先週は投票日でしたので、その結果の感想からはじめたいと思います。先週は、冒頭で選挙について書き、そのあとに「絵本を出版した話」を書くつもりでしたが、ついつい筆が進んで最後まで選挙の話になってしまいました。ですので、「絵本の話は来週」と予告しましたが、誠に申し訳ありません。やはり今回も選挙関連について書かせてください。
なんと言っても一番衝撃的だったのは「中道改革連合」の惨敗ぶりでした。選挙が終わってから1週間経ちましたので、衝撃はかなり収まりましたが、議員数が3分の1に減ったのはショックでした。先週書きましたように、僕は基本的には自民党支持者ですが、今回は野党に頑張ってほしいと思っていたからです。ですが、それが儚く消えてしまいました。
選挙期間の中盤あたりに、大手マスコミから選挙結果の予測が発表されたのですが、そのときに「自民圧勝」と報じられました。ですが正直なところ、疑う気持ちもあって100%信頼していたわけではありません。なにしろ解散直後は「公明党の票が流れて、自民は惨敗する」と報じていたメディアもあったほどです。それが、あれよあれよという間に「自民圧勝」の予測があふれるようになっていきました。それでも、僕はまだ半信半疑だったのです。
しかし、蓋を開けてみれば自民党の「圧勝」でした。戦後最多の議席数だそうですから、圧勝中の圧勝です。ひとつの政党が衆院の3分の2以上を得るのも戦後初めてというのですから、記録ずくめの結果となりました。「さなえ旋風」なる言葉も出ていましたが、まさに「旋風」という言葉がぴったりな応援演説の様相でした。しかし、「旋風」という言葉にはどこか「一時的」というイメージがありますが、その要因には急ごしらえの「中道改革連合」があったようにも思います。
実は、僕は「中道改革連合」が発表されたとき、「巧」を感じました。「巧みさ」の「巧」です。「おお、そんな手があったか」と驚きと賞賛の気持ちが起こりました。しかし、結果を見ますと、僕のような考えの人は少数派であることがわかりました。有権者の方々は、「巧」どころか「反発」や「見放し感」のほうが強かったようです。いえいえ、もしかすると「無関心」だった可能性もあります。なぜなら、落選したのが元立憲民主党の候補者に圧倒的に多かったからです。
元公明党の候補者のほとんどが当選した(比例でした)のに対して、元立憲民主党の議員は140数名から、なんと21人にまで減っています。これを壊滅的と言わずしてなんと言いましょう。僕が思うに、支持母体である労働組合「連合」の組織力の低下が、そのまま反映したと言えなくもありません。なにしろ現在の労働組合の組織率は20数パーセントにまで落ちています。
話が少し逸れてしまいますが、今の労働組合は本当の意味での「働く人たちの味方」になっているとは思えません。大企業で働く人たち、僕に言わせるなら「労働貴族」です。そうした人たちの待遇ばかりが改善されているように感じます。日本の大企業で働いている人の割合は全労働者の約3割ですが、つまり7割の人は中小企業で働いていることになります。もうすぐ春闘の季節ですが、春闘でいくら高い賃上げを獲得しても、それは働いている人の3割にしか恩恵が及ばないことになります。
しかも、大企業で高い賃上げを達成するということは、裏を返せばそのしわ寄せが、大企業の下に位置する中小企業に及ぶということです。僕は、マスコミで報じる高い賃上げ獲得が、「格差」に行き着くと思ってしまいます。僕は格差社会は好きではありません。意識高い系の人の中には「努力した人が報われる社会」と言う人もいますが、僕はちょっと疑問を感じています。なにしろ僕は失敗ばかりの人生を歩んでいますので、どうしてもそうした言葉に抵抗を感じてしまうのです。
話がだいぶ逸れてしまいました。話を選挙結果に戻します。高市自民党圧勝の話でした。米国のトランプ大統領と違い、日本では選挙結果にいちゃもんをつけることはありませんので、落選した立憲系候補者たちが、粛々と議員会館から引っ越す様子をテレビが伝えていました。これは、まだ日本が健全な証拠です。トランプ大統領は前回の選挙で負けたあと、選挙結果をなかなか受け入れませんでした。僕はトランプ氏のこうした姿勢が米国を分断させる根源だと思っていますが、そもそもそのような人物を国のトップに選んだこと自体が問題です。
