<かかりつけ医>

pressココロ上




 僕は糖尿病を患っていますので定期的に検査を受けています。きっかけは3年ほど前に発症した心臓の疾患でしたが、以来ずっと食事療法を続けていました。現在、糖尿病の判断基準はヘモグロビンA1c(HbA1c)という指標で計るそうです。この数値が6.5以上ですと糖尿病と判断されるですが、最初に検査したときは7.6でした。
 因みに、僕は太っている体型ではなく、どちらかといいますと痩せている部類に入ります。それでも糖尿病になることがあるのです。簡単に糖尿病について説明しますと、糖尿病とはインスリンというホルモンの作用が低下したため、体内に取り入れられた 栄養素がうまく利用されずに、血液中のブトウ糖(血糖)が多くなっている状態(引用:Lilly Diabetes)のことをいいます。合併症を引き起こしますと、失明したり足が壊疽を起こし切断したり脳卒中を起こしたりなどとても恐いことになるそうです。
 話を戻しますと、このときの検査の目的は心臓病でしたので大病院の医師は検査結果を見て「この数値は立派な糖尿病ですよ」とは言いましたが、心臓病の治療が本来の目的でしたので糖尿病についてそれ以上触れることはしませんでした。
 その後無事に手術も終え心臓病については薬の服用は続けていますが、一応の治療は終わったことになっています。そこで糖尿病の治療をはじめたのですが、検査の数値を見ていつも行くかかりつけの医師が指導したことは食事に関することだけでした。
 それ以来僕は自分で糖尿病についていろいろと調べ、自分なりに食事療法を試行錯誤しながら対処していたのですが、今月に入り受けた検査結果がとても良好な数値になっていました。標準の数値が「5.9」とされている中で僕の数値は「6.0」だったのです。健康な人の数値とほぼ同じということになります。とてもうれしい結果となりました。
 数値の変化を報告しますと、当初「7.6」だった数値は半年後に「6.5」になったのですが、そこからは足踏みが続いていました。次の半年後の検査ではあまり変わらず6.3となり、その次の半年後も6.3のままでした。それが今月の検査で6.0に改善されていたのです。僕の喜びがおわかりになるでしょうか。
 では、どのような食事療法を行ったかといいますと、炭水化物を減らすことでした。具体的には、ご飯の量をそれまでに比べて半分くらいに減らしたことです。昔からいわれていたのはカロリーを減らすことですが、僕がいろいろな情報を本やネットなどで調べたところではカロリーを減らすことはあまり効果がないような気がしました。それでもやはり、一応は「食べ過ぎないこと」は常に頭に入れていました。
 糖尿病の治療においては摂取してよいカロリー量というものが決まっているのですが、それは仕事の内容や標準体重に比して決まってきます。僕の場合、一日の摂取カロリーは約2000カロリーくらいでした。
 僕が行った食事療法を簡単にいいますと、「ご飯の量を半分にして全体の食事の量も少なめにした」ということです。本来ですと、食べるときのご飯やおかずをきちんと計算しなければいけないのですが、さすがにそこまではできませんでした。
 そして、あとひとつ行った食事療法があるのですが、もしかしたならこちらのほうが大きな理由だったかもしれません。それは「お菓子を食べない」ことです。僕はお菓子が大好物だったのです。特に好きなのはチョコレートのお菓子です…。
 実は、かかりつけの医師は食事の量について特に厳しく指導はしていません。なにを言ったかといいますと、「お菓子は絶対に食べないで」と言っただけだったのです。食事の量を減らしたのは僕自身の考えでした。ですから、僕の数値が改善した原因が「お菓子を食べなかった」ことにあるのか「炭水化物を減らしたこと」にあるのか定かではないのが実際のところです。
 どんな業界でもそうですが、担当する人には得意分野があります。飲食業でも和食だったり中華だったりフランス料理だったりとシェフによって得意な分野があります。医療の世界でも同じはずですので、糖尿病を専門としている診療所および医師がいます。いわゆる専門ということになりますが、糖尿病を専門にしている医師はネットで調べた範囲ではだいたい一市町村に一人から二人くらいの割合でしょうか。
