<がんばれ!>

pressココロ上




 都知事選は思いのほか小池氏の圧勝に終わりました。あそこまで差がつくとは予想していませんでしたのでとても驚きました。投票率は60%近くにいったので満足はできませんが、落胆せずには済む数字ではないかと思います。とりあえず、良かった、よかった、です。
 「政治と選挙は別物」とは昔から言われていることですが、選挙で勝利するには選挙用の対策が必要です。単に自分の考える政治を成し遂げたい一心だけで立候補をしても当選することはできません。選挙で勝つには一票を入れてもらうための対策をする必要があります。今回の選挙はそうしたことを証明した部分もあるように思います。
 まず今回の都知事選で僕が気になったのは結果が決まったあとに解説していたテレビ局の分析です。小池氏の勝利要因を分析していたのですが、他の有力な二人の候補に比べて山手線や中央線を「小まめに回っていた」とか「最初に離島を回った」とか、いろいろな要因を述べていました。
 しかし、そうした要因は表層的なことに過ぎないように思います。そもそも有力候補と言われる人たちですから選挙のプロがうしろにつき、しっかりとした選挙対策を考えていたはずです。こうした分析はあくまで結果論でしかないように感じます。こうした分析手法はコンサルタント業界が得意とする方法のようで僕は好きにはなれません。というわけで、政治にも選挙にも素人である僕様が分析してみようと思います。
 僕的には三人の中で最も都知事にふさわしいのは小池氏だと思っていましたが、少しばかり不安がありました。それは“都政の混乱”を危惧したからです。 当初、小池氏は「都議会解散も視野に入れている」ような発言をしていましたので心配した次第です。
 また、差別的な考えかもしれませんが、女性がトップを務めることの不安でした。やはり、あの石原氏でさえ操縦が難しかった自民党のドンと対立するのは無謀のように思えました。
 中高年以上の方は覚えているでしょうが、青島幸男氏が都知事になったときがまさにこのような状況でした。青島氏は世界都市博の中止を掲げて当選したのですが、結局できたのは世界都市博の中止だけでそれ以外の改革はほとんどなにも「できない」「させてもらえない」状況でした。どんなにトップが指示を出そうが、実際に動くのは役人の方々です。ですから役人の方々を上手にコントロールできなければなにもできないのです。それが都知事という立場です。
 話は少しそれますが、昨年の夏ごろから本屋さんでは金権政治の権化と言われていた田中角栄氏の本が目立つようになっていました。そして、今年に入り石原慎太郎氏が書いた角栄氏の本「天才」が発売されてから田中氏関連の本が軒並みベストセラーになっています。
 そうした状況を踏まえて、現在は角栄ブームといわれていますが、その背景には昨年から少しずつ下地がある状態の中で石原氏の「天才」が売れたからです。そして、「天才」が売れたのは石原氏がテレビに出演して宣伝をしたからです。石原氏というか出版元である幻冬舎は本当に販売に関しては優れた才覚を持っていると実感せずにはいられません。因みに、幻冬舎の見城氏と石原氏は昵懇の間柄です。
 青島氏がなにもさせてもらえない状況になり、石原氏でさえ手を焼いていた都議会、もっと言うなら自民党のドンを操縦するのは女性では無理だと思っていました。ですから、都政をスムーズに進めるという観点で考えるなら増田氏が妥当なところと思っていました。しかも、増田氏には実務の経験もありましたし、トップとして「可もなく不可もなく」という点でも最適なように感じていました。
 鳥越氏についてはまさに落胆という言葉しかありません。新聞などでは「準備不足」という言葉を使っていましたが、僕からしますとそれ以前の問題です。選挙活動の一環としてマスコミで取り上げられるようにいろいろと対策をとっていましたが、マスコミに出れば出るほど「ボロが出る」といった印象でした。
 僕が最も落胆したのは生活している人たちの現状をあまりに知らないことです。そのことを自ら晒す結果となったのは、保育園の待機児童についてのお母さんたちとのやり取りでした。知識のなさを露呈していたのですが、その程度の知識でどうして立候補をしたのかという怒りさえ覚えました。
 少しキツイ言い方になってしまいますが、今回の鳥越氏の失態はジャーナリストという職業の方々全体の信頼を失墜させることにもなりかねないような気がしています。当事者と第三者の違いを、その責任の重さをまざまざを知らしめたように思います。ただ理想論だけを声だけに叫び現実的には通用しないことを訴えているのがジャーナリストであると暴露したようなものです。ジャーナリストという職業は権力者が暴走しないように監視するのが役割です。そのためには自らの見識を高める必要があります。そして、立ち位置は常に全体を俯瞰することが求められます。もちろんそれは自らにも向けられるべきです。自らを俯瞰できない人間がほかの人を俯瞰できるはずがありません。鳥越氏は自らの立場を理解しないまま一時的な感情の高まり、もしくは名声欲のままに行動を起こしたように思えて仕方ありません。それほど落胆しました。
 
 先に僕は小池氏が女性であるがゆえに不安を感じると書きましたが、当選後の小池氏の言動を見ていますと、僕の杞憂であったように感じています。その振る舞いは浮かれることもなく堂々と自民党都議会と相対しているように映ったからです。その落ち着きぶりには政治家としての長年の経験が生きているように思います。伊達に20年以上政治家をやっているわけではないことを証明しています。
 小池氏の勝利の要因は真摯な選挙活動に尽きると思っています。「山手線に沿って回った」とか「中央線を細かく回った」などというテクニックではなく、もっとシンプルに街頭演説を小まめにやったことに尽きます。街頭演説の回数がほかの二人に比べて図抜けています。そして、小池氏の言葉を借りるなら「回を追うごとに集まる人数が増えて」いき、終盤戦では勝利を確信していたそうです。
 小池氏は演説もうまかったように思います。これも伊達に選挙を幾度も戦ってきたわけではないことを示しています。演説がうまかったことが聴衆が増えた理由であるのは間違いありません。小池氏には後ろ盾がなかったことを考え合わせますと最も理想的な戦い方だったことになります。たぶんこうした流れが好循環になったことが勝因です。
 やはり政治というか選挙に関心を持っている人は候補者の活動をしっかりと見ているように思います。それがあれだけの大差につながったのではないでしょうか。
 今回選挙の際に小池氏を応援していた自民党の衆議院議員がいました。若狭衆議院議員ですが、自民推薦ではない小池氏を応援したのですから覚悟を持って行動していたことになりますが、小池氏の右腕的な存在なのかもしれません。小池氏が都政を改革するならブレーンは必要ですが、元特捜部の経歴のある若狭氏ならばうってつけの存在です。
 僕は小池氏を応援しています。
「がんばれ!」
 オリンピックも日本勢
「がんばれ!」
 ところで…。
 ちょっと古い話になりますが、思い出したので…。
 7月に七夕がありましたが、その少し前の時期のことです。僕は所要があり郵便局に行きました。そのとき窓口は少し混んでおり列ができていました。僕は列のうしろに並び、なにげに横を見ますとそこには七夕用の笹の木が置いてありました。そして、笹の葉には願い事を書いた短冊が飾ってありました。たぶん郵便局が小さな子供のために用意をしたのだと思います。
 短冊には「かんじが書けますように」とか「早く走れるようになりたい」とか「おやつが増えますように」などと子供らしい願い事が書いてありました。このように微笑ましい願い事がある中で考え込んでしまう短冊がありました。
「重大な事故になりませんように」
 いったい、なにがあったのでしょうね。
 じゃ、また。




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