あれれ、また話が逸れそうだけど、まあ許せ。トランプ大統領は政治家としてあるまじき振る舞いを連続させていますが、先日の報道で最も憤りを感じたのは、ウクライナに対するロシア寄りの圧力です。ウクライナばかりが損をする停戦合意は、本当の意味での停戦ではありません。ここにきてトランプ大統領は、ウクライナに大統領選挙の実施を迫ったりもしていますが、停戦合意を焦っているのは11月の中間選挙への影響を考えているからだと言われています。自分の都合のためにウクライナに譲歩を迫るなど、あってはならないことです。僕は、こうした状況でゼレンスキー大統領は本当に頑張っていると感動しています。この方、元はコメディアンですよ。世界がもっとウクライナ、ゼレンスキー大統領を支援する流れになることを願ってやみません。
話を自民圧勝の選挙結果に戻します。「さなえ旋風」が起きたことは間違いありませんが、これまで書いてきましたように、「敵失」も影響していると思います。僕は「中道改革連合」を好意的に受け取りましたが、世の中の多くの人はそうではありませんでした。しかし、ものは考えようです。よく思い出してください。かつて日本の政治は「55年体制」で動いていました。
若い人のために簡単に「55年体制」を説明しますと、自民党が250~300議席で、社会党(野党第一党)が110~140議席という状態です。ここでの肝は、常に自民党が多い、勝っている点です。つまり政権運営は常に自民党が行い、それをチェックする機能を社会党が担っていたということです。今回、「中道改革連合」があまりに惨敗しましたので、純粋な「55年体制」とは言えませんが、それでも野党第一党です。変形した「55年体制」と考えれば、なんとか納得できるというものです。
「55年体制」でなにが起きていたかと言いますと、自民党内の争いです。党内で派閥同士が主流派をめぐって競っていたのです。自民党内にもいろいろな考えの持ち主がいます。保守派から穏健派まで、幅広い考えの人がいます。今回の圧勝で、そうした党内対立が起きる可能性があります。
例えば「選択的夫婦別姓制度」が盛り上がったとき、自民党内で必死に訴えていたのは稲田朋美議員でした。稲田氏は元々バリバリの保守派だったのですが、心境の変化があったのか、最近は「選択的夫婦別姓制度の実現」を訴えていました。実は一時期、党内を説得できそうなところまで行ったのですが、最後の最後に保守派にひっくり返されて、実現できなかったことがありました。
このように自民党内にはいろいろな考えの人がいます。安全保障関連でも同様で、「慎重であるべき」と考える人もいますので、高市首相が勝利したからと言って、簡単に保守派である高市首相の考えが通るとも思えません。話は少し遡りますが、解散が決まったとき、僕は高市首相の独断とは考えていませんでした。高市氏が首相になれたのは、最後は麻生派の後押しがあったからです。実際、党の要職は麻生派と旧茂木派が押さえています。そうした状況を考えたとき、どうしても「独断」とは思えなかったのです。
しかし、今になっていろいろな情報に接しますと、「独断」だった可能性が高くなってきました。もしそうであるなら、高市首相は僕が思うより肝が据わり、手練手管に長けているのかもしれません。どちらにしても、日本が豊かで平和な国になるように、絶対に戦争にならないように政権運営をしてくれることを願っています。
そう言えば、昨年10月のことですが、高市首相の記者会見前の待機中に、ある通信社のカメラマンの私語が、偶然生配信の音声に拾われ、拡散・炎上した事件がありました。その音声とは「支持率下げてやる」とか「支持率が下がるような写真しか出さねえぞ」といった内容でした。のちに当人は厳重注意を受けたそうですが、今回の選挙で、マスコミにはそういった影響力がもうないことが判明しました。
だって、マスコミが大きく報じていた「裏金議員問題」も「統一教会問題」も、ほとんど選挙結果に影響しなかったのですから。
じゃ、また。
追伸:今週も「絵本」の話はできませんでした。申し訳ありません。もう「来週こそ」なんて言いません。「書くことがなかったら」ということで。