 糖尿病を専門としている病院のHPをみますと、厳しい食事制限を課しているようでした。たぶん専門家からしますと、厳しい食事制限は治療の必須要件なのでしょう。しかし、僕のかかりつけ医は専門ではなかったようです。たぶん、だからこそ食事制限については厳しくすることなく、ただ「お菓子は絶対に食べないで!」と言ったのだと思います。僕はそれがよかったのではないか、と思っています。
 ヘモグロビンA1c(HbA1c)が7.6という数値はかなり悪いほうの数値です。ですから、もし専門の医師にかかっていたならもっと細かい指導もしくは薬の服用まで始まっていたかもしれません。その意味で僕のかかりつけ医が専門でなかったことはラッキーだったと思っています。
 僕が今の医師を信頼するきっかけになったのは、僕の体調が悪く「単なる風邪」と思って病院に行ったときに心臓病を疑い検査をしてくれたことでした。そして、そのまま救急車で大病院に運ばれたのです。それがきっかけとなり本格的な検査、そして手術まですることになりました。現在、元気にしていられるのもかかりつけ医のおかげと感謝しております。
 かかりつけ医はとても大切です。
 先日、医療界に関することで診察料に関するニュースが報じられました。それは紹介状なしで大病院に通院する場合、初診料が5,000円以上かかるというものです。これは大病院を特別な疾病専門に特化するための方策だそうですが、「お金持ちだけが行けるようになる」印象がありますので一部の人たちには不評のようです。
 ですが、僕は賛成です。要はお金の問題ではなく病院を取り巻く社会全体の問題です。僕はここ数年の間、心臓の治療のために大病院といわれるところに通院する機会が多くありました。ですから、大病院の混雑ぶりを体験しています。そのときに思ったのですが、街中にある診療所などでも診てもらえそうな病気の人がかなりいそうなことがもったいない気がしました。
 実際に、たまたま診察の順番を待っているときに隣に座った年配の方と話をしたのですが、その方が話していました。
「大した病気ではないと思っても、やっぱり大病院のほうが安心ですよね」。
 僕はそのときは反論をしませんでしたが、内心では違う考えを持っていました。僕は、みんなが軽い気持ちで大病院に行ってしまうことが大病院の混雑を招いていると思っています。
 先日は、救急車の出動に関するニュースも報じられていましたが、今の時代は些細なことで救急車を呼ぶ人が増えているそうです。救急車の数も人員も限られているのですから、本当に必要な人だけが呼ぶようなシステムの導入が必要です。そうでなければ本当に救急の人の命が危険に晒されることになります。
 大病院についても同様で、大病院でしか診療が対処できない患者さんだけが行くようにシステムを変えるべきです。そのやり方が「診察代を高くする」というのはいただけませんが、安心を得るために誰でもが大病院に行ってしまっては大病院の本来の役割が機能しなくなってしまいます。
 年配の方の中には街中の診療所では不安と思っている人がいますが、診療所の医師は全員が大病院で働いていた医師たちです。つまり豊富な経験や実績を持っている医師なのですからある意味大病院の医師に負けないだけの腕を持っているともいえます。僕はそう思っています。
 結局僕は思うのですが、患者が病院や医師を選ぶときに大切なのは相性です。どんなに腕のいい医師であろうとも相性が合わないなら適切な診察はしてもらえません。もちろん中には実力に問題のある医師が絶対にいないという保証はありません。しかし、それも含めて相性の適否を見抜くことがこれからの患者には求められます。
 あ、間違わないでくださいね。医師は「かかりつけ」で…、「行きつけ」は飲み屋ですからo(^o^)o
 じゃ、また。




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