<スタッフ>

pressココロ上




葉梨法務大臣が辞任しましたが、誰が見ても実質的には「更迭」です。葉梨大臣の失言が公になる前は、寺田総務大臣が政治資金記載問題で追及を受けていましたので、あくまで僕の想像でしかありませんが、少しの間寺田大臣は「ホッと」していたのではないでしょうか。しかし、その葉梨失言問題も一区切りがつきましたので、寺田大臣も心中穏やかではないでしょう。ドミノ現象が取りざたされていますので…。

それにしても、葉梨前大臣の「死刑はんこ」失言は常識では考えられない発言で、さすがに自民党内どころか所属する派閥内からも批判の声が上がっていました。そのような状況では続投は不可能だと思いましたが、岸田首相は失言が発覚した当初は、まだ問題の大きさに気づかなかったようで「謝罪して続投」を表明していました。その後急遽更迭に踏み切ったわけですが、後手後手の印象はぬぐいきれません。

おそらく、失言が1回ではなく複数回行われていたことが決断の要因になったのだろうと思いますが、僕が不思議なのは、葉梨氏の発言に対して「周りのスタッフは誰も諫めなかったのか」ということです。政治家ともなりますと、大勢の前でスピーチをする機会も多いでしょうから、はじまりのところで、いわゆる「つかみ」の話を用意しておくことはよくあるはずです。

葉梨元法相が失言を複数回繰り返していたのは、その「つかみ」に「死刑はんこ」の話をしていたからと思いますが、普通に考えてこの失言が聴衆の心を「つかむ」とは思えません。葉梨氏の周りのスタッフはそれに気がつかなかったのか、それが不思議でならないのです。話の内容からして、笑いが起こるとは思われませんが、そのことにスタッフが誰一人気がつかなかったのでしょうか。

「諫める」のが部下やスタッフとしての立場から難しいとしても「リスクになる可能性」は伝えられたと思います。もし、誰か一人でもスタッフにそのような進言をする人がいたなら、ここまで問題が大きくなることはなかったように思います。

もちろん一番の問題は葉梨氏が失言をしたことにあるのですが、有能という表現を使っていいのかわかりかねますが、聴衆の反応やその場の雰囲気を的確に感じとることができる感性の鋭いスタッフを周りに揃えられなかったことも問題の一つです。同じことが岸田首相にも当てはまると思いますが、問題が発覚してからの対応の後手後手は岸田首相のスタッフにも責任があります。

こうした光景を見ていて思い出すのは、故人となっていまいましたが、安倍元首相のスタッフの方々です。安倍元首相に対しては賛否いろいろあるでしょうが、7年半という歴代最長の期間、総理を務めていられたのは、自らをサポートするスタッフに有能な人を集めていたからです。

どんな組織であろうとも、それなりの大きさになったなら、最も重要なのは幹部であるスタッフの能力・実力です。トップの人間がどれほど優れた能力の持ち主であろうともすべてを自分で取り仕切ることはできません。周りのスタッフのサポートがあってこその結果であり実績です。

安倍元首相は1度目のときは1年で退陣していますが、その後数年の一兵卒としての議員経験の間に実力を積み上げていったと思われます。そうでなければあれだけの長期間、総理という重責を担えるはずはありません。

安倍元首相が総理のときにこのコラムで幾度か書きましたが、安倍元首相を取り巻くスタッフは並外れた感性がありました。支持率が落ちそうなときにいつも、やり方が正しいか否かは別にして、支持率を回復させるために的確な対応策をとっていました。僕のような庶民が喜びそうな政策を必ず発表していました。そして毎回、そのやり方やタイミングは憎たらしいほど的を射ていました。繰り返しになりますが、正しいか否かは別にして。

経済界に目を向けても全く同様で、零細企業であるうちは経営者がすべてを取り仕切ることも可能です。しかし、ある程度の大きさの企業になりますと経営者がすべてに取り行うことは不可能です。経営者を支える幹部の能力や感性が経営者の実績につながります。ある意味、経営者の実力とは周りのスタッフをそろえる能力といっても過言ではないかもしれません。

最近僕は、総合格闘家の朝倉未来選手についてコラムに書くことが多いのですが、朝倉選手のYoutubeを見ていますと、まさに周りのスタッフの有能さを感じずにはいられません。そもそも朝倉選手がyoutuberに進出したのも周りのスタッフのアドバイスのようにも思えます。

書籍などを読みますと、yoububerの草分けといえるHIKAKINさんなどは自分ひとりで動画を作成していたようですが、すそ野が広がったyoutubeの世界はHIKAKINさんたちとは趣が違った動画が増えています。実は、僕がyoutubeをよく見るようになったきっかけは先ほどから書いています「朝倉選手の動画」でした。「ぼったくりバーに潜入する」内容だったのですが、視聴者が見たいものがそこにはありました。

おそらくその動画の発案者は朝倉選手ではなくスタッフです。朝倉選手の動画を見ていますと、朝倉選手に話しかけながら撮影しているスタッフがいるのですが、そうしたスタッフが朝倉選手の魅力を引き出すことに長けていると感じます。言うまでもありませんが、魅力を引き出すには、それ以前に魅力を感じていなければいけません。つまり朝倉さんの一番のファンでいることが有能なスタッフになる一番のポイントといえます。

朝倉さんの動画を見ていますと、朝倉さんを慕っている人が多いことがわかります。年上年下に関係なく朝倉ファンになっている人が本当に多いのです。スタッフでない人をも惹きつける力があってこその今のyoutuberの成功です。

少し前のことですが、朝倉選手の動画に参加しているスタッフの一人がyoutubeメンバーから脱退したことがありました。仮に「オー君」としますと、オー君はyoutube発足当時からの仲間で地元時代から一緒につるんでいた人です。少年院に入っていた不良少年・朝倉君を格闘家の道へいざなった友人です。

オー君が不良少年たちが集まる格闘技大会の存在を教えたことがそもそものきっかけでした。朝倉少年はその大会で優勝して、その後格闘家として成功の階段を上っていくわけですが、そのオー君がyoutubeメンバーから脱退するという発表がありました。その理由は「誹謗中傷」です。僕の想像では、「朝倉選手にくっついているだけ」というような内容だと思いますが、そうした言葉に耐えかねて脱退することにしたそうです。

ですが、実は、僕は「脱退していない」と勝手に思っています。少年時代からともに苦労をしてきた仲間をあっさりと見捨てるような朝倉選手ではありません。「誹謗中傷」をする人たちから守るために、対外的には「脱退」という形をとりながら、まだ一緒に裏方としてyoutube作成に参加している、と僕は思っています。

現在は「break down」という動画が人気を博しており、また一つ階段を上がった印象がありますが、現在ほど人気が出る前の動画で、出演者が朝倉選手に対して「これからの将来、どうしようとかあるの?」と質問する場面がありました。すると朝倉選手は少し間をおいて「別に…、ただ仲間と仲良く過ごせてればいいかな」って答えていました。

こういう考えの持ち主にこそ、本気で親身になってサポートしてくれるスタッフが集まってくるんですね。

妻にも話そ。

じゃ、また。




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