<オルタナティブ・ファクト>

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 僕は日曜の早朝7時からフジテレビで放映している「ボクらの時代」というトーク番組を毎週観ています。この番組は3人の著名人が出てきていろいろなお話をする番組ですが、30分の枠ですのでとても中身が濃く観ていて楽しい気分になります。
 一般的にこのようなトーク番組の場合、新しく始まる番組の宣伝いわゆる番宣や近々公開される映画などの宣伝として出演者が決まるのが普通です。しかし、この番組はそうした姑息な理由ではなく、純粋に「話を聞きたい人」の基準で決めている感じがします。
 出演者が番組内で話している内容から想像しますと、まず中心になる一人に出演依頼をしてその方のリクエストでほかの2人が決まるようです。やはり、宣伝臭さがありませんと純粋に会話を楽しめます。
 いつから僕がこの番組を観るようになったのか定かではありませんが、基本的に僕がテレビを見るのは妻の「あと追い」です。妻が観ている番組を偶然観る機会があり、そして面白かったから僕も観るようになるというパターンです。「ボクらの時代」まさにその番組です。
 実は、日曜の朝はこの番組の前に放送されている「はやく起きた朝は…」もほぼ毎週観ているのですが、この番組も妻がずっと観ている番組です。「ずっと」は本当に「ずっと」で、はじまったのが1994年だそうですから、かれこれ20年以上観ていることになります。出演者は松居直美さん、森尾由美さん、磯野貴理子さんのお三方ですが、この番組のスゴイところは「番組名を変えながら、また放映時間を変えながら続いていること」です。一応その変遷をご紹介をしますと
・「おそく起きた朝は…」:毎週日曜9:30 – 10:00(1994年4月3日 – 2003年3月30日)
・「おそく起きた昼は…」:毎週日曜13:30 – 14:00(2003年4月6日 – 2005年3月27日)
・「はやく起きた朝は…」:毎週日曜6:30 – 7:00(2005年4月3日 – )
 さすがの妻も仕事の関係で観られなかった時期がありますが、観られる状況になったときに再開するということを繰り返して現在に至っています。僕もずっと観続けていたわけではなくタイミングが合ったときは観ているという状態でした。
 現在は観ていますが、2~3年前に観始める前までの一時期は全く観ておらず、番組の存在さえ忘れていました。ですから、まだ放映していることを知ったときはとても驚きました。
 そして、久しぶりに観たときに驚いたことがありました。それは3人のキャラクターが変わっていたことです。キャラクターが変わったのですから3人の関係性も変わっていました。僕の中ではかつての3人は「無理して仲良くしている」印象がありました。これは「3人の芸能活動歴が影響している」と思いますし、性格も関係しています。俗な言い方をしますと、「ギクシャクしている」ように映っていたのです。しかし、久しぶりに観た3人はそれぞれお互いを思いやり相手を立てながら会話をしているのが伝わってきました。以前はもちろん表面には出しませんが、「前に出たがる二人と気遅れしている元アイドル」が衝突している雰囲気がありました。
 20年以上も年月が経ちますと、人間は年を取りますしいろいろな経験をします。それぞれ離婚や再婚、子育て、大病などさまざまな苦労を味わっています。そうした経験が人間を穏やかにするのではないでしょうか。3人の今を観ていますとそんなことを感じます。
 現在、フジテレビは視聴率が低迷しています。「フジテレビはなぜ凋落したか」という本まで出版されていますが、かつての3冠王の面影は微塵も見られません。フジテレビと言いますと、鹿内一族が思い出されますが、この話をしますと長くなりますのでこれ以上は触れません。しかし、鹿内一族の内紛が現在の凋落の発端だったように思います。
