<いろいろな職歴のある営業マン>

pressココロ上




先日、居間で自宅でパソコンに向かっていましたところ、インターフォンがなりました。我が家は狭い家ですので居間から返事をしますと十分に訪問者に聞こえます。ですので、僕はインターフォンを使うことはなく、いつも大声で返事をすることにしています。
その日も、いつものように大きな声で返事をしてから玄関ドアを開けました。すると、そこには50才くらいの男性が笑顔で立っていました。平日の昼間に訪問する人は販売業者か宗教関連と決まっていますが、その男性は営業の方でした。なんの販売業者かと言いますと、ある大手寝具メーカーの営業の方でした。新潮は170センチくらいでやせぎすの品のありそうな雰囲気の人でした。
僕はいろいろな人とお話をするのが好きですが、もちろん「誰とでも」というわけではありません。「相性が合う」人という条件があります。わざわざ言うまでもありませんが、相性が合わない人と話していても楽しくありません。その営業の人は二言三言話したところで「相性が合う」と感じました。
その方が僕の家を訪問したのは飛込営業ではありませんでした。僕が過去にその会社からなにかを購入したことがあったからです。なにを購入したのか記憶がありませんが、その方がタブレットに記載されている昔の販売リストを見せてくれました。
僕がその方と「相性が合う」と感じたのは話し方が押しつけがましくないことでした。営業マンの中には強引な話し方をする人がいますが、そのような人からなにかを購入する気になどなりません。この方は、実に謙虚に丁寧に話していました。
もちろん営業ですから、トークをする際は導入部分の会話があります。その方の導入部分はお布団を洗うことを勧める内容でした。布団は高額な商品ですので「おいそれ」と簡単に購入を決められる物ではありません。ですから、最初から布団を販売する方向に会話を持っていくのはあまりに稚拙です。やはり会話が展開する方向としては「布団洗い」から入っていくのが常道です。
そこで僕は「最近は、コインランドリーでも布団を洗えるような機械がありますが、それは影響ありますか?」とちょっと意地悪な質問をしました。それに対しても反発するような表情にも言葉遣いにもならず、正当な反論から「…なので、専門業者に依頼したほうが安心なんですよ」とうまい営業トークをしていました。
そこで僕は完全に「相性が合う」と思い、いろいろな話を聞くことにしました。そこまで行きますと、その方も営業の仕事というよりは人生についてお話するという雰囲気になっていきました。しかし、中にはそのようなあまりに深い話になることに不快感を示す人もいます。ですが、その方は深い話にも喜んで入ってきてくれました。
この方が僕の深い話にもついてきてくれたのは、この方の働き方も関係しています。その方はその大手寝具メーカーに直接雇用されている社員ではなかったのです。営業を請け負う形式で仕事をしている方でした。つまり、営業の下請けということになります。下請け形式のメリットは発注する側である寝具メーカーにしてみますと、固定費がかからないことです。販売した時点でだけ人件費が発生しますので無駄がありません。
そして、働く側からしますと自分のペースで働くことができるのがメリットです。もちろんその裏返しとして売上げがないときは収入が入ってこないというリスクはありますが、自分の実力次第と覚悟しているなら問題はありません。しかし、悪質な企業には社員という立場ではない人間に、まるで社員であるかのように縛りをかけるところもあります。そのような企業には決して近づかないことが肝要です。
実は、この大手寝具メーカーはかつてブラック企業としてマスコミで批判されたことがあります。ですので、企業としては問題がありそうなイメージを僕は持っていました。そこで僕は、打ち解けてきたころを見計らって尋ねてみました。
「ブラック企業のイメージがありますが、実際はどうなんですか?」
中高年以上の方ですとご存知でしょうが、この企業が有名になった当初はブラックどころか好印象の代表のような企業でした。その理由は初の外国人力士である関取がCMをしていたからです。CMで「2倍、2倍(ニバイ、ニバイ)」と訴える声を覚えている人は多いはずです。
そのような好印象の企業でしたが、売上げの減少とともに強引な販売方法や違法すれすれの販売方法、または社員への厳しいノルマなど悪評が報じられていました。ですので、僕は実際のところを聞きたかったのです。
その方に寄りますと、やはり正社員の離職率も高く、好印象とはいいがたいイメージのようでした。その方が下請けとして働いている理由もまさにそこにありました。しかし、ブラック企業であったとしても正社員という立場でなければブラックに縛られることはありません。下請け形式は営業に自信があるならば、数段働きやすい環境です。
僕はそのような働き方を選んでいることにも興味を持ちましたので、また尋ねてみました。
「前職はなんだったのですか?」
葬祭業に勤めていたそうです。そこで、またまた僕は興味が湧いてきました。葬祭業も一般のイメージとしてはあまりよいイメージがない業界だからです。まずは「人の死」を扱う業界ですので、それだけで特別視されることがあります。そのほかには、やはり「ぼったくり」というイメージです。
僕が持つこの一般的なイメージをぶつけてみました。すると、この方も僕と同じイメージを持っており、それが今の会社に転職した理由だと話していました。そうなりますと、今度は葬祭業に入ったきっかけが聞きたくなりました。
「葬祭業に入ったきっかけはなんだったのですか?」
この方は葬祭業の前は宝石業界にいたそうです。僕はその方に聞くまで知らなかったのですが、今の時代は遺骨から宝石を作ることができるそうです。遺骨を指輪の宝石にしたりペンダントにしたりすることが流行っているそうです。その方もその関係で葬祭業を知り、飛び込んだそうです。
結局、この方とは30分くらいも玄関先で話したことになったのですが、いろいろな経験をしている人とお話をするのは楽しいものです。人生は一回しかありませんので自分が経験できることなんてほんのわずかです。ですから、いろいろ人からお話を聞くことはとてもためになりますし、勉強になります。ただし、真実を公平に平等に話す人かどうかを見極めることが大切です。
皆さん、真実を公平に平等に話す人の話を聞きましょう!
えっ、信じられないって?
じゃ、また。




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