<エリートじゃない人>

pressココロ上




 一昨年から昨年にかけて、お笑いコンビ・オセロの中島さんが霊能者かなにかの人に洗脳された事件がありました。当時の中島さんの症状はかなりひどいようでその霊能者の人の話しか聞かなくなり、とうとう芸能活動さえしなくなってしまいました。結局、最後は周りの人たちが力づくで霊能者から離れるようにしたことで解決をしたようです。
 僕が知っているこの事件の経緯はその程度ですが、僕が関心を持って見ていたのは中島さんの相方である松島さんの対応でした。お笑いコンビで芸能活動をしてわけですから、相方が仕事をしなくなるということは自ずとひとりでやるか仕事を失うかのふたつしか道しかありません。僕の記憶ではふたりでやっていた番組は終了したものがあったはずです。しかし、既にふたりは別々の活動もしていましたから松島さんが単独で出演していた番組もあり、仕事が全てなくなるということはありませんでした。しかし、痛手であったことは確かでしょう。
 そんな状況の中でも松島さんは明るく元気にテレビに出ていました。僕はその姿を見て感心というか尊敬の念を持ちました。オセロというコンビが関東の番組に出るようになったときのことを僕はよく覚えています。夜の0時過ぎのTBSのバラエティ番組に、最初は付け足しのような立場で出演していましたが、いつの間にかメインを務めるようになっていました。
 ふたりを見ていますと、印象としては松島さんの天然も含めたボケに頭の回転の早い中島さんが突っ込みを入れて笑いをとるパターンだったように感じていました。実際、バラエティ番組などでMCを務めるときは中島さんが全体を仕切っていました。タイミングよく笑いを取りながらまたは織り交ぜながら番組を楽しく進行させていたのはいつも中島さんでした。松島さんといえばただボケて笑っていただけのように映っていました。
*ちょっと豆知識
 昔は番組などを進行する人を司会者といっていましたが、最近はMCということがほとんどです。この言葉の使い方からしますと、MCとはメインキャスターの略語というのが連想できます。実際、僕はずっとそう思っていました。しかし、先日なにかを読んでいるときにそれが間違いであることを知りました。
 MCの本当の略語はマスターオブセレモニー(master of ceremonies )だそうです。つまり式の支配者で進行係というわけです。僕は勘違いをしていることがたくさんあるのですが、生きているいろいろな真実を知ります、ハイ!
 話を戻しまして…。
 そんなふたりの印象でしたのでしっかり者の中島さんがいなくなり松島さんはどのようにして芸能活動を続けるのかを僕は注目していたわけです。正直にいうと「大丈夫かなぁ」といった心配であり不安の気持ちのほうが強かったのでした。
 ところが、いざ松島さんだけになってしまっても全く問題はありませんでした。これは松島さんの事務所も含めた周りの人たちの力添えも当然あったでしょうが、本人にもそれに答えるだけの資質や能力がなければできない芸当です。僕の心配は杞憂でした。
 松島さんは関西の松竹芸能という事務所に所属していますが、有名なタレントでは笑福亭 鶴瓶さんを筆頭によゐこ、TKO、ますだおかだ、アメリカザリガニ、安田大サーカスさんなどがいます。芸能事務所ですから世間やマスコミからいろいろな悪評や良からぬ噂を聞いたこともありますが、オセロに対する対応については良心的な事務所の印象を抱きました。力づくで中島さんを霊能者から引き離したのは親御さんは当然ですが、松竹の人たちが率先して行なったそうです。
 鶴瓶さんといえば、思い出すことがあります。芸人さんが関西から東京に出てきて成功することは並大抵のことではありません。その成功者の先頭を走っているのはさんまさんですが、関西の人が東京に出てくるのは余程の勇気が必要なようです。少し前に紹介しましたナインティナインの本を読みますと、東京に行って一旗上げることの難しさや大変さがよくわかります。
 過去に関西から東京に出てきて消えていった芸人さんを思い出しますと、まず善次郎さんという方が思い浮かびます。ちょうど今田耕司と似た感じのお笑いをとる人でやはり頭の回転が早い印象がありました。僕はとても面白く感じていましたが、「なんでもかんでも笑う若い女の子たちに嫌気がさして関西に戻った」と週刊誌に書いてありました。
