ニュースをチェックしていて、最近いつも心配になるのが「米国の行方」です。トランプ大統領が、民主主義国家の政治家なら通常は行わない「独裁への道」へ邁進しているように見えるからです。最近ではマスコミへの攻撃も激しくなっていますが、これはまさにかつてのナチスが用いた手法と同じです。
自分に都合の悪い報道に対して圧力をかけているのですが、その「かけ方」が尋常ではありません。新聞社には損害賠償を求める裁判を起こし、テレビ局に対しては「免許の剥奪」までほのめかしています。もし本当に「免許の剥奪」が行われたなら、間違いなく民主主義の一線を越えることになります。僕から見ますと、トランプ大統領は政治家というより、まるでエンターテインメントの存在のように思えてなりません。
以前読んだ記事が強く記憶に残っているのですが、トランプ大統領はオバマ元大統領やバイデン前大統領に強い恨みを抱いているそうです。きっかけは、彼が大統領になる前に出席した政財界人のパーティーでした。当時のオバマ大統領が聴衆の前でトランプ氏をからかい、それが大いに受けたのです。そのことを「根に持っている」ことが、現在の「復讐」の要因だと伝えられています。
トランプ大統領はさまざまな場面でオバマ元大統領やバイデン前大統領を批判・中傷していますが、先ほどの記事が本当なら、その背景は理解できなくもありません。素人の僕が言うのもなんですが、トランプ大統領は歴史や地政学に関する知識を十分に持ち合わせていないように思えて仕方ありません。簡単に言えば「政治家としての資質に欠けている」ということですが、現在の言動を見ていますと、そう思わずにはいられません。
一期目の政権で国務長官を務めたティラーソン氏は、トランプ大統領を「報告書を読まない」と批判していました。同様に、マティス国防長官も「合衆国憲法を軽視している」「暴動を扇動した」などと批判していました。こうした発言から見ても、「政治家としての資質に欠けている」と思えてしまいます。
そのトランプ大統領がマスコミへの圧力を強めているわけですが、一般の人々が正しい情報に触れられなくなることは、「正しい判断ができなくなる」ことにつながります。ことわざに「井の中の蛙大海を知らず」とありますが、政府によって統制された限られた情報しか得られなければ、人々は「井の中の蛙」となり、正しい判断を下せなくなってしまいます。
現在、大相撲では秋場所が開催されており、本日が千秋楽です。このコラムを書いている時点では優勝者は決まっていませんが、昨日までの成績は、横綱・大の里が1敗、横綱・豊昇龍が2敗で追う展開となっています。先場所のときにも書きましたが、今の大相撲は活気があります。有望な若手力士が多く、ベテランも奮闘しているからです。取り組みを見ていて落胆することがほとんどありません。
そのような大相撲の世界ですが、私が気になっているのは力士を取り巻く環境です。簡単に言うなら、お給料や福利厚生など待遇の問題です。詳しくは省きますが、日本相撲協会は公益財団法人という組織形態で、力士はそこに属する選手という立場です。そのため給与制度はありますが、実際にお給料をもらえるのは「十両」からです。「幕下」と呼ばれる階級以下の力士には給料はなく、わずかな手当しか支給されません。つまり、部屋に養ってもらう立場ということです。
昭和時代の相撲漫画といえば「のたり松太郎」ですが、その中で「十両になって一人前」ということを知りました。僕はこの漫画をあまり読んでいませんでしたが、相撲界の厳しさを感じ、「自分には絶対できない」と思ったものです。
相撲界ではこれまでに幾度も暴力事件が起きています。ある意味、暴力に関して「当たり前」という風潮があったように思います。「暴力」と言うと強すぎるかもしれませんが、「殴る、蹴るといった腕力を使う」指導法が慣習化していたのは事実でしょう。その背景には、「厳しく激しい稽古があってこそ強くなれる」という発想があります。
僕は20年ほど前に起きた「時津風部屋の暴力事件」が忘れられません。当時、時津風部屋で修業していた若い力士が死亡し、遺体で親元に戻された事件です。ご両親が警察に解剖を要望した結果、暴行の痕跡が多数見つかりました。週刊誌等で「相撲界の闇」と報じられましたが、お父様がインタビューで語った暴行の様子は忘れられません。僕からしますと、まるで拷問のような稽古が行われていたのです。そして、そのような稽古が「普通」になっていたことが、この事件の最大の原因だと思います。
相撲界には高校や大学を出てから入門する力士もいますが、全体としては中学卒業後すぐに入門するのが一般的です。つまり、まだ世間を何も知らない子どものうちに相撲一筋の世界に入ることになります。「子ども」と言っては失礼かもしれませんが、「大人ではない」のは確かです。そのような状態で相撲界にどっぷり浸かるため、他の世界を全く知らないまま大人になるのです。
相撲界では十両に昇進するまでは「養ってもらう身分」ですから、肩身の狭い思いもするでしょう。そうなりますと、番付を上げることに全神経を注ぐことになります。他の世界に興味を持つ余裕もきっかけもありません。これこそが一番の問題です。そのような環境は、親方や相撲協会の幹部にとっては非常に都合のよい状況です。絶対に文句を言わない従業員を抱えているのと同じだからです。正式な雇用関係ではありませんが、立場上はほとんど従業員に近い関係になっています。
先ほど「力士は協会から給料をもらう」と書きましたが、実際には力士と相撲協会は雇用関係にありません。現代風に言えば、力士は「フリーランス」です。他の業界に例えるなら大工などの職人に近い存在です。職人の世界も親方と弟子の関係は雇用ではなく下請け的な関係です。所得税の源泉徴収もなく、社会保険の加入義務もありません。職人なら腕を磨いて独立したり、ほかの仕事現場に移ったりできます。親方からの「報酬が少ない」と思えば、他所へ移ることも可能です。
しかし、力士の場合は簡単に部屋を移ることはできません。相撲界には選択肢がないのです。部屋を出れば、相撲界以外の道に進むしかありません。そもそも他の社会を知らないので、「給料が少ない」と感じることすらありません。何しろ相撲一筋で生きているため、考える余裕もないのです。これが今回のタイトル「計画的井の中の蛙」の意味です。協会によって計画的に「井の中の蛙」にさせられている力士を指しています。
調べたところ、力士の報酬は公開されています。横綱は月額300万円、大関は250万円、以下は180万円、140万円、十両で100万円です。横綱で年収にして3,600万円。もちろん基本給のほかに懸賞金や手当もありますが、それでも少ない印象を受けます。
他の業界に目を転じますと、日本のプロ野球とメジャーリーグでは報酬に10倍近い差があります。それでも日本のトップ選手には年俸1億円を超える選手が多数います。サッカーも同様で、Jリーグでも億を超える選手は少なくありません。報酬が高いスポーツを挙げましたが、もちろんすべての競技が高額報酬というわけではありません。力士と同程度の報酬しか得られない選手もいます。ただ、一番の違いは、選手自身が声を上げられるかどうか、そして移籍が容易かどうかです。相撲界以外の選手たちは他業界との交流を通じて自分たちの待遇を考えるきっかけがあり、改善のために行動することも可能です。しかし力士は違います。
そもそも待遇改善を求める発想自体が生まれにくいことが最大の問題です。「気づかせない」ようにされていることに気づかないことが問題なのです。しかし、それを自覚させることはかなり難しいんですよね。
だって、井戸って深いから。
じゃ、また。
校正:ChatGPT