<コツコツ>

pressココロ上




先日、著名人の下積み時代の「まとめ」を作ったのですが、僕はずっと気になっていた俳優さんがいました。その方は西島秀俊さんですが、僕が西島さんを知ったのは約30年前のドラマ、「あすなろ白書」(フジテレビ)です。このドラマでは、西島さんは主役ではありませんでしたが、印象に残る役を演じていました。

しかし、その後西島さんを見ることはほとんどなく、再び西島さんが表舞台に出てくるようになったのはここ10年のことです。つまり、20年以上は下積み時代があったことになります。

西島さんがほかの人の「下積み」と少し違うのは、デビューしてすぐのときは売れていたことです。「売れた」が言い過ぎであるとしても注目されていたのは間違いありません。そのような状況から突然見かけなくなったのですから、不思議に思うのも当然です。

結論を言いますと、「干されていた」のです。理由は、所属する事務所と意見の対立があり、事務所を移籍したからです。

最近は大分下火になってきましたが、一時期吉本興業と芸人の関係が物議を醸していました。一般的な見方としては「事務所の横暴さを芸人側が批判する展開」が主流でしたが、それほど簡単な構図でもないようです。ですが、事務所の力が大きいことは伝わってきました。

吉本興業の騒動はともかく、芸能事務所と所属しているタレントの関係は芸能事務所が圧倒的に強い立場にいるのは間違いのないところです。その証拠に、芸能事務所を辞めて干された芸能人は数えきれないほどいます。

先日も「ヤフトピ」で取り上げられていましたが、NHK朝ドラ「あまちゃん」で一躍人気者になった「のんさん」の騒動も象徴的でした。僕の年代で言いますと、ジャニーズから独立した郷ひろみさんも干された経験があります。

このように、芸能界では事務所を辞めることでタレントが「干される」という状態が連綿と続いていますが、芸能事務所とテレビ業界は持ちつ持たれつの関係で成長してきていますので、仕方のない面があります。テレビ業界は芸の事務所の影響を受けて当然です。

もしこの関係が変わるとするならば、それはタレントが活躍する場がテレビ以外のところに変わるときです。昔と比べますと、ドラマの視聴率がとても低くなっています。かつては「高視聴率」と言いますと「30%」超えが普通でしたが、今の時代「30%」は夢の数字です。「10%」を超えて合格ですから、時代の変遷を思わざるを得ません。

こうした状況になっているのは、テレビが娯楽の対象から離れてきているからです。昔は仕事が終わって帰宅するとテレビを見るしか時間の過ごし方がありませんでしたが、今はインターネットを通じてドラマを見たり音楽を聴いたり情報を得たりするのが普通です。特に、若い年代の人たちはテレビを見る機会が極端に減っているようです。

マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏は、’95年のwindows95の発売期に、「インターネットが将来通信の中心になる」と話していました。全くそのとおりになっているのですが、その先見の明には驚かされます。

このように、若い人の間ではテレビは生活の中心ではなくなってきています。これはつまり、テレビ業界が変わらざるを得ないことであり、それは芸能事務所も変わらざるを得ないことになり、さらに芸能事務所と所属するタレントの関係も変わってくることになります。

話はそれますが、映画の世界でも映画を見る場所が映画館ではなくネットに変わりつつあることが注目されています。アカデミー賞ではインターネットで配信される映画は賞の対象から外そうという動きがあるそうです。業界の根本が変わることでそれまでの価値観が変わることがあっても不思議ではありません。

タレントが芸能事務所の圧力で「干される」ことがなくなるのは、それほど遠いことでもないかもしれません。だからと言って、タレントの立場が強くなるわけでもないはずです。吉本騒動のときに、「芸能事務所=悪」というイメージが広まりましたが、タレントが売れるには、芸能事務所のサポートが大きな力を発揮しているのも間違いないところです。特に、マネージャーの手腕は重要なようです。

以前、俳優の向井理さんのマネージャーさんの本を読んだことがありますが、一人の俳優が誕生する裏側には、その俳優の誕生を心から望んでいる人の存在があることを知りました。それほど、マネージャーもしくは芸能事務所の存在は大きなものがあります。

もちろん芸能事務所なりマネージャーさんはお金儲けの目的があるのも確かです。そうした側面が行き過ぎていろいろな問題を起こしているのも事実です。常識的に考えて、金銭的な取り決めにおいては、芸能事務所とタレントでは知識の量に大人と子供ほどの差があります。そうしたことからしますと、芸能事務所が圧倒的に有利なのですから、事務所側はそうしたことを踏まえて倫理観を持ってタレントに対応することが望まれます。

話を戻しますと、西島さんの芸歴です。

西島さんは「アイドル路線で売り出したい事務所と、実力派として成長したい自らの気持ち」の対立で事務所を辞めたのですが、その際に「5年間はドラマに出ない」という誓約書を締結させられたそうです。それを受け入れての退所ですから、西島さんの覚悟と芯の強さがわかろうというものです。

西島さんが復活するきっかけを作ったのはビートたけしさんこと北野武監督だそうです。北野監督が映画「DOLLS」の主役に抜擢したのですが、それ以降の映画やドラマでの活躍はご存知のとおりです。

僕が、西島さんをテレビで再注目したのは、2013年NHK大河ドラマ『八重の桜』で鍛え抜かれた肉体が話題になったときです。映像では見ていませんが、「あの西島さんがまた注目されているんだ」と感慨深い思いに浸った記憶があります。「あすなろ白書」以来ですから、20年ぶりということになります。

しかし、「まとめ」を作成するに当たって調べましたところ、テレビで見かけなくても映画ではいろいろな賞を受賞していたようです。そんな西島さんですが、売れない時代に心がけていたことは、「コツコツと努力を怠らないこと」だそうです。あの肉体を見ていますと、その努力がわかります。

「努力をしたからといって、成功するとは限らない。でも、成功する人は必ず努力をしている」

僕の好きな、長州 力さんの言葉です。

じゃ、また。







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