<あれから7年>

pressココロ上




数日前からいろいろなマスコミで特集を組んでいますが、今日は7年前に東日本大震災が起きた日です。この日のことはちょうど僕にとっても節目になる出来事があった日ですので特別な思いがあります。
毎年書いていますが、まず3月11日は僕たち夫婦の結婚記念日です。そして、7年前のその日は僕がお店を閉めた日でもあります。
コロッケ店を開業して途中移転はありましたが、5年が過ぎていました。それ以前に遡ること12年前、ラーメン店を閉店しましたので閉店を経験するのは2度目でした。負け惜しみと思われるのは癪ですが、コロッケ店は最初から5年くらいで閉めるつもりでいました。コロッケ店を開業した目的は自分自身の中にある「商売のあり方」を試したかったからです。詳細は省きますが、結論としては僕の挑戦は失敗に終わりました。やはり世の中は現実が優先します。
それはともかく、その日に閉店することは数日前から告知をしていましたので午前中にも幾人かの常連客の方が挨拶がてらに買いにきてくれていました。そして、午後の休憩に入っているときに震災が起きたのです。店の奥で妻と二人で昼食を食べていたのですが、あのときの強烈な揺れは今も記憶に刻まれています。おそらく東京にいたほとんどの人が同じ感想を持っているはずです。
しかし、地震が収まったあとは平常通りにお店を開けていましたのであれほどの大きな被害が起きていることを知りませんでした。ですから、お店の前を通常の100倍くらいの人が歩いているのを不思議に思っていました。ただ「なんかやけに人が歩いている」と感じただけでした。
僕のお店の挑戦とは人通りがないところでもお店の雰囲気と接客力だけでお店を運営することでした。ですから僕のお店の前は通常はほとんど人が通らないのです。僕のお店に来ることを目的にする人以外は本当に人が通らない道でした。その道をひっきりなしに人が歩いているのです。
そこでたまたま買いに立ち寄ってくれた、普段なら買いになどきそうにもない40才くらいのサラリーマンふうの人に尋ねました。
「なんかいつもと店の前の雰囲気が違って人が多いんですけど、なにか理由があるんですかね?」
すると、震災で交通機関が麻痺していることを教えてくれました。なんとその方は都心近くの職場から歩いて来た方でした。20キロ以上の距離を歩いてきたことになります。さらにその方はまだまだ自宅までは遠いそうで帰りの方角を尋ねてきました。
7年前の今日、震源地以外のところで生活をしていた人たちはほとんどの人が僕と同じような経験をしたはずです。そして、家に帰ってニュースを見ますと現地の被害は想像以上に甚大でした。津波に家屋が飲み込まれる映像は人間の無力さを思い知らされましたし、人間の英知によって開発された原子力発電所も事故に際してはなにもできないことを伝えていました。東京電力本社の幹部と現場の所長との緊迫したやり取りは一生忘れることはありません。
それほど大きな災害でしたが、日ごろから常に思いだしているわけではありません。被害に遭った方々は常に震災と隣り合わせで暮らしていますが、被災地から遠く離れた僕が思い出すのはマスコミが特集を組むときだけです。申し訳ない気持ちがありますが、それが一般の人の正直な姿です。その意味で言いますと、マスコミが特集を組むことは大きな意義があるように思います。
このように人間は自分が直接携わっていないことは忘れてしまうものですが、森友&家計学園問題がここにきて注目を集めています。実は、僕は森友&家計学園問題は衆議院選挙での自民党の大勝によりうやむやになると思っていました。しかし、弱体化した野党にもかかわらず粘っていたのが印象に残っています。そうした中で今回、新たな展開が起きました。
今回の展開に大きく貢献したのは朝日新聞のスクープです。朝日新聞が「学校法人森友学園への国有地格安売却問題をめぐり、財務省が学園との契約に関する決裁文書を書き換えた疑いがある」と報じたのですが、これこそ本当の意味でのスクープです。
この報道が出た当初は「誤報!」だとか「別の文書と勘違い」などと反論する意見もありましたが、9日になって財務省が認めました。さらに財務省から国税庁長官に栄転していた佐川宣寿氏が辞任をするに至っては財務省は自らの非を100%認めたことになります。今後野党が勢いづくのは間違いのないところです。
今回のスクープ報道を見て僕が真っ先に思ったのは「どうして書き換えが朝日新聞に漏れたのか」です。普通に考えるなら財務省内にスパイがいたことになりますが、やはり自殺をした職員がいたことがきっかけになっているように思います。たぶんこの職員の方は真面目てコツコツやるタイプだったのではないでしょうか。それにしてもかわいそうでなりません。
官僚の世界にかかわらず企業など組織で働いている人にとって人間関係は重要です。人間関係がうまくいくかどうかで仕事が楽しくなったり辛くなったりします。しかし、悪人と人間関係を築く必要はありません。残念ながら自分の周りにいる先輩や上司が必ず善人であるとは限らないのが実際の人間社会です。
もし運悪く悪人が周りに現れたなら環境を変える道を選ぶのも一つの方法です。組織で働いていますと、その世界が絶対という考えになることがありますが、もっと視野を広げることが必要です。しかし、誰でも現状を変えるのは簡単ではありません。勇気が必要です。それでも自分が正しいと思う方を選択するべきです。そして、そのことによって左遷や低い評価を受けても甘んじればよいのです。最悪の場合は転職も考慮に入れるべきです。
今回自殺をした職員の方は森友学園と折衝をしていた担当者の方のようです。常識的に考えるなら「決裁文書の書き換え」が無関係とは思えませんが、仕事の一環としての行為で自殺をするのではあまりに悲しいものがあります。もし、自分の意志ではなく上司や幹部の要請での「書き換え」であるならこれ以上痛ましい事件はありません。
仮に、法を犯さざるを得ないことがあっても自分の意志で行うなら納得または我慢できますが、ほかの人の要請または強制であったならこれほど後悔することはありません。自分の人生は自分で決めるのが正しい考え方です。
自然災害は自分の意志ではどうにもできないことです。それに対して仕事や職場の選択は自分の意志でできることです。せっかく生まれてきたのですが、自分の意志で選べる場面では自分の意志を尊重しましょう。
最後に…。会社で偉そうにしている上司や幹部も会社を離れたら「ただのおじさん、またはおじいさん」に過ぎないですから。
じゃ、また。




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