<流行>

pressココロ上




 新型インフルエンザ流行の脅威が日に日に増してきていますが、一般市民の方々の反応はマスコミが大きく報道している割には冷静に対応しているように思います。もちろん徒に騒ぐよりもこのような対応のほうが正しいはずですので余談は許されませんが、まずは一安心といったところでしょうか。
 新型インフルエンザに対する処方としてタミフルという薬の名前が出てきましたが、そのとき僕は少し前のマスコミの報道状況を思い出しました。それほど昔のことではありませんので覚えている方もいらっしゃるでしょう。
 一時期「タミフルを服用した子供が異常行動を起こす」という報道が続いたことがありました。そうしますと、マスコミは一斉にタミフル危険説を報じました。当時の厚労省の会見で、あたかも全てを見通したかのように官僚に詰め寄る記者の映像が思い浮かびます。「飛び降り事例を隠蔽していたのではないか」または「薬の承認に関して不正があったのではないか」などと問い詰めていました。
 いろいろと騒がれはしましたが、結局のところタミフルと子供たちの異常行動との因果関係ははっきりせず最後はウヤムヤに終わったように記憶しています。そして今回の新型インフルエンザでタミフルが出てきましたが、今回はタミフルの不安についてはマスコミは全く報じていません。というよりも危険性に全く触れていません。こうした状況から鑑みますと、タミフル危険説はやはり行き過ぎた報道だったようです。
 タミフルの騒動のあと、なにかで読んだ記事が僕は忘れられません。本来、タミフルという薬は副作用が出る可能性がある薬だそうです。ですから、子供に異常行動があったとしてもそれは想定内であったようでした。しかし、マスコミが危険説で一色に染まっているときに、厚労省はその事実を言うのは憚れたのでしょう。一つの大きな流れが出来たときそれに逆らう意見を言うことは犯罪者として扱われることに匹敵します。
 数年前、政治の世界でも同じようなことが起きていました。いわゆる小泉劇場です。実は僕は小泉さんを支持する考えの持ち主ですが、当時のマスコミの小泉首相一辺倒の報道もマスコミの悪弊とも言っていい一面が出ていました。しかし、ここにきてその反動がきているように感じます。
 小泉元首相のライフワークは郵政改革でしたが、最近になりその流れが押し戻されようとしています。鳩山総務相がそのシンボルになりつつありますが、日本郵政の西川社長の続投に難色を示しています。西川社長は郵政改革の中心人物であった竹中さんが引っ張ってきた人ですので続投に難色を示すのも当然かもしれません。
 先週の週刊ダイヤモンドは日本郵政を特集していましたが、改革を進めていくうえでさまざまな問題点が噴出しているようです。このコラムで幾度か書いていますが、郵便配達業務においてトヨタ方式を導入して「効率化を推進する」などと発表していました。しかし、この記事によりますと、結局トヨタ方式の導入は「百害あって一利なし」で終了したようです。このほかにも国営時代に比べいろいろな面の質が落ちた例がたくさん報道されていますが、それでも僕は郵政改革・民営化の道筋は間違っていない、と思っています。
 改革によりいろいろ問題点は指摘されていますが、そもそも小泉さんが郵政改革の断行を決意したのは国の財政上の問題でした。財政投融資制度が問題の核心だと考えていたようです。
 財政投融資について僕の拙い知識で簡単に説明しますと、郵便局や年金で集めたお金を「いろいろなところ」に融資する制度です。この「いろいろなところ」が曲者でして、いわゆる官僚の天下り先となる組織(特殊法人など)が多く含まれていました。国が赤字なので本予算でできないことをこの財政投融資でまかなうようになっていきました。しかし、これらの組織は多くが効率が悪く赤字の状態でしたので、つまるところ無駄なお金がどんどん使われていました。小泉さんはここを直さなければいくら予算を正しても意味がないと考えていたわけです。小泉さんが言うところの「入口と出口を適正化する」ことが重要だったのですね。その意味での郵政改革であり、民営化でした。しかし、先ほども書きましたようにその流れがせき止められる、押し戻されようとしているように見えます。
 先週の経済誌では特定郵便局の集まりの会長さんがインタビューに答えていましたが、それを読みますと、復活に自信を持っているように感じました。もしかしたら、郵政改革は頓挫してしまうかもしれません。
 先日、商工会の方が立ち寄りしきりに入会を勧めます。幾度か訪問を受けているのですが、僕は断り続けていました。今回は、定額給付金にかこつけてやってきました。多くの市町村で定額給付金にプレミアムをつけて商品券を発行する制度を取り入れていますが、そのプレミアムがついた商品券を扱えるように便宜を図るという趣旨でした。僕のお店の特性上、あまり意味がありませんので、やはり断ったのですが、粘り続けていました。
 僕は話をそらそうと思い、「給付金と言ったって財源は借金だから将来が大変ですよね」と言い、「今でさえ800兆円もある借金どうやって返すんですかねぇ」と言いました。
 すると、僕が言い終わらないうちに商工会の人は言いました。
「そんな大きな話をしてもしょうがないでしょ。大事なのは自分たちの目の前のことなんだから」と少し憮然とした口調でした。僕は「絶対入会しないぞ」と心に決めました。
 改革を断行するとき、必ずそれまで利権を得ていた人たちが抵抗してきます。そうした人たちは改革の途中で少しでも問題が起きるとそこをついてきます。そこで立ち止まってしまっては改革が成功するはずはありません。改革を一時の流行にしてはなりませぬ。インフルエンザの流行は短期間で終わることが望ましいですが、改革は最後までやり続けることが大切です。そして改革が「改革と意識されないくらい土台となり浸透されること」が理想の姿です。改革が流行で終わらないことを願っています。
 ところで…。
 店の前を通る人の中にもマスクをする人をチラホラ見かけるようになりました。その姿を見ていますと、マスクも人により似合う人と似合わない人がいます。最近のマスクは昔のものと比べ野暮ったさはなくなりスマートになりましたが、それでも似合わない人もいます。
 僕の考えるところでは、顔の大きさが関係しているのではないでしょうか。顔の大きさが普通の人はもちろん最近のマスクが似合い、おしゃれにさえ見えます。顔の大きな人も、最近のマスクは大きめにできていますので多少野暮ったくともそれなりに見るに耐えられます。一番問題なのは顔の小さい人です。顔のほとんどをマスクが占めているようで「顔中マスクだらけ」の状態になってしまっています。こういう人の場合は「マスク」と言うよりは「マクス(MAX)」いったほうが正しいような気がしますよねぇ。
 じゃ、また。




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