 それはともかく今のフジテレビを見ていて一番感じるのは経営者の責任感の欠如です。社長の亀山氏は定期的に会見を行っていますが、マスコミから報じられる内容を見ますと、「低迷している責任が経営者にある」という自覚が感じられません。本来、企業は業績が悪くなると社長の対抗勢力が社長の責任を追及する動きをするのが普通です。そうすることで軌道修正を行おうとする力が働くからです。しかし、そうした緊張感が社長の会見報道からは伝わっていません。フジテレビ凋落の原因はこのあたりにあるのではないでしょうか。
 テレビ業界の話題のついでにTBSについて書きたいと思います。最近のTBSはいわゆるヤラセ問題が続きすぎているように感じます。以前、コラムで紹介しましたが、クイズ形式のトーナメント方式で順位を競う番組で本来勝ち進んでいる人を映像で消した事実が発覚しました。番組が盛り上がるような人に勝たせるよう画策したのですが、やり方があまりに露骨で拙劣でした。番組制作のレベルの低さを露呈したように思います。
 一昨年、僕は脱サラを特集する企画でラーメン屋のケースとしてTBSの取材を受けました。電話取材で1時間強お話をしたのですが、放映された番組を観ましたところ、やはり番組の作り方が粗雑な印象を受けました。結局、今のテレビ局は制作を下請けに丸投げしているイメージがあります。このやり方がテレビ業界の低迷の根本的要因のように思います。
 TBSでは毎年年末に『プロ野球戦力外通告 クビを宣告された男達』という番組を放映しています。MCおよびナレーターを務める少年隊の東山さんの語り口も番組にマッチしており一昨年までは楽しみにしていました。ですが、昨年は観たい気分になりませんでした。
 理由は、ヤラセっぽい雰囲気を感じるようになったからです。また、同じころにこの番組に批判的な記事を読んだことも影響しています。
 この番組の基軸になるのは「12球団合同トライアウト」というシステムです。このシステムは球団から戦力外を通達された選手たちが各球団のスカウトが見守る中で実戦形式でプレーをして、そのプレーする姿を見て興味を持った球団が選手をスカウトするものです。番組ではある選手に密着して選手と家族の戸惑いや不安を映し出し、視聴者に感銘・感動を届けようとする内容です。
 しかし、どの記事で読んだのかは忘れましたが、「このようなことは現実にはあり得ない」と書いてありました。理由は実に至極当然で「本当に欲しいと思う選手は合同トライアウトを受ける以前に直接接触してスカウトしている」からです。まさにそのとおりで、わざわざ合同トライアウトでプレーする姿を見なくともシーズン中に十分見ているからです。仮に2軍に落ちていたとしても、スカウトに値する選手なら常日頃から動向を注視しているはずで、それをするのがスカウトの仕事です。つまり、合同トライアウトはセレモニーにすぎないことになります。
 このシステムが始まった当初は本当に意味があったのかもしれませんが、これだけ情報がすぐに伝わる今の時代には用をなさないシステムになっているのが実際のところではないでしょうか。もしかしたならテレビ局が存続を望んでいるかもしれません。
 安倍首相はトランプ大統領に好印象を与えたようで世界に親密さをアピールしています。ですが、米国内ではトランプ大統領に対する批判が続いているようすも伝わってきます。。報道ではトランプ大統領が選挙期間中にツイートした発言の70%が嘘の内容だったそうです。大統領就任後も大統領報道官が就任式に集まった人数について「オルタナティブ・ファクト」と発言したことが物議を醸しています。
 オルタナティブ・ファクト=もうひとつの事実
 事実がふたつあっては困ります。というよりはあり得ません。そのような強弁をする人物が政権にいる大統領とあまりに親密になることを不安に思う人は僕だけではないでしょう。
 それにしても不思議なのはトランプ大統領への支持も40%~50%存在することです。日本ではトランプ大統領に対する批判ばかりが報道されていますが、一定の割合の支持者がいることも事実です。その事実も頭の中に入れておく必要があります。
 忘れてはいけないことは人間という生き物の危なっかしさです。事実はひとつですけど、人間の気持ちは揺れ動くんですよねぇ…。
 じゃ、また。




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