<イチローから学ぶスポーツ選手とマスコミの関係>

pressココロ上




先週の大きな話題と言いますと、やはりイチロー選手の引退です。すでに多くのテレビなどが特集を組んでいましたので“聞き飽き感 ”はあるでしょうが、僕なりの視点で書こうと思います。

イチロー選手がほかの選手と違うのはマスコミとの距離感ではないでしょうか。ほかの選手のように各メディアの記者の人たちと過度に馴れ馴れしくすることはなく、常に一定の距離を置いているように思います。

このような選手に対してメディアの側が考えることは「どのようにして親しくなるか」です。スポーツ界に限った話ではありませんが、取材に際して最も重要なことは対象となる人物と「どれだけ親しい関係を築いているか」です。なにしろ親しくなければ連絡を取ることすらままなりません。

政治の世界では「番記者」と呼ばれる人たちがいます。番記者としての優劣を決めるのは「政治家との親しさ」です。ときには「親しさ」を求めるばかりに一線を越えて政治家に取り込められる人もいますが、最初からそれを狙っている記者もいますので難しいところです。現在、メディアで活躍している政治評論家と言われる方々はほとんどがそういった人たちです。

このように記者が成功するには対象となる人物と「親しさ」を築くことが重要ですが、相手が政治家の場合とスポーツ選手の場合では違いがあります。それは社会人経験または人生経験の多寡です。政治家の場合はほとんどが社会人としての経験を積んだ人たちですが、スポーツ選手は社会人の経験がほとんどありません。

大学を出た人でさえ22才~23才で、高卒ですとさらに若く18才~19才です。まだ大人にもなっていない青年がいきなりマスコミという社会の中でも特別といえる業界と接することになります。選手と直接接する記者が選手にどれだけに影響を与えるか想像にがたくありません。

ときには、今で言うマウンティングで関係を迫ってくるケースもあるはずです。まだ大人になっておらず一流にもなっていない若人です。選手からしますと、「マウントされている意識」すらないかもしれません。そのようなときから取材記者と相対しなければいけないのです。そこから一流になって行く過程でマスコミとの関係に悩んだ選手は多いように思います。マスコミと距離を置いている選手はこうした経験があるように思います。

僕がスポーツ選手と取材記者との関係性について意識するようになったのは野球界ではなくサッカー界の中田英寿選手でした。理由はわかりませんが、中田選手は最初からマスコミとの距離感の重要性を理解していたように思います。そのことが原因かはわかりませんが、中田選手は取材を受けることに対して慎重になっていました。もちろん、マスコミの側からしますと、そうした振る舞いは「生意気」と映りますので批判的な記事につながることもあります。

スポーツ選手にしろ、芸能人にしろ、政治家にしろある人の人物像を作るのはマスコミです。特に芸能界や政界ではそれが重要になってきますが、マスコミに好意的に報じてもらえるか批判的に報じてもらえるかで芸能人や政治家としてのイメージが決まると言っても過言ではありません。ですから、芸能人や政治家の方々特に新人はマスコミに対して配慮した振る舞いをしています。

スポーツ選手が芸能人や政治家と異なるのは結果が数字で表れることです。どんなにマスコミから嫌われようが、結果を残していますと認められることになります。マスコミは一般大衆から支持されることによって成り立っていますが、一般大衆が求めていることを報じる使命があります。つまり、マスコミが生き残るには一流選手の情報を得ることは必須要件です。

このような状況になりますと、完全に立場は逆転します。中田選手は一部のマスコミからは批判されることがありましたが、その批判を凌駕するだけの実績を残していました。

イチロー選手のマスコミとの接し方は中田選手に似ているように思います。それに対して少し趣が違うマスコミ対応をしていたのは先に引退していた松井秀喜選手です。松井選手はイチロー選手とも中田選手とも違い、マスコミを味方に引き入れていたように思います。松井選手は現在メジャーリーグで指導の立場にいるようですが、マスコミとの良好な関係を築いていたことは少なからず影響していたはずです。

もちろん、味方に引き入れるには数字という結果を残すことも必要ですし、日ごろから記者との接し方に配慮していることも大切です。簡単に言ってしまいますと、信頼関係を築けていたことが松井選手がマスコミから好意的に報じられた要因のように思います。

イチロー選手の引退に際して、日経ビジネスのサイトでは若き日のインタビュー記事を掲載していました。年間安打数の日本記録を達成し翌年も首位打者を獲得した22才のイチロー選手が編集長のインタビューに答えています。すでに一流選手になっていたとはいえ、まだ若手選手だったからこそ実現したインタビューです。今では当然不可能です。

そのインタビューでイチロー選手は野茂選手について触れています。野茂選手が米国で成功していることに驚いていますが、それまでは米国と日本の野球は大人と子供のほどの違いがあると思われていました。そうした認識を覆したのが野茂選手と話しています。僕は野茂選手の「まとめ」を作成していますが、野茂選手は現在メジャーリーグで活躍している日本人選手の先駆者です。

野茂選手もマスコミと一定の距離を置いていました。と言うよりも「嫌っていた」と言っていいかもしれません。「まとめ」にも書いていますが、野茂選手がメジャーリーグに渡るまでの過程で野茂選手は日本のマスコミから「徹底的に」と表現してよいほど叩かれていました。当時の監督である鈴木氏や親会社との軋轢があったからですが、当時のマスコミはほとんどが鈴木氏および親会社の側についていました。メジャーリーグに行く前、野茂さんは悪者扱いをされていました。

イチロー選手はそうした場面を見ていたのではないでしょうか。マスコミの負の面を目の当たりにしたことが今のイチロー選手のマスコミへの接し方を決めたように想像します。

最後に、奥様について書きたいと思います。イチロー選手は会見で奥様について、“毎試合作ってくれたおにぎり”の話を持ち出して「感謝している」と答えていました。ご存知の方も多いでしょうが、奥様は元TBSのアナウンサーです。8才も年上ですので年の差結婚が注目されましたが、20年以上経ってもイチロー選手が奥様に感謝の言葉を述べている姿は好感です。

やはり有名人同士の結婚ですと、奥様のほうもテレビ出演などをしたくなると思いますが、ほとんどテレビなどで見かけませんので裏から支えることに徹しているようです。もちろん今後のことはわかりませんが、イチロー選手が成功した理由の一つに奥さんの貢献があったとしたならこれ以上素晴らしいことはありません。

なぜ、「奥さんについて書こうと思ったか」と言いますと、最近元貴乃花親方が離婚したことと関係しています。貴乃花親方の奥様も元フジテレビのアナウンサーで8才年上という共通点があります。そのお二人が先ごろ離婚したのですが、奥様が結婚生活について本を出版し物議を醸しています。

自分が選んだ相手が正解なのかどうかは死ぬまでわかりません。純粋な気持ちで選んだのか、果てさてなにかしらの計算が働いて選んだのか、最後の審判は人生を終わるときに下ります。イチロー選手夫婦の真実が現れるのはこれからの人生にかかっています。

あ、人のこと言えねぇや。。。

じゃ、また。







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