<2018年も終わりです>

pressココロ上




日々生活を送っていますと、「一週間は経つのは早い」と感じますが、この時期になりますと「一年が経つのはもっと早い」と感じます。そんなことを言いながら60年以上が過ぎてきましたが、今年も同じ言葉を言うことになります。
僕が年末を迎えるに当たって今年受けた印象は、今年は年末感と言いますか、師走感を例年よりも強めに感じていたことです。数年前、11月に入ってすぐにクリスマス飾りなどがはじまり、「え、もうクリスマス?」と思ったことがあります。結局、その年は12月に入っても「なんか年末の感じが全然しないなぁ」と感じたまま一年が終わりました。そのときの記憶が残っていましたので、今年はしっかりと12月になり、そして「師走感」を感じたことに少し不思議な気分になりました。
さて、今年最後のコラムですので1年を振り返る内容にしようかと思いましたが、つい先日僕の根底にある発想につながる言葉に接しましたので、今年最後のコラムはその言葉から感じたいろいろなことを展開させていくことにします。
その言葉とはフィギュアスケートの本田真凛選手がインタビューに答えたときの言葉です。ご存知のように今年の全日本フィギュアスケート選手権は坂本花織選手が逆転優勝し、カナダグランプリで優勝し現在最も期待され注目されている紀平梨花選手が2位となりました。3位には過去3連覇している宮原知子選手が入ったのですが、順位以外の面で注目を集めていたのが本田真凛選手でした。
本田選手はジュニア時代に優勝の経験があり、シニアに進んでも優勝が期待されていた選手です。しかし、シニアに移行後は思うような結果が出せずに現在まに至っています。マスコミは外見を重視する傾向がありますのでルックスもよいうえにジュニアでの実績もある本田選手は格好の材料です。その本田選手がシニアに移行後ずっと伸び悩んでいるのですが、それがまたマスコミの材料にもなっています。
普通なら入賞さえしない選手に取材などすることはありません。ですが、本田選手の場合は例外でした。誰しも敗者という立場は辛く悲しいですが、マスコミの取材は本人にその苦しさを自覚させることになります。このような過酷な状況に追い込まれていることは苦痛のはずですが、その過酷な状況を受け入れていた本田選手も別の意味で「偉い!」と感じています。
今回コラムで紹介しようと思った言葉は、その本田選手の口から発せられた言葉です。インタビューの中で本田選手は「『妹に言われた言葉』が支えになっている」と答えていました。
「逃げ道の先には、行き止まりしかないよ」。
本田選手の結果は誰が見ても残念なものでした。そのような結果になってしまいますと、誰でも自分にいい訳をしたり、またはいい訳を作ってその場から逃げたくなるものです。「逃げる」という言葉が厳しすぎるなら方向転換でも構いません。つまり、フィギュアスケートではなくほかの道に進むことを考えたくなります。もちろん方向転換をすること自体は違う可能性に挑戦することですのでマイナスな発想ではありません。
進む道を変えることで成功した人は数えきれないくらいいます。ですから、方向転換自体は悪いことではないのですが、中途半端な努力のまま方向転換することは将来に禍根を残すことになります。おそらく妹の望結選手は姉の真凛さんにそれを伝えたかったのでしょう。
この言葉はある意味、とても厳しい意味が込められています。マスコミからじぶんの不甲斐なさを興味本位で取り上げられ、その立場から逃れるために方向転換することを戒めたのです。そして、その妹の言葉に反発することなくきちんと受け入れている真凛さんも素晴らしい選手ですし、人格者だと感じました。
それにしても、これほど素晴らしく的確な至言を投げかけているのが中学生ということに驚かされます。テレビでは、本田選手が競技をはじめる前に観客席から応援している二人の妹さんの様子が映し出されていましたが、その様子は小学生と中学生という年齢にふさわしいあどけなさが感じられる応援の仕方でした。言葉を変えるなら、まだまだ子供らしさが抜け切れていない幼さが出ている映像だったのです。そんな「女の子」がこんな素晴らしい言葉をかけていたのです。
それほど素晴らしい助言をする望結さんは二女ですが、周りを見渡しますとアスリートの世界では「二番目」の人が成功している例を多く見ることができます。現在注目度ナンバーワンの紀平選手も二女ですし、一時代前のレジェンド浅田真央さんも二女です。スピードスケートの高木美帆選手も二女です。
男子の世界では柔道でオリンピック3連覇を果たした野村忠宏さんも次男ですし、サッカー界では三浦知良も中田英寿も次男です。野球界に目を転じますとイチロー選手も松井秀喜選手も次男ですし、現在メジャーリーグを席捲している大谷翔平選手も次男です。「二番目」に誕生した人は優れた遺伝子を持って生まれてくる確率が高いようです。
今紹介しました選手の方々のほとんどの場合で、年下の兄弟が競技をはじめるきっかけは姉や兄が競技をはじめたことです。この展開はどこの家族にでもありそうなことですので当然のことと言えます。
そして、妹や弟は徐々に姉や兄の実力を越えスーパースターを目指して成長して行きます。ここで一つの疑問が起きます。姉や兄はスーパースターになっていく妹や弟ほど努力をしなかったのか…。
もちろん、そんなはずはありません。誰でも年下の妹や弟に負けるのは悔しいはずです。ですから死に物狂いで努力をしたはずです。ですが、「努力が実るとは限らない」のが現実です。
この論法で行きますと、「成功に重要なことは、努力とともに運が必要」ということになります。「運」とは持って生まれた才能です。しかし、往々にして成功者は自分の成功を自分の努力の賜物と考えたがります。なぜなら、人よりも努力して根性で頑張ってきたという自負があるからです。それが、成功の理由が「運」では他人や社会に自慢することができなくなってしまいます。
同じことがビジネスの世界でもいえます。「成功者として大金持ちになった理由が『運』ではたまったものではない」と考えるのが普通です。成功したのは日ごろの努力であり、人が考えつかないようなことを思いつく発想力でなければ成功した意味がなくなるのです。
だからこそ、成功者は大金持ちになる資格があると考えます。現在、世界は格差社会になっていますが、その大元の原因は「自分が努力したことが報われた」と考えることです。もし、世界中の成功者がその理由を「たまたまの運」と考えたなら自分だけ裕福になろうとなどと思わないはずです。
「たまたまの運」と考えることは謙虚な気持ちになることです。nissanのゴーンさんも法律に違反するかどうかは別にして、生きている間に使えないほどの報酬を受け取っていったいどうしようとしたのでしょう。単に、ほかの人に見せびらかしたかっただけなのでしょうか。
周りを見渡しても、日本社会で高級外車を乗りまわしていったいなにがしたいのでしょう。
ほかの人に自分を見せびらかしたいと思っている人が南青山に児童相談所ができることに反対しているのでしょう。
来年は謙虚な大人が増えることを願って、今年一年を終えたいと思います。一年間お読みくださいましてありがとうございました。(^o^)
じゃ、また来年。




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