<しきたり>

pressココロ上




ゴーン氏が逮捕されたことで一気に注目を集めた日産ですが、僕は逮捕とは別のところで気になっていることがあります。それは日産のCMのキャッチコピーについてです。

最近は大分下火になってきましたが、日産の西川社長はゴーン氏が逮捕されてからマスコミに追いかけられています。つい最近もルノーとの統合の是非などが問題になりましたが、西川社長の一挙手一投足に注目が集まっています。その理由は日産という会社がゴーン氏との戦いにどのように臨むかに多くの人が興味を持っているからです。

さらに言いうなら、「ゴーン氏との戦い」ではなく、「ルノーとの戦い」と言ってもいいかもしれません。さらにさらに言うなら「フランス政府との戦い」と言えるかもしれません。日産の筆頭株主はルノーであり、そのルノーの筆頭株主がフランス政府だからです。

しかし、この戦いは当分は決着がつきそうもありません。ですので、ひとまず経済的な難しい話は置いておくとして、僕が気になっているのは日産のCMです。そして、そのキャッチコピーです。

日産は今から20年前にルノーの傘下に入ることで倒産をなんとか免れましたが、表向きにはルノーと資本提携するまで業績が悪いことはあまり知られていませんでした。その理由を一言で言ってしまいますと、経営陣が隠していたからですが、反対から考えますと「隠していたことが日産の業績を悪くしていた」とも言えます。

日産の業績の悪さが明るみになった当時、なにかで読んだ記事が強く記憶に残っています。日産の業績が悪化した理由にはいろいろな要因がありますが、一つは労働組合が強かったことです。当時、日産には強力な労働組合があり、その委員長には「天皇」とまで称されていた塩路一郎氏という人物の存在がありました。

当時は人事異動をする際にも労働組合におうかがいをする必要があったそうですから、どれほど力を持っていたかがわかろうというものです。労働組合に異常に気を使いながら経営している企業が業績を上げられるはずはありません。

実際は業績が悪いながらも表向きは「それほど悪くない」ように振る舞っていました。それを端的に表しているのが「シーマ現象」です。覚えている方も多いでしょうが、最高級車の代名詞にまでなった「シーマ」がマスコミでも取り上げられ販売台数も好調だったからです。

ですが、実際の業績は悪かったのです。

そのような状況にあっても日産はCMで「技術の日産」を表看板にしていました。「技術に関してはどこにも負けないぞ」という自負を世の中に示すキャッチコピーです。繰り返しますが、

実際の業績は悪かったのです。

ニワトリとタマゴ論争になってしまいますが、「技術を追究する」あまりに業績が悪くなったのか、はたまた業績を上げるために「技術を追究する」のかは定かではありません。ですが、どんなに優れた技術を持っていてもその技術を生かす場所がなければ宝の持ち腐れになってしまうのは間違いのないところです。

僕の記憶が正しければ、ルノーの傘下に入ってからしばらくの間は日産はCMにおいて「技術」を真正面からは掲げていなかったように思います。当時は、従業員を解雇したり工場を閉鎖したりなどして経費を抑えることに重点を置いていました。毎年赤字が垂れ流し状態でしたので当然の対応です。「技術」に重点を置いている場合ではなかったのです。とにかく出血を止めることが必要でした。

ルノーの傘下に入ることを決断した元社長塙 義一氏は「日本人ではそれまでのしがらみを断つことができなかった」とのちに述懐しています。つまり、日産という会社はたくさんの下請け企業などと取引をしていましたが、中には効率の悪い企業もありました。そうした企業との取引停止はこれまでの関係を知っている人間にはできなかったのです。そして、それが業績を悪くしていた一番の原因でした。

このように業績が悪い状態でも日産は「技術」にこだわっていました。それがまた業績を悪くしていたのです。業績を無視してまで「技術」にこだわる姿勢は、場合によっては企業を蘇らせることもありますが、あくまで結果論です。

その日産が最近になり、CMで「技術」を正面に掲げています。技術に強い自負を持っていることがひしひしと伝わってきます。これが吉とでるか凶とでるかは「神のみぞ知る」ですが、かつての「技術にこだわった」ばかりに業績を悪化させたことを知っている僕としましては気になるところです。

このことから僕が思うことは、いい悪いは別にして日産には「技術」と遺伝子が根付いていることです。ちょっとした機会にその遺伝子が顔をのぞかせているように見えます。

このことからわかるように遺伝子を変えるのは容易ではありませんが、習慣や風習といったしきたりは変えることができます。現在ネットで物議を醸しているのが「職場でのパンプスの是非」です。きっかけは就職活動時の女子学生のパンプスでしたが、そこから発展して職場におけるパンプスの是非になりました。

昭和世代の人ですと、「職場ではパンプスが常識」という感覚のはずです。職場とプライベートは区別するという発想が根付いていることが背景にあります。言葉を代えるならマナーと言ってもよいかもしれません。

今ネットで声が上がっているのは、女性たちからの「パンプスを履かない」権利の主張です。今はまだ職場は男性優位ですが、その男性が上司になっている場合「職場のマナー」としてパンプスを求められているようです。根本厚生労働大臣が「パンプスを求めることを容認」した発言がまた物議を醸していました。

しかし、今の時代は夏になりますと「ノーネクタイ」が主流になっています。夏季の節電のために国を挙げて「クールビズ」に取り組んだ結果です。かつては「ネクタイ着用」が常識でありマナーでした。それが変わってきたのです。パンプスも「クールビズ」ように国が音頭をとって旗を振るならなくなるのではないでしょうか。

スティーブ・ジョブズがスーツを着てネクタイをしてプレゼンをしていたら変でしょ!

じゃ、また。







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