<一丸>

pressココロ上




今、マスコミで最も騒がれているのは「中居さんの女性トラブル問題」でしょうか。バラエティー番組だけではなく、一般のニュース番組でも取り上げられていますので、注目の高さがわかろうというものです。地上波放送でもそのような状況ですのでネット動画ではそれ以上です。僕が見るYouTubeの「おすすめ動画」欄には、中居さん関連の動画がたくさん出てきます。

「おすすめ動画」欄は視聴者の視聴履歴をもとに表示されますが、僕はそれほど芸能関係の動画を見ていません。それにもかかわらず僕に「おすすめ」してくるのですから、ネット界でいかに再生回数が多いかがわかります。ここまできますと、「あることないこと」をなんでも書いてやろうという悪質な動画が増えている印象で、あまりいい感じは持っていません。ネットには、刺激的な見出しにすればするほど再生回数が伸びるという特徴がありますので、それを狙っているのが見え見えで不愉快です。

僕が不思議なのは、このような騒動に乗っからなくても十分に再生回数が多いはずの著名なYouTuberまでもが参入していることです。ネットの世界では「騒動に乗っかる」のは基本中の基本らしいですが、政治に興味のある僕がネット騒動で思い出すのはトランプ氏の選挙戦術です。トランプ氏が最初に大統領選に立候補した8年前あたりからネットでの選挙の戦い方が注目されるようになりました。

これまでにも書いていますように、僕は基本的にトランプ氏の選挙戦術は「フェイク」とまではいいませんが、「大げさで盛っている」と思っています。また、保守の岩盤支持層を固めるためだけの政策に対しても批判的に思っています。ところが、最近僕の考えを改めさせるような記事を幾つか目にしました。それは、トランプ氏の勝利を「国民が冷静に判断をした結果」と解説している内容でした。

実は、兵庫県知事選でも似たような言葉を聞いたことがあります。60歳半ばくらいの女性が「ネットで情報を調べ、信頼のおけそうな記事を読み、斎藤候補に投票した」と話していました。斎藤知事の当選については、その後PR会社の女性経営者の問題でケチがついていますが、一般の人が「ネットで政策などを見ている」ことは間違いないようです。

このように、冷静にネット情報を見ている人が多いようですが、それがわかっていながら「あることないこと」情報が氾濫しているのは、多くの人が「冷静」ではありつつも刺激的な見出しについつい惹き込まれていく現状があるからです。おそらくネット情報を信頼はしていなくても、ある意味「ウソ」であろうとも、人々は刺激的な見出しを求めているのかもしれません。

それはさておき、僕は、トランプ氏が「中絶禁止」を支持したときに、流れは一気に民主党のハリス候補に行くと思っていました。当時、このコラムでも書きましたが、女性が自分の身体のことを自分で決められないのはあまりに理不尽と思ったからです。しかし、トランプ氏が当選しました。僕が「中絶禁止」に対して思っていた危機感ほどは、米国の女性たちは危機感を持っていなかったようです。

中絶問題よりも重要なことは「経済」でした。簡単に言いますと「収入」です。自分たちの収入が確保できる政策を掲げた候補者を選んだのです。「人柄ではなく政策で選んだ」とトランプ氏に投票した人が落ち着いた口調で話していました。日々の生活に困窮している人たちがトランプ氏を選んだのです。ネットの情報に振り回されてトランプ氏に投票したわけではない、ことを示しています。

あと一つトランプ新大統領を評価する記事として、イスラエルのガザ侵攻とロシアのウクライナ侵攻、それぞれの停戦があります。ガザ侵攻は停戦が決まったようですが、それを実現させたのはバイデン大統領とトランプ新大統領の合わせ技と言われています。僕はどちらの功績でもよいと思うのですが、バイデン大統領が会見で発表したあと、ある記者から意地悪な質問が投げかけられました。

会見が終わり、バイデン大統領の帰りがけに問いかけたのですが、その記者は「停戦が実現したのは、あなたの功績ですか、トランプ新大統領の功績だと思いますか?」と声をかけました。ほぼ背中を向けていたバイデン大統領は身体を半分向き直り、そして少し間を置き、その記者に向かって「ジョークか?」と返しました。「ジョークで聞いているのか?」という意味ですが、なんと秀逸な返しでしょう。「さすが、百戦錬磨の政治家」と感心した場面でした。

バイデン大統領の話になってしまいましたが、トランプ新大統領を評価する記事のあと一つは「ロシアのウクライナ侵攻もやめさることができそう」というものです。トランプ新大統領は、選挙前は「自分だったら1日で終わらせる」と豪語していましたが、この言葉を信用している人は誰もいませんでした。しかし、本当に「あと半年くらいで終わらせる可能性がある」という記事でした。詳細は省きますが、実現性があるように解説しており、批判的な僕でさえ納得してしまいそうな内容でした。最近、そうした記事を幾つか読みましたので、「もしかしたら、トランプ新大統領誕生も必然かもしれない」と思い始めた次第です。さて、どうなるでしょう。

先週はフジテレビの社長が中居さんの「女性トラブル」について会見を行っていました。今の流れでいきますと、中居さんがテレビから消えていきそうな雰囲気です。1年前にはダウンタウンの松本さんが消えましたが、問題を起こしてしまいますとスポンサー関連でテレビから消えていくのは仕方ないのかもしれません。

実は、あまり大きく報じられていませんが、あと一人テレビ番組から消えた人がいます。リベラルの論客として知られるジャーナリストの青木理さんです。サンデーモーニングに隔週で出演していたのですが、昨年後半から見かけなくなりました。サンデーモーニングは、出演者が問題発言で降ろされることがそれなりにあります。ですので、青木さんもその類なのかな、と思っていました。

そこで気になり調べたところ、青木さんは「降ろされた」のではなく、自ら出演を自粛しているそうです。理由はある動画チャンネルに出演したときに、自民党支持者に対して「『劣等民族』と発言した」からだそうです。本人がのちに謝罪と撤回をしていますが、その反省の意味を込めて当分テレビ出演を控えることにしたそうです。

民主主義の世の中では、いろいろな意見の人がいて、そうした人たちの意見を調整しながら政治を行っていきます。自分とは異なる意見の人を「劣等民族」などを評することはあってはならないことで、民主主義を否定することにつながります。僕が見ている限り、青木さんは発言に際しては慎重に言葉を選んでいる印象がありましたので、この失言はついついの油断だったのでしょう。誰でも油断することってありますよね。

世の中に意見の異なる人がいるのは当然ですが、それでも最終的には全員が「一丸」となることが大切です。どんなスポーツでもチーム競技の場合は、一丸となってまとまっているチームが勝利します。意見の違いをそのままにしていては、戦い方がちぐはぐになってしまい本当の実力を発揮することができません。仮にチーム内に分断が起きていては相手チームとの戦い以前の問題で、戦う資格すらありません。

「一丸」になることに意義を唱える人はいないでしょうが、実はチームが大きくなればなるほど、言い方を変えるなら集団の規模が大きくなればなるほど「一丸」を維持することはむずかしくなります。小さな規模で「一丸」を成し得ていたとしても、さらに大きな規模になるということは「一丸」となった小さな規模が集まることです。そのときに小さな集団の「一丸」が強ければ強いほど大きな集団になったときにそれまでの「一丸」が弊害になってしまいます。

政党を見ていますと、それがよくわかるのですが、口でいうほど「一丸」って簡単ではないんですよねぇ。

じゃ、また。




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