<少ない体験での正義>

pressココロ上




 数週間前の新聞に印象に残った投稿がありました。投稿者は中学生なのですが、本人が自転車 に乗っていたときの体験談が書かれていました。
 投稿者は塾へ自転車で通うとき道幅が狭いのでベルを鳴らしながら走っているのですが、そのと きの歩行者の様々な反応について書いています。気持ちよく道を譲る人や反対に不愉快そうに脇 による人、おしゃべりに夢中で道を塞いだままの中高年の女性たちがいるそうです。投稿の最後は 「最近では自分でもすみません」と言うようにしていると結んでいました。
 私事ですが、先週駐車違反で切符を切られてしまいました。罰金1万円減点1点です。その日は 朝刊に靴の安売りのチラシが入ってたので妻が買いに行こうと言い出し、車で駅に向かいました。 駅には100円パーキングもあるのですが、普段は駅近くの道幅が広く通行量の少ない場所に路上 駐車をしています。いつものようになんの後ろめたさもなく駐車をし「安い買い物ができた」と喜びな がら戻りますと、ちょうどおまわりさんが駐車違反のステッカーを私の車に貼っているところでした。 私は急いで走り寄りおまわりさんに「すみません」と謝りましたが見逃してもらうことはできず「免許 証を出すよう」に言われました。
 おまわりさんは反則切符を切ったあと私にこう言いました。
「本当はレッカー車をすぐに呼んで持っていくところだったけどあなたが走ってきてくれたから罰金1 万円減点1点にします。もしレッカー車で持っていかれると罰金1万5千円減点2点になり保管料も 別にとられるんですよ。でもあなたが走ってきてくれたから…」
 たぶん駐車違反の切符を切るときに反論する人や文句を言う人もいるのでしょう。罰金1万円減 点1点で済んでよかったのだ、と言外に言っていました。違反の手続きをスムーズにするための台 詞のように感じました。それはともかく私としては違反したのは事実ですので「非は私にありますか らいいですよ」と答えました。私が素直に応じたからでしょうか、そのおまわりさんは最後に「すみま せん」とまで言ってくれました。
 また、おまわりさんは駐車違反になる目安が「25分である」とも教えてくれました。普通、駐車違 反を取り締まるときは1回目に車のタイヤにチョークで印をつけある程度時間が過ぎてからもう1度 確認にきます。その2回目に確認にくる時間の間隔が25分後であると教えてくれたのです。みなさ ん、今週のコラムで1番役に立つのはここです。違法な場所に駐車するときは25分に1回は見に 行きましょう。
 三木谷氏とTBSの攻防はここ数日三木谷氏に分が悪いように思います。三木谷氏の「株を買っ てはいけない理由がわからない」という台詞はホリエモン氏も言っていましたが、第三者である私な どからしてもうなづける台詞です。しかしTBSの企業価値評価特別委員会の委員長を務める諸井 虔氏が三木谷氏に対して「人間を磨け!」などと発言しているようですし、またその発言を大きく取 り上げるマスコミの様子から察するところ世論的にはTBSに同情している感があります。
 経済誌によりますと三木谷氏はTBSの株を買い増すことを事前に財界の重鎮的な立場にいる長 老たちに相談はしているようです。それでも諸井氏のような発言が同じ重鎮的な立場にいる長老か ら出るということは長老の間に派閥というかグループがあることを示しています。三木谷氏が相談し たグループというか人脈に諸井氏が入っていなかったのは明らかです。先日、次の経団連の会長 が内定しましたがTBSの問題は今後財界の対立を表面化させることになるかもしれません。野次 馬的な気持ちとしてはこの対立にも興味があるところです。
 個人的には三木谷氏とTBSの攻防は経営者の世代間の対立だと思っています。若い経営者と ベテラン経営者の対立です。ベテラン経営者の間でも新しい若い経営者の考え方に理解を示す人 もいるでしょうし反対に認めないする人もいるでしょう。認めない経営者グループにしてみますと飛 ぶ鳥を落とす勢いの経営者である三木谷氏と言えども年齢的には会社では課長か部長クラスでし かありませんので心情的にはわかる気もします。どちらが勝つかはわかりませんが正義のあるほ うに勝ってほしいものです。
 中学生の投稿を読んで私が真っ先に感じたことは「ベルを鳴らす」という行為についての是非で す。「ベルを鳴らす」という行為は「自分が優先である」という前提に基づいています。ベル音を聞い て道を気持ちよく譲る人は別にして、不愉快そうに道を譲ったりもしくは反抗的な態度をする人は 自転車に対して反感を持っています。歩行者からするとベルを鳴らされること自体が不愉快に感じ られます。それに対して投稿者はベルを鳴らすことにより注意を促し危険を避けようとしているので すから反抗的な態度をとる歩行者に対して不愉快感を持ちます。どちらも自分の論理では正義は 自分にあると思っています。
 さて…。
 投稿者である中学生も将来運転免許証をとるかもしれません。そのとき交通法規のマークシート 試験もあります。
「歩行者が道路側にはみ出して歩いていたのでクラクションを鳴らした」 は 「×」です。
 じゃ、また。




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