<扇動商法>

pressココロ上




先月の参議院選挙で最も大きな出来事は、「NHKから国民を守る党(以下:N党)」が議席を獲得したことです。おそらく一昔でしたら、絶対に当選などしていなかったはずです。「時代の流れ」と言ってしまえばそれまでですが、僕は「時代の流れ」以上に大きな変化があるように感じています。

「言い過ぎ」を覚悟して言いますと、「選挙民の劣化」です。

ジャーナリストの江川紹子氏がYafooにて「メディアはN国(N党のこと)の取り上げ方をよく考えて」という記事を投稿していますが、同感です。昔から「犬が人を噛んでもニュースにならないが、人が犬を噛んだらニュースになる」と言いますが、メディア・マスコミは「ニュースになるネタ」ならなんでもよいと思っているようです。

考えようによっては、小泉進次郎氏の結婚発表が官邸で行われたことも「格好のネタ」だったとも言えますが、それはひとまず置いておいて「N党の躍進」です。

先ほど「選挙民の劣化」と過激な表現で書きましたが、その思いを強くしたのは「N党の躍進」とともに、「マック赤坂氏の当選」でした。

マック赤坂氏をご存知の方は多いでしょう。2007年の東京都港区議選を皮切りに、参院選や衆院選、はたまた東京都知事選、大阪府知事選、新潟府知事選と片っぱしから立候補を続けている御仁です。

マック氏を有名にしたのは、立候補時の政見放送での奇抜なパフォーマンスでした。そうした振る舞いがマスコミに注目され、知名度を上げました。しかし、13連敗中でしたのでマスコミからは「永遠の泡沫候補」とまで言われていました。ですが、これはある意味、政治に対する選挙民の認識が正常に働いている証拠でもありました。

そのマック氏が4月の港区議選で当選を果たしていたのです。この選挙結果をみて「選挙民の劣化」と言わず、なんと言いましょう。そうは言いつつも、今回のマック氏の当選にはマック氏の選挙戦の戦い方に変化があったことも関係しているようです。一言で言いますと、真面目に選挙活動をしたことです。

マック氏の記事を丁寧に見て行きますと、今回の選挙戦に臨む姿勢が方針転換していることがわかります。派手なパフォーマンスを封印して、地道に支持者を増やしていく作戦が功を奏している面もあるとは思います。

ですが、人間の持つイメージ、先入観というのは簡単に変わるものではありません。一度「泡沫候補」のイメージがついてしまったマック氏がたった一回方針転換しただけで、当初のイメージを変えるのは不可能だったはずです。それでも当選したのは「選挙民の劣化」が理由です。

N党の代表を務めている立花孝志氏もマック氏同様過激なパフォーマンスで有名になった方です。立花氏も当選するまでは「泡沫候補」扱いだったはずです。一部の人を除いて、参議院選挙でまさか当選するとは思っていなかったはずです。

僕が立花氏の存在を知ったのは仕事をしているときです。僕は今、集合住宅の清掃請負の仕事をしていますが、たまたまある部屋の玄関ドア脇にある入居者名入れの下に「NHKから国民を守る党」のシールが貼ってあるのを見かけました。

過去にNHK受信料の集金人に関する本などを読んだことがありましのたで、そのシールの意味するところはなんとなく想像できました。そこで、ネットで調べたのですが、そこで初めて立花氏がyoutubeでNHKを批判している姿を見ました。

僕がyoutubeを見た感想は、「ちょっと危ない中年男性」といった感じです。youtubeを見る前は右翼方面の人かとも想像していましたが、映像を見る限りではそんな雰囲気も出さず、しかも「元NHKの職員」とか「内部告白」などという文字も読みましたので過激な行動をする人ではなさそうだ、くらいに思っていました。

そのときはそれ以上調べることはなかったのですが、参議院選挙で議席を獲得してからメディアで取り上げられることが多くなり、再度関心を持つようになりました。

僕は「N党」が議席を獲得した結果を「選挙民の劣化」と表現しましたが、「N党」に投票した人は「N党」もしくは立花氏が政党もしくは政治家に相応しいと思ったのでしょうか。おそらくあまり深く調べもせず、また考えもせず「受信料がなくなるなら」とか「面白そうだから」という理由で一票を投じたはずです。

立花氏のyoutubeを見ますと、立花氏が主張しているのは「NHKをぶっ壊す」だけです。そのような人が政治家に相応しいはずがありません。確かに、NHKに問題があるという指摘はあながち間違いではないかもしれませんが、それだけを公約にする政党が社会を正しい方向に向かう政治をするとは思えません。

立花氏の選挙戦術の危険な点は、「大衆を扇動する」やり方で選挙活動をしていることです。冒頭で紹介しました江川氏が指摘しているように、マスコミに取り上げられるように意図的に活動をしています。

例えば、維新の党から除名された丸山穂高氏氏を引き入れたり、元みんなの党の党首だった渡辺喜美氏と会派を組んだりしています。そのほかにも過激な発言をする人と連携を取っていくような噂がありますが、基本的な姿勢はメディアで取り上げれるパフォーマンスをすることのようです。

その一環として辛口な表現で有名なマツコ・デラックスさんを執拗に攻撃しています。この騒動の発端はマツコさんがテレビ番組で「N党」を批判したことですが、「N党」を批判している人が数多いる中でマツコさんだけに集中的に反撃するのはメディア受けを計算しているからにほかなりません。

残念ながら、今の時代は知名度を上げるにはとにかく過激なパフォーマンスをすることです。炎上商法という言葉があるように、善悪関係なく名前が知れ渡ることが成功の土台になっている部分があります。

AKBが売れ始めた頃、育ての親である秋元氏はCDを売るために「CDの購入者だけに選抜総選挙への投票権」を与える手法を編み出しました。この手法は見事に当たるわけですが、僕はファンが制作者にいいように動かされている状況に嫌悪感を抱いていました。制作者の手法に見事にからめとられているわけです。

炎上商法も似ている部分があります。過激的・刺激的な投稿をして多くの人の感情に揺さぶりをかけ集客する方法です。戦争がはじまるとき、きっかけは些細なことですが、その引き金が引かれるまでに少しずつマグマが心の中に溜まっていっている状況があります。そうでなければ、知的な動物である人間が些細な出来事で戦争など始めるはずがありません。

理性を凌駕するほど力を持っているのが感情です。その感情を揺さぶり、人の行動をコントロールする手法を見逃してはいけないのです。

皆さん、「扇動商法」にはくれぐれも気をつけましょう。

じゃ、また。







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