通りかかる自動車販売店は毎朝、開店前に店の前を掃除をしています。社員総出のようで10人くらいの男性がホウキと塵取りを持って道路を掃いている様子は好感が持てます。社会の一員である企業が地域に奉仕する姿勢はその企業の社会的評価を高めるに違いありません。
 私が毎日利用する駅が最近改装されました。それまでの古臭い雰囲気から開放感のある清潔感のある駅へと変身した改札口は利用者にとって喜ばしいことです。
 ある日、仕事帰りに改札口を出て左を見ますとゴミが積み上げられているのに気づきました。よく見ますと積み上げられているゴミの下にはゴミ箱がありました。つまりゴミ箱の容量を超えてゴミが山積みされていたのです。最近では駅の構内にゴミ箱が置かれているのは珍しいことです。
 私の記憶では、駅構内からゴミ箱が姿を消したのは1995年だと思います。オウム真理教の地下鉄サリン事件以降です。それまでは駅には必ず数箇所にゴミ箱が設置されていました。不審物など危険品をゴミ箱に捨てられることを避けるための処置でした。
 この理由以外にあと1つ理由があったように思います。ちょうどその頃から駅だけでなく公園など公共の場でもゴミ箱が撤去されるようになっていました。これは先ほどの防犯の理由以外に財政的な理由からです。行政がゴミ処理に対してお金をかける余裕がなくなっていたのでした。
 新聞報道によりますと、東京の府中市では市外からのゴミ持ち込みに困り果てそれまでのゴミ収集法を見直すそうです。ゴミ収集法は地域により違いがあります。これはゴミを捨てる側である住民の負担が違っていることを意味しています。有料無料の違い、また分別の有無など負担は小さなものではありません。府中市は無料のようでした。そこに有料の地域に住む住民がゴミを捨てに来ていたのでした。
 ご存知の方も多いでしょうが、府中市は競馬場があり大企業もありますので財政的に豊かな市です。だからこそできる府中市のゴミ収集法でした。しかし目に余る市外からのゴミ捨てにより収集法を変更せざるを得なくなったようでした。「埼玉」ナンバーの車までゴミを捨てにくるというのですから「なにをかいわんや」です。
 私が以前住んでいた地域ではゴミの分別は基本的にありませんでした。現在の状況はわかりませんが、当時のその地域ではゴミを分別して捨てる必要がありませんでした。しかし現在の地域に越してからは燃えるゴミ、燃えないゴミ、リサイクルゴミなどと細かく分別して捨てる必要があります。この分別の仕方も地域により違いがあるようですので住んでいる地域により住民の負担は違ってきます。
 私の一坪店の前は一日に多くの人が通ります。年令、性別いろいろです。そんな人たちを見ていますと最近の人たちの道徳観がよくわかります。
 よく「最近の若いもの…」と言いますが、公道にゴミを平気で捨てる人が若い人よりも中高年の人に多いのです。煙草の帯封や紙袋などなんの躊躇も気兼ねもなく捨てて行く人たちがいます。
 先日の新聞に「コンビニがゴミ処理に悲鳴を上げている」という記事が載っていました。コンビニのゴミ箱に家庭内のゴミを持ち込む人が多いのが理由です。
 私は以前深夜のバイトをしていましたが、深夜にコンビ二のトイレを利用することが何度かありました。深夜のコンビ二のトイレのゴミ箱は悲惨そのものでした。赤ちゃんの使用済みのオムツや使い物にならなくなった鍋など驚かされるモノがたくさん捨てられていたのです。コンビニ加盟店がゴミ処理にかける費用は1ヶ月に数万円だそうですから悲鳴を上げたくなる気持ちもわかります。
 私がよく利用するスーパーではリサイクル専用のゴミ箱がありますが、ある日からゴミ箱の前面に大きな文字で「ゴミは捨てるな!」と表示されるようになりました。すると「お客さまの声掲示板」に意見がありました。
「『ゴミを捨てるな!』という表現はお客さまをバカにしている。スーパーはサービス業なのにその精神を忘れている」
 大まかに言うとこのような内容です。私がテキストに書きました標語を1つ。
「世の中で最もわがままな者は、それは消費者である」
 英音楽大手EMIが「コピー防止をしない音楽配信を開始」するそうです。この記事を読んで真っ先に浮かんだのは以前読んだ次の記事でした。
 数年前、北海道のスーパーで返金騒動がありました。そのスーパーでは店側にミスがあったので「当日、該当する買い物をしたお客さまに返金する」旨の張り紙を出しました。すると予想を超える、というより当日の売上げより多い返金額が発生したのでした。返金方法を「お客さまの申告」だけで受けつけたのが原因です。
 EMIは米アップルの「iTunes」などを通じて配信するようですが、アップルのS・ジョブズ氏は「コピー防止機能」をつけないようにレコード会社に求めていました。
 そこでまた私は思い出します。
 現在S・ジョブズ氏は「復活の経営者」と言われていますが、その昔S・ジョブズ氏はウィンドウズのビル・ゲイツ氏との競争に敗れ第一線を退きました。その敗れたときの敗因についてある評論家が経済誌にコメントを載せていました。
「結局、閉鎖とオープンの違いが勝敗をわけた」
 私はパソコンに詳しくはありませんので内容までは詳しく理解できませんでしたが、ウィンドウズがいろいろなメーカーに搭載されて売上げを伸ばしたことからなんとなくはわかるような気がします。
 S・ジョブズ氏はこのときの「閉鎖」が心の中のどこかに反省として残っているのではないでしょうか。そんなことを思い出させたS・ジョブズ氏の発言でした。
 でも、私は「コピー防止機能をしない」音楽配信は北海道のスーパーの二の舞になると思っています。
 僕は、ことあるごとに「世界で1番わがままなのは、消費者である」と言っていますが、本心を言うとちょっと違うんです。
 実は、世界で1番わがままなのは…、それは…
「僕の妻なのです」
 こんなこと言うと、自分の結婚生活25年を否定するようで今まで言えませんでした。テキストを読んでくださった皆様申し訳ありません。
 それにしても、なんで飯島愛さんは引退するのかなぁ…。妻は目を凝らして見ていました。
 じゃ、また。

紙.gif4コマ漫画
ジャーック!




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