<現場を知る大切さ>

pressココロ上




僕は自衛隊の日報問題が出てきたとき、ちょっとうがった見方をしました。それは森友学園問題で安倍首相が追い込まれている最中での突然の日報問題報道だったからです。つまりマスコミや世論の関心を森友学園問題からずらすためにリークしたように思ったのです。しかし、自衛隊の日報問題が報じられたあとに今度は家計学園問題が再燃する報道がなされました。愛媛県に家計学園と安倍首相の関係を示唆するような文書が残されていた、という報道です。
この新たな報道によりマスコミや世論の関心は自衛隊の日報問題から再度安倍首相への追及に戻ったように見えます。その証拠に新聞やテレビの報道の仕方を見ていますと、どれか一つに集中するというよりもこれらを万遍なく丁寧に報道しています。
僕の印象では、マスコミが盛り上がる節目はすべて朝日新聞のスクープが発端になっているように感じます。こうした状況から全体を俯瞰しますと、朝日と官邸の戦いと見えなくもありません。本来、読売と産経は安倍首相の側に立った報道をする傾向がありますが、その2社までもが安倍首相を追求する側に回っているのが現在の大きな変化といえます。
昨日は、小泉元首相がわざわざ「安倍首相の三選は難しいんじゃない」などと取り囲む記者団に語っているのを見ますと、自民党の中でもいろいろな動きがあることが想像できます。財務省の事務次官のセクハラ発言や厚生労働省の局長の不適切な発言などの報道も同じ流れにありそうで、今の状況はマスコミ全体が安倍政権を倒す側に回っているように見えます。
安倍首相は前回の首相時代の失敗を教訓にして2回目の今回は実にうまく立ち回っているように思えました。しかもそのやり方が悉く成功していたのが印象的です。ですが、さすがに6年もやっていますと、脇が甘くなってきたのかもしれません。これまで幾度か瀬戸際に追い詰められても国民の「忘れやすい性格」を巧みに操って支持率回復を成し遂げてきました。しかし、今回はこのやり方が通用しそうもないように思います。果たして今後安倍政権はどのような展開を見せるのでしょう。
なんてことを思いながらyafoo topicを見ていましたら、コンビニの記事が目に留まりました。ローソンが新卒の社会人を加盟店主として募集する記事です。ローソン側の立場で考えますとなかなか良いアイディアですが、新卒社会人の立場で考えますとあまりよい募集とは言えません。
ビジネス社会のことをなにも知らずにいきなり独立した立場で、しかも加盟店としてかなり不平等に思える契約内容で働くことは決してよい経験ではありません。まずは普通の会社員として世の中で働き、一般のビジネス社会の感覚や慣習を体験してからでなければ将来後悔することになります。極端な表現をするなら、チェーン本部にとって都合のよい考え方の偏ったビジネスマンになってしまいます。
経営側の考え方に偏向した人間が店舗を運営するとは思えません。なぜなら、コンビニは自分ひとりで運営するのではなくアルバイトの人やパートさんなど他人を雇用する必要があるからです。チェーン本部は従業員を教育する方法も教えると思いますが、その教育も突き詰めるならチェーン本部が得をすることが基本的発想になっています。どんな場面でも偏った考え方を身に着けることの愚かさはオウム真理教事件が教えています。ですから、初めて社会に出て働く人は普通の会社員として出発するのが正しい選択です。
体験記に書いていますが、僕は30才を過ぎたばかりのときにラーメン店で独立をしました。最初の頃はもちろんわかりませんでしたが、ビジネス社会人の基本が身についていませんでしたのでたくさんの失敗をしてしまいました。少しだけ儲かり曲がりなりにも13年間も続けられたのはたまたま運がよかったからにすぎません。
僕は独立するまでの社会人の経験はスーパーで平社員として働いた3年間しかありませんでした。その程度のビジネスマンとしての実力でしたので5年どころか3年以内に廃業していても不思議ではありませんでした。ですから、会社員として普通に働くことはとても重要です。それにもかかわらず、ローソンが新卒で加盟店主を募集するのは新卒社会人の人生を考えていないとしか思えません。ですので僕はローソンのやり方に反対です。
このようなことを書こうと思ったのはコンビニに関するほかの記事を目にしたからです。それは昨年ファミリーマートの新社長に就任した澤田貴司氏についての記事でした。昨年コラムでコンビニの大手3社の社長について書きましたが、その中でも澤田社長は僕が最も応援したいと思っている社長です。
僕が応援したいと思った理由は、加盟店主側の意向をチェーン運営に取り込もうという意思が強く感じられたからです。その一番は24時間営業の見直しでした。澤田社長は昨年のインタビューではっきりとそのことに触れていました。しかし、残念ながら進んでいないようです。
前にも書きましたが、コンビニの24時間営業の見直し挑戦は澤田社長が初めてではありません。今はサントリーホールディングスの社長に就いています新浪剛史氏が最初に取り組みました。しかし、結局実現できることなく社長を去っています。澤田社長も同じ道を歩みそうな感じがしているのが残念です。
澤田社長の一番尊敬できる点は現場で働いている人をとても大事にしていることです。ですから経済紙で紹介していますが、澤田氏は社長に就任してから実際に店舗でレジ打ちまで体験しています。現場で働いている人の気持ちを理解するためですが、このような行動をすることが尊敬に値します。
ですが、人間性と経営力は別物なのかもしれません。凡人である僕にはそのあたりはわかりかねますが、澤田社長のやり方もしくは考え方に異論を唱えている人物が澤田社長の上司の立場の人にいるようです。
その人物とはユニー・ファミリーマートホールディングスの高柳浩二社長ですが、澤田社長の考えを否定する意見をインタビューで答えています。澤田社長は自分の思い通りに進められないことに苛立っているのではないでしょうか。最終的は、企業は人事権が大きな力を持ちます。今回サッカー代表の監督が解任されましたが、企業に限らず組織はすべて人事権が一番大きな力を発揮します。
高柳社長のインタビューを読むまではファミリーマートは澤田社長の思いのままに改革できるかと思っていましたが、そうではないようです。結局、大手3社のコンビニも親会社の意向に沿って経営するしか方法はありません。ですが、こうした形態が加盟店の不利な契約内容が改まらない原因のように思います。親会社の幹部の人たちは加盟店という現場とはかけ離れた場所にいますので現場が疲弊している実感が沸かないのです。
シリアでどれだけ悲惨な状況になろうが、現場から遠く離れた平和な国では実感できないのと同じです。現場の苦しさを思いやれるような人が多くなるように努力することが大切です。
今週は、政治から経済、そして国際関係まで幅広くコラムってみました。
じゃ、また。




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