 しかし、なんと言っても関西から東京進出して一番物議を醸したのはやしきたかじんさんです。その無鉄砲無法ぶりはダントツでした。すでに関西では超大物タレントでしたから東京進出時は鳴り物入りでの進出でした。その前に東京では深夜に関西テレビ局制作の「たかじんのバー」という番組が放映されていましたが、そのハチャメチャぶりは東京の発想ではなかったように思います。
 結局、たかじんさんは東京の番組を数回やっただけで番組を降板しそれ以降東京進出は行なわれていません。僕はたかじんさんが東京進出したときの数少ない番組をたまたま見ましたが、番組中に「調味料の用意がされていない…」ことで怒りをぶちまけていました。僕はその怒りが演出なのか判断がつきませんでしたが、あとからの週刊誌情報によりますとあの怒りはマジだったようです。それにしても調味料ごときで怒りを爆発させ番組を降板するなんて…と思った記憶があります。
 大分長く話が逸れてしまいました。申し訳ありません。松島さんの話に戻ります。
 最近の週刊誌の見出しを見ますと、中島さんの復帰も近そうな雰囲気がしています。そんなおり先週のスマスマに松島さんが出演していました。そのときに松島さんというか松竹というかどちらの考えかはわかりませんが、たぶん両者の考えでしょうが、松島さんを紹介するテロップに「松島(オセロ)」と表示されていました。わざわざオセロとつけていることに僕は感激しました。松島さんの優しさと思いやりが伝わってきました。
 松島さんは中島さんがおかしな行動をとるようになり始めた当初から中島さんをかばっていたように思います。どんなに番組に穴をあけようとも中島さんを見捨てることはありませんでした。中島さんが芸能活動を全くしなくなってもその姿勢は変わりませんでした。僕は松島さんのそうした姿勢に感動していました。
自分の周りの人の自分に対する本心は、自分が不遇なときにとる行動でわかります。うまくいっているときには周りの人の本当の姿はわかりません。世の中には損得だけで行動する人がいますから、人の本質を見抜くために一度は不遇な立場になってみるのも興です。
 さて、今週のコラムもあと少しになりました。ここまで芸能人についていろいろ書いてきましたが、実は今週書きたかったのはそんなことではありません。本当に書きたかったのは頭の回転が早く切れ者のイメージがあった中島さんがいなくなったあとの松島さんを見ていて思ったことでした。
 普通に考えて、コンビで活動をしていて、片方が頭の回転が早く切れ者の感があり、もう片方はそうでもない場合、そのコンビは前者の功績で活躍できているように思います。しかし、今回の中島さん事件の一連の経緯を眺めながら松島さんを見ていますと決してそうとは言い切れないように思います。
 例えていうなら、いかにも優秀で頭のよさそうなエリートと人のよさそうな凡人がいる会社があったとき、エリートがいることでその会社が動いているように一般的には思いがちです。しかし、もしかすると実際はエリートではなく凡人のほうのなにかパワーで会社が動いている可能性もあります。しかも、凡人はライバル心などといったつまらない虚栄心や欲望がありませんから他人にも優しく接することができます。
 世の中ってエリートがいなくてもちゃんと回っていくのではないかなぁ…。
 ところで…。
 僕は自分のサイトで保険に関するテキストを書いています。その中で、ひとつの保険会社から選ぶより複数の保険会社の中から保険を選ぶほうが自分に合った割安な保険を選ぶことができる、と書いています。そして、数年前に登場したそのようなシステムの保険販売店を利用することを勧めています。
 ところが、最近良からぬ情報に接しました。それは「中立な立場でお客様に保険会社と保険を勧める保険販売店」が、「実際は中立ではなかった」という情報です。そんな情報を聞いたのは2~3ヶ月前ですが、先週のダイヤモンドにも同じような記事がありました。
 結局、保険販売店も手数料の高い商品をお客様に勧める傾向があるようでした。これではお客様が本当の意味で割安な保険に加入することなどできません。このような現実を見るとき、最終的には販売する人(企業)の倫理観に頼るしか方法はないように思います。
 いつの日か、割高な保険に入ってしまって損をしたときにその損を補填する保険ができるかもしれません。
 じゃ、また。




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