<異見>

pressココロ上




 僕が今、購読している新聞は朝日新聞です。そして、ニュースを見る番組はTBSのニュース23、たまにテレビ朝日のニュースステーションです。なぜ、わざわざこんなことを書いたかといいますと、先週の金曜日に特定秘密保護法案が成立した際の取り扱いがメディアによって異なっているからです。
 簡単に色分けをしますと、この法案に反対しているのは朝日新聞と毎日新聞のようです。そして、それほど強く反対していないかもしくは支持しているのは産経新聞と読売新聞です。つまり、僕が接することが多いニュース媒体は全体的にこの法案に反対の立場を取っていることになります。
 ですから、自ずと「多くの国民が法案に反対している」かのような伝え方が多くなり、危険性を指摘しています。特に、成立した6日(金)には反対集会などを大々的に報じていました。しかし、僕が世の中を眺めていて感じる雰囲気では、マスコミが主張しているほどの危険性を一般の人たちは感じていないように思います。もし、本当に危険なのであれば新聞の論調がこれほど別れることはないはずです。
 但し、いえることは今回の強行採決を可能にした責任は選挙で自民党に一票を投じた国民にもあるということです。僕もそのひとりですが、正直なところ、今ひとつこの法案の是非を決めかねています。
 では、あまり政治に興味がない方のために僕が知っている範囲内で大雑把に特定秘密保護法案について説明したいと思います。もちろん、僕の信条は「必ず、賛成反対の両方の立場を知ること」ですので、両方の立場を紹介します。
 今の国際社会で生きていくには武力を備えることと同じくらいに情報戦に備えることも大切です。そんな中、仲のよい国同士で情報を共有しておくことはとても重要です。具体的には米国を想定していますが、米国が重要な情報を日本に提供する際に、情報がほかの国などに筒抜けにならないことは必須の条件です。秘密を守ってくれる国でなければ不安で有用な情報を提供する気持ちになりません。ひとつ間違えますと、被害が自国にも及ぶことになりますから、情報を共有する国に対しては、情報を慎重に扱うための法律が整備されていることを望みます。特定秘密保護法案はそのような目的で策定されました。
 この説明だけですと、問題はなにもないように思え、反対することが不思議に思えるかもしれません。しかし、声高に反対する人たちは、この法案によって「国民の知る権利や報道の自由が侵される」と主張しています。もう少しわかりやすく説明しますと、新聞記者が外交上の重要な情報を取材し報道することが犯罪になる、という指摘です。中には、戦前にあった「治安維持法の端緒になる法案である」とまで危惧する人もいます。そのような不安にかられる一番の問題点は、拡大解釈が可能な文言が多数含まれていることのようです。
 冒頭で紹介しましたように、この法案に対してはマスコミによって立場が異なっています。どちらが正しいかの判断は歴史に任せるしかありませんが、この法案に対して佐藤勝氏が指摘している点は納得ができるものでした。
「国家が秘密を保持することに異論はないが、情報が官僚に独占されることには危惧がある」
 みなさん、師走の忙しい中、たまには国家の行く末について考えてみるのも悪いことではありません。
 じゃ、また。




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