<右手人差し指物語>

pressココロ上




今年の4月にこのコラムで「右手人差し指」の肌荒れについて書きました。第一関節のちょうど曲げるところが皺に沿って裂けるというか切れてしまう話でしたが、そのときは「お水を飲む」ことで「一応改善した」と報告して終了していました。ですが、完全に治ったわけではなく、あくまで「改善」の範囲の治り方でした。

それでも最悪の状態のときに比べますと、治療というほどのものではありませんが、症状への対処に手間と費用がかからなくなったことはとても助かりました。なにしろ最悪の状態のときは、切れる箇所に絆創膏を貼り、さらにその上にテーピングを巻いたりしていましたので仕事に出かける前の準備にそれなりに時間とコストを要していたからです。

絆創膏は毎日取り換えなければいけません。場合によっては1日に2回取り換えることもありましたので、絆創膏代もバカになりません。もちろん一番安い絆創膏を探しましたが、僕が調べた中では「ダイソー」が最もお得でした。50枚で100円でしたが、ほかの100円ショップでは30枚で100円でしたので各段の違いです。テーピングの使う量も半端ではないのですが、テーピングは以前仕事をしていた職場で大量に無料で手に入れることができましたので費用の面で困ることはありませんでした。

それはさておき、ひび割れは改善していたのですが、6月頃より改善の治り具合が少しばかり後退してきたように感じていました。もしかしたなら「酷暑」が関係していたのかもしれませんが、暑くなりだしてから第一関節の肌荒れが少しばかり目立つように感じていました。体内に取り込んだ水分が汗として体外に流れたのが原因かもしれません。

そこで新たな対策を考える必要性に迫られたのですが、実はこれまでに幾度か使ってみようかと思いながら使っていなかった「塗り薬」があります。それを試すことにしました。なぜすぐに試さず躊躇していたかと言いますと、成分にステロイドが含まれていたからです。ご存じの方もいるでしょうが、肌荒れなどに有効な成分として有名ですが、ステロイドには副作用についていろいろな噂が流れています。

いろいろな噂がありますが、僕が気になっていたのは、皮膚炎を解消するどころか反対に「かぶれ」を発症させる副作用です。しかし、そうしたあまりよろしくない噂がありつつも、普通にドラッグストアでは売られています。ですので、不安な気持ちもありながらも「大丈夫だろう」とも思っていました。

「大丈夫だろう」と思った理由はあと一つあります。僕は「嗅覚障害」も患っており、耳鼻科に定期的に通院しています。そこで処方されているのが、実はステロイドの点鼻薬なのです。先生曰く「使いすぎなければなんの心配もありません」でした。実際、その薬を使い始めて優に3~4年は経ちますが、副作用は全く起きていません。

そうした自分の体験がありながらも、それでも「ステロイド塗り薬」を使うことに踏み切れなかったのは、ほかに理由があります。実は、僕の心の中で一番引っかかっていたのは、それは価格です。ほかの塗り薬よりもかなり高いのです。もし、使ってみて効果がなかったり、万に一つ副作用が出たとき、その価格の高さゆえ、より一層強く後悔の念を感じるのではないか、と思っていました。

「高い」とはいえ、普通にドラッグストアでも売られている薬ですので数万円もするわけではありません。普通に稼いでいるそれなりの社会人ですとさほど気にもならないはずの2千円です。ステロイドが入っていない塗り薬ですと千円ちょっとですので、2倍近く高い価格です。購入して効果を感じられず、まったく使わなくなりますとそれがすべて無駄になるのです。貧乏性の僕はそうした事態になるのが嫌で購入するのを躊躇っていたのです。

しかし、とうとう購入しなければいけないときがきてしまいました。なんとか完治したくてたまらない気持ちになったのです。そこで僕は「フルコート」という薬をドラッグストアで購入しました。そうです。もったいぶっていましたが、薬品名を「フルコート」といいます。僕は自分が欲しいものは最近はほとんどamazonで購入しています。ですので、薬類もamazonで購入することが多いのですが、なぜドラッグストアで購入したか、といいますと、amazonでの価格がそれほど安くなっていなかったからです。

僕は「右手人差し指」の肌荒れについて書いた翌週に「痔瘻物語」を書きましたが、僕は年をとってから本当にいろいろな疾患にかかっています。そうした経験を積みますと、自然に「安く薬を購入する方法」を考えるようになりました。その一環として薬品類の購入方法については一家言あるおじさんになっています。

痔瘻物語でも同様の方法で薬を購入したのですが、薬にはテレビなどで大々的に宣伝をしている有名な薬があります。そして、それらの薬はほとんどにおいて効果が証明されているのが普通です。例えば、痔になったときには「ボラギノール」が有名です。僕でなくても「♪痔に~はボラギノール♪」とメロディーつきで口ずさめる人は多いのではないでしょうか。それほど宣伝効果は高いものがあります。

これほど有名なボラギノールですが、この薬の一番の長所はやはり効能において実績があることです。しかし、あれだけ広告を出しているのですからその分価格を高くしていることは容易に想像がつきます。そうなりますと、庶民の僕としては代替品を考えます。しかし、効能はボラギノールと同じでなければ意味がありません。そこで注目するようになったのが、成分です。

ボラギノールが効能を発揮できるのは製品名のおかげではありません。成分が適切に効果を発揮しているからです。大切なのは成分です。ということは同じ成分であるなら、別にボラギノールである必要はないのです。僕はボラギノールと同じ成分でもっと価格の安い薬品を探しました。調べるのが面倒ではありますが、ちゃんと同成分で名前の知られていない薬品というのはあるんですねぇ。僕はその薬を購入し、しっかりと痔瘻物語を完了することに成功しています。

さて、「人差し指物語」に話を戻しますと、僕は「人差し指物語」での「痔瘻物語」のボラギノールにあたる薬を「フルコート」と定めました。そして、同じ成分の薬を探したのですが、悲しいことに全く同じ成分の薬はありませんでした。「同じような成分」のものを購入したことはあったのですが、やはり「同じような」では効果はありませんでした。

そこで、とうとう意を決して「フルコート」を購入したわけです。持って回った書き方が多い僕ですが、結論を言ってしまいましょう。「正解です。大正解でした!」。やっぱり正規品は違うんですよねぇ。「同じような」成分ではなく、完全一致な成分は効果が覿面(てきめん)でした。1日に3回塗っていたのですが、少しずつカサカサ感がなくっていくのを実感できたのです。

少しずつ塗る回数を減らし現在は全く使用しなくても済んでいます。ただし、水を使いますと、少しばかり赤みが出ることがありますので、そのときはすぐに塗っています。これから寒い季節を迎えますが気温が下がりますと、皮膚が切れることが多くなりますので「フルコート」を知って本当に満足しています。

あまりにもうれしかったので、妻に話して一緒に感動を分かち合おうと思ったのですが、いくら僕の喜びを伝えても、妻にはその感動が伝わらないようで、「ふ~ん」とか「へぇー」という軽い返答しかもらえませんでした。悲しい…。

「所詮は他人」とはいえ、曲がりなりにも夫婦として長い間一緒に生活してきたのですから、「僕の喜びに共感してくれてもいいじゃんか!」と心の中で叫んだぼくでした。

最後は、うしろ指を指して終わります。

じゃ、また。




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