<人柄>

pressココロ上




 いよいよ参院選に突入しました。テレビでは選挙特集が組まれ、街頭では選挙カーが候補者名を連呼しています。これから2週間は選挙一色の世の中になりそうです。多少迷惑に感じることもありますが、日本の将来を決める重要なポイントですので一票を有効に使いたいものです。
 この時期になりますと必ず立候補者陣営から投票要請の電話がかかってきます。そのときの私の受け答えは決まっていまして「はい、わかりました。頑張ってください」です。
 私は無党派層に属する一国民ですので「どの政党に」「どの候補に」投票するかは直前まで決めていません。「じっくり候補者を観察して…」ですが、ポスターに書いてあるマニュフェストや街頭でもしくはテレビで訴えている政策で判断するつもりはありません。
 私が嫌いな言葉に「誰がなっても同じ」というフレーズがありますが、このフレーズを使う人に限って「自分で勉強する」という行動をとっていないことが多いように思います。「自分で勉強する」とは「候補者について、政策について調べる」ことです。「勉強をしない」で傍観者のようなことを言うのは無責任というものです。一票を意義あるものに「する」のも「しない」のも自分の行動にかかっているはずです。
 先ほど、マニュフェストなどで「判断しない」と書きましたが、ではなにを判断材料とするのか?
 それは人柄です。マニュフェストで判断はしませんが内容は調べます。しかし大切なことはマニュフェストを実行に移せるかどうかです。いくら「すばらしいマニュフェスト」でも絵に描いた餅では意味がありません。実現性の有無は大切です。
 ある候補者は毎朝、通勤時間に駅前で演説をしていました。ほぼ毎日です。口で言うのは容易いですが実行するのは大変です。また、ある候補者は半年以上前から街中の至るところにポスターを貼っていました。私は思いました。ポスター代が嵩むだろうな…。
 テレビでは党首討論が花盛りですが、そこでも人柄が滲み出ます。以前メディア論について書かれていた本を読んだことがありますが、その本には「視聴者にアピールする方法」が書いてありました。そしてその本の内容を思い出しながら党首討論の様子を見ていますと、「方法をなぞった演出」をしている党首がいることに気がつきます。例えば、声の調子や身振り、発言のタイミングなどレクチャーを受けた雰囲気が感じられます。テクニックに長けている人間はあまり信用できません。こういう人は「人柄がよい」とは感じないものです。「人柄」とは普段の行いから出てきます。
 私は以前ラーメン店を営んでいましたが、ラーメン店はイートインの業態です。現在は同じ飲食業でもテイクアウトの業態です。この2つの業態を通して選挙に関連して違いがあることを発見しました。
 それは「投票のお願い」を言われることです。5月の選挙のときに経験したのですが、「食べたい」から来店するのではなく「投票をお願いしたい」から来店するお客さまがいることです。イートイン業態のときにはほとんどありませんでしたのでテイクアウト業態ならではの現象のようです。私としては商売的には、理由はともあれ「売れればうれしい」ので問題はないのですが、やはり気にはなります。「お願いされた」ときの私の受け答えは電話のとき同様「はい、わかりました。頑張ってください」です。今回の選挙でも同じ現象が起きるのではないかと予想しています。
 お店を営むうえでお客さまを観察することは大切なルーティンワークです。来店したお客さまは「たまたま通りがかった」から買ったのか、それとも「当店が気に入っている」から買いにきたのか、などその理由を推察することができます。それを繰り返していますと、お客さまが店頭に立った瞬間に「その理由を予想する」のが楽しみになってきます。そして選挙が始まりますとその理由に「投票のお願い」が加わります。実は、この理由で来店するお客様は意外とわかりやすいのです。それにしても、ただ「○○さんに投票をお願いします」と言う事が逆効果になることもある、とは考えないのでしょうか…。
 選挙絡みで来店するお客さまは「食べたい」のが理由ではありませんが、同じく「食べたい」理由でなく、しかも選挙絡みでないお客さまが来ることがあります。
 道尋ね人です。当店は立地的に道を訪ねられやすい場所にあるのですが、多いときで1日に7~8人、少なくとも1日に1回は道を尋ねられます。心優しい人は「申し訳ない」という感じで買ってくださいます。こういう人には親切丁寧に道を教えます。しかしそういう方は少数派でほとんどの方は道を尋ねるだけで立ち去って行ってしまいます。それでも僕も妻もちゃんと「丁寧に」道を教えてあげます。(「親切」を抜かしていることはお許しください)
 「買ってくれない」のに丁寧に道を教えてあげるのは、僕の場合はなんと言いますか、持って生まれた「性格のよさ」とでも申しましょうか、つまり「人柄がよい」からです。
 それに対して妻の場合はちょっと違います。
 孟子さんがおっしゃっています。
「人の患いは好んで人の師となるにあり」
 そうなのです。妻は人に教えることに快感を感じているのです。道を教えたあとの満足げな表情が物語っています。本来は「患い」であるはずの行為が妻にはよい方向に現れているのです。ウン、よかった。
 投票権を持っている皆さん、候補者の「人柄」を見抜き「より良き一票」を投じましょう。
 じゃ、また。

紙.gif4コマ漫画
ジャーック!




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