<サンダル履き>

pressココロ上




 先週、娘が自動車事故に遭ってしまいました。通勤途中にオートバイと接触転倒したのでした。娘はいつも自転車に乗って駅まで向かっているのですが、途中の交差点での事故でした。幸い、大怪我ではなかったのですが、現場にいた近所の方が警察に通報しましたのでパトカーと救急車が到着しそのまま救急車で病院へ直行です。病院では精密検査を受けたそうで、その結果も問題なく診察のあとすぐに帰宅することができました。
 当日、夕方に相手の方がお見舞いに来られ今後の示談の進め方について簡単に説明を伺いました。相手の方は任意保険には入っていませんでしたが、ちゃんと自賠責には入っていましたので自賠責で補償する、と話していました。
 その方が帰ったあと私が考えたことは今回の事故で娘が入っている保険についてでした。娘は共済や医療保険に入っていますのでこれらの保険は出ると思います。私は「ほかにも出る保険はないだろうか」と考えました。
 私は「家族傷害保険」に入っています。これは契約者の家族が全員被保険者になっている保険ですので当然娘も対象になります。私はさらに考えました。
「そうだ! 僕の自動車保険でも保険が出る」
 最近の自動車保険はほとんどの契約で「人身傷害保険」がセットになっています。私はそれを思い出し、証券を調べますとやはり娘も保険金を受け取る資格がありました。
 「人身傷害保険」とは交通用具に関する事故で怪我をした場合に支払われる保険です。しかも車の搭乗中でなく普通に歩いていて事故に遭っても保険の対象になります。被保険者は同居の家族ですので娘にも保険金は支払われるのです。ただし保険料を抑えるために「車に搭乗中だけ」と特約をつけている場合は対象になりません。
 私は「人身傷害保険」を確認したあと思いました。
 先週の「ココロ」では「保険金不払い」について私の考えを書きましたが、今回のような事故についての「保険金不払い」は想定していませんでした。たぶん今回のような事故での「保険金不払い」は「数限りなく存在する」のではないでしょうか。
 私は元保険代理店でしたので、娘の事故で「自分の自動車保険でも保険が出る」と思い出しました。しかし、一般の人でいったいどれだけの人が「自分の家族が外で交通事故に遭ったとき自分の自動車保険」を思い出すでしょう。
 今回の事故の過失割合は、娘の過失が4~5割くらいでしょうか。まだ確定していませんが、事故状況から判断するとそのくらいになると思います。事故の相手の方はオートバイに乗っていたのですが、事故の際にバックミラーが破損しています。その修理代金は約4万円くらいだそうです。娘の過失は4~5割ですので修理代金の4~5割は賠償しなければなりません。
 そこでまた私は思い出しました。
 私が家族傷害に入っていることは先ほど触れましたが、家族傷害には特約として「個人賠償責任保険」がセットされていました。この保険も被保険者は家族全員ですので当然娘も対象者です。娘が負担しなければならない修理代はこの保険で下りるのです。
 私は元保険代理店でしたので、個人賠償保険について思い出しました。しかし、一般の人でどれだけの人が「自分の傷害保険で賠償責任保険がセットになっている」と思い出すでしょう。
 このように見てきますと保険金の不払いは想像以上にたくさんあるように思います。しかし、このようなケースで保険会社ばかりを責めるのは「平等ではない」ように思います。このようなケースでは、やはり契約者から事故報告がなければ支払いようがありません。しかし、一般の人は「自分の保険がどんな内容でどういうときに出るか」などと覚えている人はあまりいません。
 皆さん、もし家族のだれかが事故に遭ったたときは、どんな事故でもいいですから保険会社に問い合わせてみましょう。
 先ほど「保険会社ばかりを責めるのは平等ではない」と書きましたが、やはり責任の一端はあるはずです。保険会社の方々は、間違っても「請求しないのが悪い」とは考えてはいけないのです。理由は先週書きました。しかし、私の体験上保険会社の方々はその意識が弱いように思います。それは勤続年数が長いほど顕著でした。その理由は保険会社という狭い世界での常識に凝り固まっているからです。
 いつかの新聞に高知県の橋本知事のインタビューが載っていました。
 職員の「サンダル履きでの業務」を「いかがなものか」と言ったところ、労働組合から「そこまで言わなくても」と批判されたそうです。この労働組合の発言なども狭い世界での長い間の常識が言わしめているものです。
 私は、一人で仕事をする職種以外の人がサンダル履きで働くことを間違っている、と思っています。それは相手に失礼というより仕事を完璧に遂行できないからです。例えば、学校の教師がサンダル履きでいたなら「いざというとき」子どもを守ることなどできません。
 一業界という狭い世界での常識はほかの世界では全く通用しないことが間々あります。自分の常識は「一業界だけでしか通用しないのではないか」といつも自分に問いかけていることは必要です。心がサンダル履きではいけないのです。
 ところで、私はいろいろな保険に入っていますが、一番役に立っている保険ってなんだと思います?
 それは…、え~っと、それは…、
「妻なのでしたー」
ホント、いざというとき役に立つんですよ。エヘヘへ…。
タダだし…。エヘヘへ…。
 じゃ、また。

紙.gif4コマ漫画
ジャーック!




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